goo blog サービス終了のお知らせ 

【 蛸 グ ラ フ 】

八方手詰まり。

- mdiapp+デジタルトーンワークについて (アナログトーン基礎編)

2014-04-01 02:03:23 | ■Technical memo
mdiapp+/コミラボのデジタルトーン作業について書く前に、アナログなスクリーントーンについて書いておきたいと思います。
トーン仕上げされた原稿を印刷でどうやってきれいに出すか試行錯誤が繰り返されてきたので、ここを押さえておくとデジタルでのトーン作業の技術的な土台になるからです。
・・・ただ、割と昔の知識を引っ張り出して書いているので現状にそぐわない点や勘違いがあるかと思います。あらかじめ、ごめんなさい。

●スクリーントーンとは
線画の漫画に網点によるグレースケール表現を可能にした画材「スクリーントーン」はもともとレトラセットの商品名だったものが一般化しました。
当初はデザイン画材屋で一枚800円程度で販売されており、まず取扱店を探すところからハードルが高かったのですが、ICやデリータなど同種の競合品が増え廉価化やバリエーション拡充が進み使いやすく馴染み深いものになっていきました。


●マンガ雑誌の印刷
通常漫画誌のモノクロページで使われるのは活版(凸版)印刷かオフセット印刷の2種です。
本来は活版印刷とははんこのような活字を無数に組んで刷る形式ですが、こんにちで編集者や漫画家が慣習的に「活版」と言うときはDTP組版による凸版印刷のことを指すようです。(同名の大手印刷会社と混同しないようにする意味もあるかもしれません)
商業印刷全体ではオフセットが現在の主流となっており、同人誌印刷もオフセットで刷られています。
しかし、輪転機の凸版に比べオフセットは短時間の大量印刷にやや不得手、締切(最終下版)をオフセットより少しだけ遅らせることができるなどの理由で、マンガ商業誌ではあえて凸版であることも多いようです。(少年画報社さんの月刊アワーズは凸版、アワーズGHはオフセットだそうです)
今回の記事ではトーンの再現が難しい凸版のケースを中心に解説していきます。

●アミトーン(ヒラアミ)
均等にドットが並ぶトーンをアミ、あるいはヒラアミなどと呼びます。トーンに表記されている「60線20%」とは60本のスクリーン線数(*)で濃度20%の割合で点が打たれていることを表します。
トーンワークで60線のアミトーンがよく使われるのは、雑誌の凸版印刷で使える実質的な最大線数であることと、グラデーショントーンやCGトーンは60線であることが多いため線数を揃えて重ね貼りするためです。

(*)階調を持つ原稿を製版カメラで撮影する際、コンタクトスクリーンと呼ばれる格子状の幕を感材の前に置きます。
格子の穴を通った光は網点状になってリスフィルム(通常のモノクロフィルムのようなグレー階調をもたず、白黒2階調で現像されるフィルム)に露光します。
格子は四角ですがコンタクトスクリーンと感材には間隔をとられているので、光の回折によって丸いドットとなるわけです。
このコンタクトスクリーンの格子の1インチあたりの線の密度をスクリーン線数と呼びます。
つまり、正確には網「点」の密度ではなくコンタクトスクリーンの「線」の密度が「スクリーン線数」と呼ばれるとのことです。


●凸版での鬼門トーン
マンガ雑誌で使われる活版(凸版)印刷では、60線5%(ICやレトラセットの60番)はきれいに印刷されないので使用を避けるべきとされています。しかし近年は採用する紙質の向上や印刷技術の改良などによって60線5%でも許容範囲内で印刷される場合も多いようです。


個人的には週刊少年誌のような再生紙でなければ凸版でも5%トーンも神経質にならずに使ってよいかと思います。(昔はどうしても印刷にでにくいので、やむをえないときは5%トーンだけ55線を使って対応していました)
ただ、雑誌上では凸版でもオフセットでもドットゲイン(印刷工程で網点が大きくなって原稿より濃く見える現象)の変動によって5%と10%の差異はほとんどわかりませんので、絵作りががらっと変わるようなことはないかもしれません。

雑誌の紙質と凸版印刷の特性によって網点60線50%以上は潰れてしまってまずきれいに出ないので、それを踏まえた絵作りが必要になります。
アナログトーン作業の場合ですと、濃いトーンの下は青鉛筆の指示書きなどが意図せず印刷にでたりするのであらかじめ注意するといったことが必要ですが、デジタル作業においても表現や工程の制約があります。
グラデーションが有効に印刷に出る範囲がかなり少ないため、モニターの見た目を頼りに仕上げると掲載雑誌を見てがっかりする可能性が高いので、潰れては困る箇所は50%以上にならぬようスポイトツールでこまめに数値で濃度確認する必要があります。




●3、2、1、かかって、ぬけて、ちょん
データ入稿用に網点レイヤをラスタライズして2値化してしまうとスポイトツールで濃度の確認はできなくなりますが、写真製版時にルーペを覗いて確認していた方法である程度の判別が可能です。それが「3、2、1、かかって、ぬけて、ちょん」と呼ばれるもので、網点の間隔をもとに%を判別します。(60%以降は反転した白ドットの間隔で判別します)




●ケズリ
カッターナイフやデザインナイフ、砂消しゴムなどでトーンを削って中間階調表現することをケズリやボカシ、ホグシなどと言います。
網点トーンをきれいに削るにはコツがあり、22.5度で削るのがよいと経験則として分かっています。



水平垂直から22.5度、つまり45度の半分ずつまわしてカケアミの要領で4カケで削るのが基本となります。
こうした手作業で削ったグラデーションは、デジタルでディザブラシで削るものとは異なる味わいがあります。


網点トーンはすべてドットが45度(トーン台紙に貼ってある通りの角度)で並ぶように貼りこむのがきれいに仕上げるための定石となりますが、一部のケズリ処理で例外があります。
1カケの削りでおいしい所を使いたい場合、ケズリの角度にあわせてあえてトーンを回転させて貼ってから削るときれいに仕上がります。
特にトーンによる動感効果(ブラーなど)を活かしたいときに有用となるTIPSです。



●トーンの重ね貼りとモアレ
雲などのCG系のトーンは単体で使うとメリハリがたりない画面になるので、ケズリや重ね貼りがよく併用されます。
またグラデーション系のトーンと重ねて複雑な陰影表現のためにも重ね貼りが使われます。
これらは通常同じ線数のトーンで重ねあわせますが、わずかなズレでモアレと呼ばれる幾何学的なパターンがでて違和感の原因になるので注意が必要となります。

通常は避けるべきモアレですが、微妙な曲面や透明感などを表現するのにわざとモアレさせて使う場合もあります。


市販のグラデーションではフィットしない場合に、貼る範囲が細部であれば重ね貼りでグラデを自作できます。





間違いや読みにくさは、今後こつこつ直したいと思います…。
次回は本題のmdiapp+によるトーンワーク実践です。

- mdiapp Review #2

2010-02-05 13:46:53 | ■Technical memo
僕にとってもうコレがなきゃ仕事にならん感じのペイントツール、mdiappについてのあれこれを書きます。
もっともっとユーザーが増えてくれれば、回りまわって僕にも利になるので頑張って書きます。

既に一通りのことは、赤坂素人さんのMagical☆Cafemdiappカテゴリで書かれており、非常にうまくまとめられています。
公式のTIPSとあわせて通読すれば特に使い方がわからないということはなかろうかと思います。

僕のブログではmdiappで漫画やカラーイラストを描く上でつまずきやすいところや、
実例的なことをピックアップして補足していこうかと思います。
書きたいことは沢山あるんですが、まずは個人的に基本にしてすべてだと思っている
「1bpp/8bppレイヤーの使いこなし」についてです。

まずは前回のおさらい。



耳がタコができるまで何度も言いますが

・1bpp/8bppレイヤーは、黒一色(初期状態)しか扱えません。
・8bppレイヤーでグレー色に見えるのは黒の半透明色です。
・1bpp/8bppレイヤーで黒以外の色を扱いたいときはレイヤーカラー機能を使います。



以上のお約束を踏まえて、ペン入れから仕上げまでの流れで1bpp/8bppレイヤーの使いこなしについて解説を書いていきます。

また、今回の解説に使ったサンプルファイルをアップしました。
(mdiapp_sample.zip 15.8MB)
作業工程で削除したり統合するレイヤーも出来るだけ残してありますので、よろしければ参考にしてみてください。

/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

■下書きを薄い色で入れる

ペン入れしやすいように、薄い色でざっと下書きをいれます。

-追加・1bpp(レイヤーウインドウ/レイヤー/)を実行して新規1bppレイヤを作成します。
レイヤープロパティを出して(レイヤーウインドウ/レイヤー/、
またはレイヤーウインドウのレイヤー名のあたりをダブルクリック)、適当な色を指定します。




one more point [スポイトツールで消しゴム代わりに]
1bppレイヤーでは、不透明色1色と透明色のみを扱います。
この際透明色をスポイトツールで拾ってブラシツールで描画すると
透明色で書き込まれ、消しゴムツールと同じ働きになります。
そこでタブレットペンのサイドボタンにaltキー(スポイト切り替え)を割り当てれば効率的に作画できるのでおすすめです。

*慣れないうちはmdiappのスポイトツールのツールオプションの
”レイヤーカラーを無視する”のチェックボックスはONにしておくと良いでしょう。
OFFにしておくと、明るいレイヤーカラーは透明色として判定されますので注意してください。






■パーツごとにペン入れをする

髪の毛は眉や睫毛などと交差しやすいので、アップや大ゴマでは別レイヤーに分けておくと修正しやすくなります。
その際、一時的にレイヤーカラー機能で色を変更しておくと見やすくなってペン入れが楽になります。





one more point [レイヤーを半透明にすれば見やすくてOK?]
見やすくするのに別にレイヤーカラーで色を変えなくても、
レイヤーの不透明度を変えればいいじゃない、という方もおられるかもしれませんが、
以下の2点の理由で推奨しません。

・1bppレイヤー上でスポイトツールはプレビュー上の色で2値判定するので、スポイトツールオプションが
”レイヤーカラーを無視する”ON設定であっても、不透明度を変更して明るい色の状態になると、下書きの線をスポイトで拾えなくなることがある。
(ペン入れ中下書きを修正したくなったときなどに困る)
・ラスタライズの際に、不透明度を戻すのを忘れるとそのままグレースケール化され、
最終入稿で2値化した際、グレー部分が消えてしまう場合がある。

特に後者はトーン作業で一時的に不透明度を変えた際に起き易いトラブルです。
2値で入稿する漫画原稿の場合、極力不透明度はいじらない方が事故防止につながります。
不透明度よりレイヤーカラーと乗算レイヤーモードを活用すべきで、
特に複数人で作画する場合は徹底しておくべきルールだと思います。




■資料写真をトレスする



基本的に背景は、先に触れた「パーツごとにペン入れする」の要領で、
レイヤーを分けて作画すれば良いでしょう。
資料写真をトレスしたい場合はレイヤーにコピーアンドペーストで読み込んで、
特に複雑なものでなければ8bppレイヤーに変換します(600dpiで32bppレイヤーのままだとメモリを大量に消費するので)。
さらに、レイヤーカラーを変更しトーンカーブでコントラストを調整するとトレスがしやすくなります。




■髪ツヤなど、ホワイトを入れる

初めてツールを使う人が線画と別レイヤーでホワイトを入れようと思ったとき、つまずきやすい部分です。
何度も繰り返しますが1bpp/8bppレイヤーは黒1色と透明色のみ扱います。
カラーパレットやスポイトで前景色を白にしても1bpp/8bppレイヤーに不透明な白を書き込むことは出来ず、透明色として扱われます。
線画レイヤーに不透明なホワイトをのせたいときは、
線画レイヤーの上に新規1bppレイヤーを作成し、レイヤーカラーを白に変更して作画します。
さらにこのとき、作画するブラシツールの色(前景色)は黒である必要があります。
レイヤーカラーは不透明色(黒)を他の色に置き換える機能ですので、
白のブラシで描いても透明色として描かれる形になります。





■擬音やキャラクターの白フチ(白ふちくくり)、ぶちぬきなどの合成用マットレイヤーを作る

1bpp/8bppレイヤーで見た目、白色になっている部分は透明色ですので、キャラクターと背景を重ねたり、
枠線から飛び出すぶちぬき作画をすると、背景や枠線が透過してしまいます。
消しゴムで不要部分を削除してもいいのですが、背景の再利用性を損ねたり、
枠線を選択範囲の参照元にしたりすることが出来なくなります。
そこでレイヤーカラーを白にした1bppレイヤーを敷いて、
透過して欲しくないところを塗りつぶします。
先に触れたホワイトレイヤーはキャラ線画の上に重ねましたが、
今回のマットレイヤーはキャラ線画の下に置くことになります。



さらに領域の拡張(レイヤーウインドウ/編集/)などを使って、
線画に対してマットレイヤーを数ミリはみ出すように塗りつぶせば線画を白で縁取った仕上がりになります。
こうした白フチ(白ふちくくり)処理は原稿の見易さや完成度をあげる大事な処理ですので是非活用したいところです。




one more point [マスク/クリッピングを使った合成処理]
マスクやクリッピングを使えばもっと複雑な合成処理ができますが、やや負荷が高い処理ですので、
ノートパソコンなどの環境で作業する必要があるのなら避けたほうがいい場合もあります。
またアシスタントが未習熟な場合、混乱や事故の原因(マスクやクリッピングレイヤーの下に新規レイヤーを作ってしまうなど)
となる可能性もあるので注意が必要です。
マスクとクリッピングの具体的な使用法については機会を改めて触れたいと思います。


////////////////////////////////////////////////////////////////////////

「1bpp/8bppレイヤーの使いこなし」の後半となる次回更新では、トーンワークやさらなる応用について書いていきます。

- mdiapp Review

2009-07-22 00:48:22 | ■Technical memo
今回更新は最近のお気に入りグラフィックソフト、
mdiappについて、つらつら書きます。

ver1.14dでのレビューですが、かなり精力的にアップデートされているので、
記事内容はすぐに古くなるかもしれません。


■フルデジタルマンガのためのmdiapp

以前のエントリでも触れたように、デジタル/アナログ混在だと煩雑な作業が増えるので
効率を考えるとフルデジタル化が良いのですが、
なかなかシンプルに代替できる手段がなくてあれやこれやと模索していました。

シンデレラシューズ執筆時にmdiappがいけそうだ、という感触を得たので
先に導入していた液晶タブレットのCintiq12wxとの組み合わせでフルデジタルにチャレンジしたのが
つぼみ誌の”コブリアワセ”上下編でした。

// cintiq12wxの縦解像度は800しかないので、mdiappの推奨環境(1280*1024 pixel 以上)に満たないのですが
// 記事トップの画像のような要領でウインドウの配置を工夫すれば、何とかなる感じです。
// タブレット上辺を除く周縁部は読み取り精度が落ちる(描線がよじれる)ので、左右にウインドウを振り分けるのが良いと思います。

mdiappはネーム段階から使用して、そのままペン入れの下書きとして再利用して省力化してます。
マンガの何がめんどくさいかというと、ネーム・ネーム改稿・下書き・ペン入れと
同じような絵を何度も描くのが一番めんどくさかったので、ここらはデジタルの大きな有り難味です。




■1bpp/8bppレイヤとレイヤーカラー

Photoshopをいじったことがあれば、あまり迷うことのないソフトですが
1bpp/8bppレイヤの仕様とレイヤーカラー機能がちょっと特殊で、
初めて使う人がつまずきやすい所だと思うので、ざっと触れておきます。
(ウソが混じってたらごめんなさい)

1bpp/8bppレイヤは、Photoshopのモノクロ2階調とグレースケールモードに似てるように見えるかもしれませんが、
扱い方は別物ですので注意が必要です。



つまり、1bpp/8bppレイヤで扱うのは黒一色のみです。
8bppレイヤで見かけ灰色に見えるものは、半透明な黒というわけです。
不透明なグレーや白を直接扱うことはできません(32bppレイヤなら可能)。

1bpp/8bppレイヤで黒以外の色を使いたいときは、レイヤーカラー機能を使います。
やり方は簡単、レイヤーウインドウで変えたいレイヤをダブルクリックして色を選択するだけです。



これで黒髪に、不透明なホワイトでハイライトのレイヤを載せることなどができます。

単色と透明しか扱えないのは一見不便なようですが、使っていくと理にかなった仕様だと感じてくると思います。
1bpp/8bppレイヤとレイヤーカラーは、基本かつさまざまな応用が利く最も重要な機能ですので
これさえきっちり抑えればマスターしたも同然です!…たぶん!


■クリッピング

ver1.13aからはクリッピングが使えるようになりました。
コマ割にクリッピングを使えばキャラクターや背景を大きく描いても、コマ外のはみだし修正が不要になります。
また、以下の画像のようにレイヤーがインデントされる感じで表示されるので、見た目も整理されて便利です。



画像では分かりやすく色づけしていますが、実際にはコマの形に白(レイヤーカラー)で塗りつぶしたものでクリッピングします。


■お仕事ツールの要件

仕事用にメインとして使い続けてみて、ペン入れツールとしては申し分ありませんでした。
枠線を引くのにはちょっとコツと慣れが必要ですが。

「コブリアワセ」ではトーンなしの手法を取ったので、mdiappでのトーンワークに関しては
もう少し使い込んでみないと何とも言えません。

一つの工程で複数のソフトを使い分けるのは余りよろしくないので
ここまでならmdiappでできる、この先はPhotoshopという見極めをしているところです。

// ヒラアミまでならmdiapp単体で使いやすく問題もないのですが
// 砂目や柄ものなどのトーンは素材として別途用意する必要があります。
// ver1.14d現在、パターン貼り付け時に不具合があるっぽいこと、
// 他ソフトよりメモリ消費が激しくなる場合があることなどから
// 環境によっては下流作業の仕上げは他のソフトに切り替えるのが今は無難なようです。

//(*ver1.14h現在、すべて修正・改善されています)

同ジャンルのソフトではオールインワンで完結できる便利で多機能なものもあるんですが
mdiappの使いやすさ、習得しやすさがメインツールに選ぶ決め手になりました。

記事の趣旨から外れるし、長くなるので理由をあれこれ述べませんが
業務用のマンガツール(複数人での作業前提の場合)は、
とことん初心者向けであるべきじゃないかなあという気がしてます。
完全に私見ですが、これは機能の数よりも重要なことです。


■カラーもいけるmdiapp

mdiappは最初は線画用ソフトのつもりで使い始めたんですが
ペンツールの気持ちよさのまま色塗りも出来るので、カラー作業でも比重が高くなりつつあります。

リアルシムなブラシではないかもしれませんが
置きたい色が置きたいところに置けるので、描いてて楽しいです。

朝霧の巫女6巻の表紙でも結局、最終調整前の段階までずっとmdiappで作業しました。
Photoshopの最終工程ではCMYKに変換して、色調整、なんちゃってカメラ・フィルムエフェクト
(ディフュージョン、ブリーチ、被写界深度、ノイズ粒子)などの処理を加えています。
これに近い色調はmdiappでもできそうではありますが、
Illustratorとの連携や入稿形式のお約束などもありますので、やはり最後は使い慣れてるPhotoshopの出番です。



"お化粧"を施す前のmdiapp版もソリッドで面白い気がします。
細かいエフェクトは解像度的に潰れてしまいますし
WEB公開用途ならこっちの方がいさぎよくていいかも知れません。

今回使ったブラシは以下6種類、これでほぼまかなえました。



最近のアップデートで水彩ブラシが使いやすくなってます。
ソフトエッジを切ることが出来るようになってシャープな塗りが可能になりました。
色延びが素直でコントロールしやすいので、気に入っています。

最後に、透明度保護時に消しゴムブラシを使ったときの処理が
他と違うので取り上げておきます。



キャラクターイラストの用途でmdiappの仕様なら、
色をぬりつつ髪の毛レイヤのエッジを修正したり、毛先を半透明にしたりの作業を
チェックボックスをつけたり外したりしないで出来るので便利かもしれません。
(不精な自分はこの仕様が気に入っています)

結局は個々人の好みの問題になってくるので、どれが一番いいとかはありませんが
一応違いは知っておいた方がよさそうです。


////////////////

09/7/24 追記
製品名や機能を正しい表記にしました。

- FYI : Digital MANGA Workflow

2008-02-06 17:27:08 | ■Technical memo
朝霧の巫女でも部分的にデジタルを組み込んでいた経験があったので
”猫三味線”でデジタル仕上げするのもそんなには滞らないだろうとか思っていたのですが
いざやってみると色々四苦八苦してしまいました。
すぐに忘れそうなので、今回はその辺の自分メモを参考まで。

そもそもデジタル導入にはメリット、デメリットがあるので
作品にむいてるかどうか、その辺を勘案する必要がありそうです。
漫画に限らず、基本的にデジタル化したからといって直ちにクオリティは上がるということはなく
(工程にアナログ要素を含むと劣化する。アナログクオリティを求めると効率がアナログ作品と変わらなくなる。)
効率化によって他の工程に手間をかける時間ができるので
トータルでクオリティアップに繋がる、というのが個人的なデジタルの価値と考えています。

////////////////////////////////////////////////////////////////////////

◇メリット
・トーンワークの効率化、廉価化。
・2D/3Dアプリケーションなどとの連携。
・背景線画素材の再利用などが劣化なしでできる。
・オンライン入稿で遠隔地でも時間が節約可能になる。

◇デメリット
・線画取り込み・2値化の場合、ニュアンスが失われて劣化しやすい。
(線画は2値化しないと、細かいタッチがアミ点化されてシャープにならない場合がある)

・環境構築のための費用、知識。
アプリケーションの準備(僕は汎用性が高いPhotoshopを使います。IllustratorやInDesignもあると便利)、有線LAN環境(複数人で仕上げる場合)、B4原稿用紙がスキャンできる大型のスキャナと共有ストレージ(LAN接続が望ましい)、仕上げ担当人数分のPC・タブレット・モニタ(できれば1600*1200以上)、確認用のプリンタ(600dpi以上出力可能なレーザーが望ましい)。

・DTP知識をもったアシスタントの確保・育成

・PC、バックアップのメンテナンス

・取り込み後の細かいニュアンスを含んだ線画加筆が煩雑。
(液晶タブレットがあればだいぶ楽になりますが、現状は費用対効果で難あり)

////////////////////////////////////////////////////////////////////////

結構デメリット多いです…。
現状のデジタル仕上げのワークフローは以下のようになっています。


1: 線画取り込み(600dpi・RGB)。
2: B4原稿用紙大トンボに貼り付けてセンターをあわせて切り取り。
3: 原稿用紙の青目盛りを色の置換えで抜いてグレースケール化。
4: バックアップ。
5: 入稿サイズ(原寸)に縮小し、余白を切り取り。
6: トーンカーブでコントラストをあげて、主線の濃線化、鉛筆の消し跡を飛ばす。
7: 線画を2値化し白地を透明化してレイヤ化する。
8: 2回目バックアップ。(3-8はアクションで1ボタン化)
9: 仕上げ作業。
10: アミ点化前に3回目バックアップ。
11: トーンの2値アミ点化。レイヤ統合、モノクロ2値化。
12: 入稿用にZIP化。
13: 最終バックアップ。2回目のバックアップ削除。


…もっと効率が上がらないか模索中。
線画もデジタルでやればだいぶ省力化できるはずですが
漫画用の特化ツールはいまいち肌に合わないとか、線の質感の問題で見送り中です。

-AM:SimCloth memo

2006-05-04 19:51:54 | ■Technical memo
AM:Simclothをちょろちょろいじってみて書き留めておいたメモ。パラメーター同士非常に複雑に関係していてモデルのパッチが少し変わるだけでも挙動変化する。…ので、それなりのものを目指すには、ひたすら試行錯誤するしかない。というか、同じパラメーターでも大きく変わったりするのはナゼなんだ。

主観メモで理論的なところはワカッテナイので内容はちょろちょろ間違ってるはず。アニマスユーザーがどれほどいるのか分からないけど少しでも参考になれば。

■Material/SimCloth

-Stretch Type
Stretch/Shear:縦横斜めの伸び縮みをシミュレート
Spring:簡易的なバネモデル

-Stretch Stifness
生地の伸び縮みのしやすさ。値が大きいほどパン生地のように伸び縮みしやすくなる。

-ShearStifness
シアー(剪断。正方形を平行四辺形に捩れさせる力。)の抗力。値が大きいほど粘りのある質感になる。(アルミホイルっぽい感じ?)

-Stretch/Shear Damping
伸縮・剪断の減衰力。振動の収束が早くなる。(この値が大きいとフェルト生地のような厚みのある質感になり小さいとゴムのような弾性をもつようになる)

-BendType
Bend angle:角度基準の折り曲げタイプ
Bend spring:スプリングシステムを使った簡易的な折り曲げシミュレーション
閉じたオブジェクトで使用するらしい。Bend angleの方が柔らかい感じになる。

-BendAngleStifness
折り曲げ抵抗の強さ。小さい値ほど型くずれしにくい。スカートなど間接部分に細かな皺を出したいときは目安として10程度まであげるとうまくいく場合がある。

-BendAngleDamping
折り曲げ抵抗の減衰値。大きな値でより早く抵抗力が吸収される。

-AirDrug
空気抵抗値。この値が大きいと水の中のように動作が緩慢になる。軽快感の調整に向くかも。

■Choreo/Plugin Properties

-Particle Mass
パーティクルの質量。パッチの密度を上げたモデルはこの値を小さくしないと自重が重くなりすぎて伸びまくる。ただ、あまり軽くしすぎると衝突判定がおきやすくなって不安定な波うちが起きる場合がある。

-CollisionTolerance
少なければ少ないほどデフレクタとクロスの衝突判定発生の距離が小さくなって密着した感じになる。ただし値が小さいと、激しい動きのときに突き抜けが起きやすいのでその分SubStepを大きくする必要がある。見た目をある程度自然にするには1以下に。

-Sub Step
フレームを分割して計算の割り込みを増やして精度を上げる。設定値が高いほど負荷が高くなるが、布の突き抜けなどが起きにくくなる。スカートなど常に体に接触する筒状のクロスなどは10以上を目安に。

-Adaptive Subdivision
衝突判定が起きるとSubStepの分割値に指定値の回数まで倍掛け。(substep12,AdaptiveSubdivision4の場合なら12-24-48-96-192の段階で一フレームを分割して演算する)SubStepが十分な値なら3~4でOKか。

-Solver precision
パーティクルの振るまいの解析精度。違いは正直よく分からない。

-Bottle Reel Project

2006-04-26 03:39:01 | ■Technical memo
まだしばらくまともに更新できそうにないんで昔作ったネタでしのぎます。
Rendering/Motion test reel (wmv/48sec/5MB)


右のテストキャラはAnimationMaster(アニマス)という3Dソフトでレンダリングしたもの。短編アニメを作るべくちまちま勉強してたわけですが、ずいぶん長い間中断してます。なんとかしなきゃなあ…。


-halftone

2005-08-15 14:12:33 | ■Technical memo
halftone HomePage:猫魚
PhotoShop用プラグイン。選択範囲を二値で網点化してくれます。標準フィルタのハーフトーンはアンチエイリアスが余計だったり、線数指定できなかったりしてモノクロ原稿には使いづらかったのですが、これは便利!
朝霧の湊川編でもフル活用させて貰ってます。

-new version 3D app products

2005-08-10 15:19:10 | ■Technical memo
英語はわからんが一度は行ってみたいなSIGGRAPH。恒例の各社の新製品発表が出揃いました。手持ちのアニマスでは対応してないボリューメトリックエフェクトや背景オブジェクトをテクスチャベイクできるポリゴンツールが補助用にあったら便利かなあ、とは思うのですが値段と機能の複雑さにおいそれと手が出ません。

3dsMAX8
maya7
XSI5.0
CINEMA4D R9.5
finalRender Stage-2 for CINEMA 4D
LightWave3D 9.0
modo201