秘密の間

　　＜in リビング＞

　続「そういえば。あの人の部屋って、どんなふうになっているのですか？」
アスカ「あの人？」
　続「水奈さんですよ」
壱鬼「なんで兄貴の部屋のこと聞くんだ。続の兄ちゃん」
　続「その呼び方、やめてくれませんか」←少しイラッ
アスカ「知りたい―！」
ジュン「俺もや。どんな部屋なんだ？」
壱鬼「知るかよっ」
アスカ「知りたい、知りたい、知りたい！！」←飛び跳ねる
壱鬼「知らないって言ってるだろ！」←怒鳴る
佑希・終「「怒鳴ることはないだろ」」
壱鬼「一度も、水奈兄貴の部屋に入った事ねぇし」
　余「そうなの？」
ジュン「チッ。つまらんっ」
壱鬼「つまらんで悪かったな（怒）　お前はトキエ姉ちゃんの部屋に入った事あんのかよっ」
ジュン「ない。ていうか、入りたくない」
壱鬼「人のこと言えないじゃんか」
ジュン「だってよ。入ったら最後、生きていられないぜ」
　余「じゃあ、千一さんは？　秘書だから入らないといけないでしょ？？」
佑希「（そこであいつの名を出すのか……）」
ジュン「千一兄ちゃんは別だ。あん人は気にしておらへんからな」
　続「あの人は、何処かおかしいんです。君と同じように」
ジュン「どういう意味や（怒）」
壱鬼「そのまんまだろ。どうしたんだ、終。黙り込んでよ？」
　終「おれっ……あの人の部屋に入ろうかとした時があったけどよ」
　　『えっ！？』
　終「ドアノブに手をかけた瞬間、どっかから冷たい風が吹いてきて、手に見えない針のようなものが刺さってきてよ……手を離しても、まだ感触が残ってるんだ」
アスカ「怖いよ～～」
ジュン「てか。なんで怖い話になってるんや？」
　終「知るか。けど一つ言える事が……あの人の存在は、恐ろしいってことだ」
ジュン「いつもだろ。水奈の存在は」
　余「えっ。水奈さんなの？」
ジュン「おいおいっ」
　続「誰も見た事がないのですか？」
佑希「見てはないけどよ。音が聞こえたな」
　続「夜はなしですよ」
佑希「昼だ！　たしか『チャリ』『カチャ』だったか」
壱鬼「なんだよそれっ」
　余「鎖の音じゃないの？」
ジュン「（あー……。なんか想像できるな……）」
佑希「というより、壱鬼。洗濯物の片付けは、誰がやるんだ」
壱鬼「服をたたむのは、水奈兄貴だけど」
佑希「部屋に持って行くのもか？」
壱鬼「それはオレとアスカもやってる。なぁ、アスカ」
アスカ「うん。よくっちとジュン兄とトラ吉の分を運んでるの～」
佑希「トラ吉言うんじゃねえ！！」
壱鬼「オレは自分の分と、アスカのを持っていってるな」
　終「においとか嗅いでないよな？　変態だぞ」
壱鬼「こいつと一緒にするな」←ジュンを指す
ジュン「なんでわかった！？」
壱鬼「分かるわい！！」
　終「……なぁ、他になかったのか」
佑希「そういえば。始の奴が、前に翼乃が部屋を飛び出していったのを見たって言ってたな」
　続「誰の部屋ですか？」
佑希「たしか、水奈の部屋だとか。飛び出した翼乃はそのまま部屋を出て、始もなんとなくその場から去ったんだと」
壱鬼「っていうか。あの二人いねぇぞ」
　余「あ、ほんとだ」

　　＜in 屋根の上＞

翼乃「（ガタガタガタガタガタガタッ）」←震えている
　始「（すごい震えだ……）見たのか、あの部屋を？」
翼乃「みみみみみみっ、見た！」
　始「何があったんだ」
翼乃「あっ……あれをいつから持っていたのか………」
　始「あれ？」
翼乃「SMセット」
　始「……あれか。ムチとか施錠とか蝋燭とかの」
翼乃「そ、あれ。水奈兄さんがいない時に、泳地兄さんと一緒に部屋に入ったんだ」
　始「あいつもか？　興味でもあったのか」
翼乃「俺が誘ったんだけど。考え込んで『迷うから、行く！！』、て言った」
　始「そうか」←ガクッ
翼乃「他には、恋愛物の本とか同人誌とか」
　始「どうじんし？」
翼乃「それを話すと、NGになるからまた今度で」
　始「他には」
翼乃「俺が秀子から取った作品がなぜかあった」
　始「どうして取るんだ？」
翼乃「あまりにも、リアル過ぎるから」
　始「……」
翼乃「パソコンの履歴を見たんだけどよ。どれも、１８禁のあるサイトだった」
　始「パスワードとか、パソコンには見られないようにロックしてあるものだろう？」
翼乃「ああ。解除した」
　始「（この子は、一体………）」
翼乃「後ろを向いたら入口に水奈兄さんがいたから、俺は泳地兄さんを殴って窓から逃げた」
　始「殴るか」
翼乃「腹を打っただけだ。強めに」
　始「（それでも痛いと思うが……）それでその後は」
翼乃「食事当番を増やされた」
　始「そりゃ、かわいそうにっ。そういえば、泳地は何処にいるんだ？」
翼乃「水奈兄さんの部屋だ」
　始「………拝む」←手を合わせる
翼乃「俺も」←同じく



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　泳地×水奈前提で、『開かずの間』の続編でした。
　二ヶ所で、同じことを話していました。（居間は神家の私生活が少し）
　屋根上の二人は、目撃したもの同士みたいなもので―
　おまけ（１８禁）があるので、それは『外伝小説２』に出します（出せれるかどうか……）