コトハノチカラ

ビジュアル的センスが0の左脳人間が、
どこまで言葉だけで自分を表現できるか、
やれるとこまでやってみるブログです。

脳髄を掻き毟るほどの本選び

2005-09-09 21:37:26 | 本の話
僕は読書が好きなのです。

これは前のメールで書いたのですけど、本ならなんでもいいというわけでもないのです。読書は映画鑑賞に比べて、かなり時間と労力を費やすのです。
眺めていれば2時間程度で勝手に終わる映画と比べて、読書は文章の中の世界を頭の中で構築し、登場人物を動かす必要があるんです。
これって、実はかなり疲れる作業なのです。

どうしようもないほどのひどい文章でない限り、だいたいのものは理解できるんだけど、やっぱりつまらない本を選んでしまったときは、泣きそうなくらいのショックをうけるんです。
買っちゃった以上、やっぱり最後まで読まないともったいないと思うから、気合で頑張るのだけど、とにかく面白くなく、文章も理解しづらい。

最近読んだ本できつかったのは、『沈むさかな』(式田ティエン 著)。
第一回このミステリーがすごい大賞を、『四日間の奇跡』(浅倉卓弥 著)とダブル受賞した作品なのです。
で、僕は先に四日間の奇跡を読んでいて、こいつは面白い!ってことはこっちも・・・
という心境で『沈むさかな』を手にとったわけですが・・・

う~む。

つまらない本の紹介をするというのはかなり気が滅入る作業なので、詳しい内容等はアマゾンのレビューでも読んでください(^^;
まあ、とにかくしんどい作業でした。

などという経験があるので、本を選ぶ作業はどうしても慎重になるのです。

いろいろ悩んだ結果、この前買った本は『今中大介のロードバイクバイブル』(^^;
感想は言わずもがなで・・・

さてと、また本屋に行ってきます(^-^)/

『疾走』 重松清

2005-08-05 15:58:14 | 本の話
毎日書くと宣言した2日後に、さっそくサボってしまいました(*_*)
3日坊主にすらなってない・・・
う~む。
ごめんなさい。

さてそんなことはさておき、僕は自転車と同じくらい、読書が趣味なのです。
履歴書の「趣味」の欄に書くことがないから、とりあえず読書って書くけど、実際にはたまに雑誌を読むくらいなんていう、インチキ読書趣味野郎ではなく、家に本棚が4つあるくらいの、正真正銘の読書趣味人間なのです。

常に何かしらの本を読んでいる状況がもう何年も続いているので、趣味というよりはもはや習慣のようになってしまっているんですけど。

そんなこんなで、これからは読んだ本の感想をここに書いていくわけです。

今回の本はタイトルにも書いた、重松清の『疾走』です。

重松清はとても好きな作家で、今までに『エイジ』『ビタミンF』『流星ワゴン』『きよしこ』などなどいろいろ読んできたんですけど、その中でこの『疾走』はかなり異彩を放っているのです。凄いんです。ある意味、怖いです。

いきなりわき道に話がそれるんだけど、本を人にすすめたりすると、だいたいみんな「面白いの?」と聞いてくるんだけど、この質問てかなり困るんです。
わかりやすく映画でいうと、『少林サッカー』は間違いなく面白い。だけど、『シンドラーのリスト』を面白いというのは、なんとなく抵抗がある。でもつまらないわけじゃない。

英語だと、同じ面白いでも、ファニーとインタレスティング(どっちもスペルがあやふやなので、カタカナですみません)があって、ファニーがいわゆる面白いで、インタレスティングが興味深いとかそんな意味らしく、それで使い分けができるみたいなんですけど。まあ、当然のことながら人から聞いた話で、僕が実際に使い分けているわけではないので、真意の程はわかりません。

で、この『疾走』は間違いなくインタレスティングなのです!!

ここから先はある程度内容を説明しちゃうので、本を読もうと思ってる人は読まないでください。

主人公の兄が精神を病み放火犯になり警察に捕まり、その影響で父親は仕事を失い蒸発し、母親もギャンブルにハマって借金を作り家に帰ってこなくなり、主人公は強烈ないじめにあい、ついに家出をする。さらにヤクザに捕まり辱めを受け、逃げるためにヤクザを殺し、さらに逃げた先でお金を盗まれる。

主人公に辛い思いをさせるために、次から次へと不幸な出来事を起こす話はよくあります。目の見えない女の子が、更に癌に冒されていて、しかも恋人が交通事故に合うとか、そういうの。僕はどうも好きではないんです。あまりの不幸のオンパレードに、逆に気持ちが冷めてしまうんです。

で、『疾走』はどうかというと、確かに不幸のオンパレードではあるんだけど、その原因に一貫性があるのです。幸せだった家族が、兄の精神の崩壊というそれだけで、バラバラになっていく。さらにはバブル経済に翻弄された町の人々などの影響もあったりして、とてもリアリティがあるんです。だから、怖いんです。自分の身の回りにいつ起きてもおかしくない話だから。

あえて難点をつけると、最後のほうで主人公が携帯電話を手に入れるシーンがあって、それがちょっと、物語を進めるために強引かなって気がしたんですけど、それを差し引いても充分合格点をあげられる小説です。

感想を一言で表現できなくて、とてももどかしいんだけど、一番近い言葉で表すと、「凄い!!」んです。

重松文学の集大成、と、勝手に僕は決め付けています。

読む時の注意点としては、一人部屋の中で深夜に読んだりしないこと。
読後のもやもや感が全身に広がって、間違いなく眠れなくなります。
僕みたいに・・・