棋聖戦Aリーグは崖っぷちからの大逆転で井山名人が優勝。
高尾9段と挑戦者決定戦を争うこととなりました。
羽根碁聖は勝てばAリーグ優勝でしたが、苦手の山下本因坊に中押し負け。
今期はことごとく急所で山下本因坊に負かされてしまいました・・・。
ところで問題なのがこの羽根ー山下戦。
何が問題かと言うと、最後の攻め合いのところはどう考えても羽根碁聖の勝ちだと思うのです。
詳細は週刊碁なり碁ワールドなり見てみないとわかりませんが、ちょっと不可解なところがありました。
そこを含めて振り返ってみたいと思います。
黒番:羽根直樹碁聖
白番:山下敬吾本因坊
結果:172手まで山下敬吾本因坊の白番中押し勝ち
最初は平易な序盤で始まりましたが、白16の打ち込みから競り合いに。
黒9まで上辺は一段落。白10の打ち込みから黒はゴリゴリと決めました。白20に対して受けるのは利かされということなのでしょうね。黒26はQ2スベリくらいでは甘いとみましたか。
黒は右下隅にはいって地を稼いだので当然下辺の黒石は攻めを食らいます。
白41で、、、
出切りは無理ですね^^
黒26とドカンと打ち込み。K6の黒石の動き出しを睨んだ手ですね。
白10と手堅く中央の黒石を取り込んだのは計算ができていたのか、白が無理と判断したのか。
しかしその後の左辺の白石を取られたのは誤算としか考えられません。ここが取られて何事もなければ終了です。
左辺の攻め合いですが、、、
黒3=A10 黒7=B10
以下は1例ですが、白2と打ってもA10にさえ打てばどう打っても黒の1手勝ちなのです!
山下本因坊は下辺からの大石への攻めに全てを託します。
以下のようになり黒投了となりました。
しかし!
これはどう考えてもおかしい!
問題は黒21の放り込みです。
ここは黒1と抜く1手でしょう!
ここで白はQ7から白1子を取られる手を防がないといけません。
例えば白2と押さえると、やはりQ7割り込みから追い落としがあるので黒5までが先手で利き、右辺の黒ははっきり生きです。
これが実戦との大きな違いなんです。
白2には当然黒3です。実戦は黒3でなく黒S9に打って白はR8につなぎ、それから黒がT16に放り込んだのと同じ理屈になっています。
*訂正(10月2日20時30分) 黒3ではQ7から取ってしまう手がありますね。失礼しました。
白はどう打っても右辺の黒は生きるので、みやすくするため白2と防いだとしましょう。
そこで実戦のように黒3に放り込みしろ4つなぎに黒5とつぐ。
これで果たして攻めあいはどうなるかということですが、、、
以下1例ですが、白6とアテコミを防ぎつつ手数を伸ばしても、どう打っても黒が手勝ちとなります。
上述の例は黒の攻めあい2手勝ちです。
詳細は解説待ちですが、2手勝ちを覆すにはよっぽどの妙手が発見されないと無理としたものでしょう。
これは羽根碁聖、痛恨のミスだったのではないでしょうか?
ミスだとしたら残念無念です・・・。
残るは王座戦のみになってしまいましたが、考えてみれば張栩棋聖も井山名人も2冠。
現在の囲碁界は群雄割拠で、どんなに頑張ろうと調子が良かろうと、2冠くらいが限度ともいえます。
羽根碁聖は王座戦に集中して頑張ってほしいですね。
それでは今日はこの辺で。