【 蛸 グ ラ フ 】

八方手詰まり。

- FYI : Digital MANGA Workflow

2008-02-06 17:27:08 | ■Technical memo
朝霧の巫女でも部分的にデジタルを組み込んでいた経験があったので
”猫三味線”でデジタル仕上げするのもそんなには滞らないだろうとか思っていたのですが
いざやってみると色々四苦八苦してしまいました。
すぐに忘れそうなので、今回はその辺の自分メモを参考まで。

そもそもデジタル導入にはメリット、デメリットがあるので
作品にむいてるかどうか、その辺を勘案する必要がありそうです。
漫画に限らず、基本的にデジタル化したからといって直ちにクオリティは上がるということはなく
(工程にアナログ要素を含むと劣化する。アナログクオリティを求めると効率がアナログ作品と変わらなくなる。)
効率化によって他の工程に手間をかける時間ができるので
トータルでクオリティアップに繋がる、というのが個人的なデジタルの価値と考えています。

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◇メリット
・トーンワークの効率化、廉価化。
・2D/3Dアプリケーションなどとの連携。
・背景線画素材の再利用などが劣化なしでできる。
・オンライン入稿で遠隔地でも時間が節約可能になる。

◇デメリット
・線画取り込み・2値化の場合、ニュアンスが失われて劣化しやすい。
(線画は2値化しないと、細かいタッチがアミ点化されてシャープにならない場合がある)

・環境構築のための費用、知識。
アプリケーションの準備(僕は汎用性が高いPhotoshopを使います。IllustratorやInDesignもあると便利)、有線LAN環境(複数人で仕上げる場合)、B4原稿用紙がスキャンできる大型のスキャナと共有ストレージ(LAN接続が望ましい)、仕上げ担当人数分のPC・タブレット・モニタ(できれば1600*1200以上)、確認用のプリンタ(600dpi以上出力可能なレーザーが望ましい)。

・DTP知識をもったアシスタントの確保・育成

・PC、バックアップのメンテナンス

・取り込み後の細かいニュアンスを含んだ線画加筆が煩雑。
(液晶タブレットがあればだいぶ楽になりますが、現状は費用対効果で難あり)

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結構デメリット多いです…。
現状のデジタル仕上げのワークフローは以下のようになっています。


1: 線画取り込み(600dpi・RGB)。
2: B4原稿用紙大トンボに貼り付けてセンターをあわせて切り取り。
3: 原稿用紙の青目盛りを色の置換えで抜いてグレースケール化。
4: バックアップ。
5: 入稿サイズ(原寸)に縮小し、余白を切り取り。
6: トーンカーブでコントラストをあげて、主線の濃線化、鉛筆の消し跡を飛ばす。
7: 線画を2値化し白地を透明化してレイヤ化する。
8: 2回目バックアップ。(3-8はアクションで1ボタン化)
9: 仕上げ作業。
10: アミ点化前に3回目バックアップ。
11: トーンの2値アミ点化。レイヤ統合、モノクロ2値化。
12: 入稿用にZIP化。
13: 最終バックアップ。2回目のバックアップ削除。


…もっと効率が上がらないか模索中。
線画もデジタルでやればだいぶ省力化できるはずですが
漫画用の特化ツールはいまいち肌に合わないとか、線の質感の問題で見送り中です。

- WIP "ASAGIRI NO MIKO"#6 / "Neko-Shamisen"#1

2008-02-01 23:22:35 | ■Official info
ご無沙汰してます。
おかげさまで朝霧5巻の重版が決まったそうです。
お買い求め頂いた方々には感謝がつきません。ありがとうございました。

・第二版は内容に変更はありませんが、若干の修正をしました。
初版との変更点

もう一点、告知が遅れましたが、原稿依頼いただいた2誌の内の1つ
キルタイムコミュニケーションさんのコミックヴァルキリー3月号に
”炎情の猫三味線 -必殺剣地獄風車-"が掲載されました。

ご覧のとおり、朝霧のこまっぽい猫耳の人が主人公ですが、演じている女優が同じ、という裏コンセプトです。
・・・ので結実にあたる人も、姉役ででています。
朝霧では嫁と姑の骨肉の争いらしいことが直接表現ではあんまり出来なかったので、
今作で存分にやりあっていただいた感じです。

掲載誌が割と刺激強めの誌面ですので、健全な少年少女にはお勧めしませんが
アクション+おばか+お色気のB級感がお好きな向きは
ポップコーンムービーなノリで体に悪そうなものをばりばり食いながらパラパラ読んでくだされば
いい感じの短編作品になってるかと思います。

手間の許す限りのアッタマワルイ悪いネタ、往年の時代劇・ガンアクションのパロディやら
仕込んでますので色々ツッコミ甲斐はある…はずです。
(タイトルからして必殺剣地獄風車とか言ってますが、そんな技は出てきません)

絵作りは、ぱっと見た目はいつものかんじですが
今回は仕上げから先は全てデジタルで行ったり、
遠隔地の人にオンラインストレージサービスやメッセンジャーを使って原稿の手伝いを頼んでみたり、
入稿もFTPアップロードを使用させてもらったりetc...、裏でいろいろ新しいチャレンジをしています。
まだまだ改善と勉強の余地がありますが。

今年は転機のための一年という感じになりそうです。
よろしくお願いします!