春烙

寒いなあ…

お泊り会をしようっ!

2008年12月11日 21時55分34秒 | 二次創作(少年&小説系)

 そして、金曜の夕方前。
「うーん」
 居間のソファーで壱鬼は考え込んでいた。
「まだ考えてるの~」
 壱鬼の隣で、アスカが尋ねていた。
「どうしても決められねえんだ」
「なんだ。まだやってるのか」
 台所から佑希が現れて、ソファーの後ろへと向かった。
「兄貴達が悪いんだからな。部屋決めを俺に押し付けてさ」
「ああ、確かに。こいつの耳が立ったまま、だしな」
 佑希はアスカの頭にある猫耳を指していった。
「なんで、アスカの耳が立ったら分かるんだよ」
「こいつ、お前の事となると耳が立ったままになるからな」
 佑希が言うと、壱鬼はアスカの方を向いた。
「う~っ」
 恥ずかしくなったアスカは、猫耳を頭にくっつけて、身体を丸めてしまう。
「なっ。
言ったとおりだ……」
 ろっと、佑希が壱鬼のほうを見ると。
「(可愛すぎる……!!)」
 壱鬼は鼻血を大量に出して、アスカを見つめていた。
「……真面目にやれ」
 佑希は壱鬼の頭をゴスッと叩いた。
「いってえ~!」
「だいじょうぶ~?」
「やめておけ。余計に悪化するだけだ」
「あっか?」
「気にするな。さてと、準備しねえと」
 と言い、佑希は台所に戻った。
「……考えよう」
「はい、ティッシュ」
 アスカがティッシュを渡すと、壱鬼は鼻血を拭き取り部屋割りを考え始めた。

 ――数分後。
 ピンポ~ン。
「誰か来たね」
「そうだな」
 ピンポーン。
「出ないの?」
「あ? 出るわけにはいかねえだろ。考え中だし」
 ピンポーン、ピンポーン。
「アスカが出ろよ」
「でも~」
 ピンポンッピンポンッピンポンッ。
「壱鬼と一緒にいたいし~~」
「可愛いこと言うようになったな」
「えへへっ(照)」
 ピンポンッピンポンッピンポンッピンポンッ。
「ほんと可愛いよな。食べたくなるくらいに」
「~~(真っ赤)」
「そんなに赤くなられると。やりたくなるだろ」
 ピンポンッピンポンッピンポンッピンポンッピンポンッピンポンッピンポンッ。
「いっ。いいよ、しても(///)」
「そうか……んじゃ、遠慮なく」

「「「いい加減に出やがれ! このバカ!!」」」
 台所から佑希が出てきてトンファーを、縁側の外から終と大助が現れて持っていた荷物を、居間にいる壱鬼に投げつけた。
「うるさくて集中できねえだろうが!」
「鳴ったらすぐに出ろ!」
「イチャつくんじゃねえ!!」
 終と大助は靴を脱ぐと、縁側から中に入った。
「おじゃましま~す。って、うわ!?」
 3人が文句を言うと、壱鬼のいるソファーの後ろの戸が開き、海斗が現れて驚いた。
「なんだよ、一体!!?」
「どうしたの、海兄ちゃん?」
「うわー」
 海斗の後ろから優斗と千一が出てきて、居間の様子を見渡した。
「戦闘中のようだね」
「何やってんだが」
「お前ら! いつもいつも、そこから入ってくるな!!」
「ひっ!」
 佑希の怖い顔を見た優斗が悲鳴を上げて、千一の後ろへとまわった。
「優斗君が怖がっているよ、トラニン」
「誰が、トラニンじゃ!」
「優斗が怖がってるだろ!!」
 海斗は短剣を取り出して、佑希に投げつけた。
「なんのっ!」
 佑希はもうひとつのトンファーで短剣を弾き飛ばした。
「ちっ!」
「もっと気をつけて投げることだな!」
「……それはいいがな、佑希」
 突然。あたり一面に黒い瘴気が漂ってきた。
「気をつけるのは、お前の方だぞ」
「なっ!?」
「な、なんだ!?」
「身体が!」
「うごけねえー!!」
 壱鬼(気絶中)・アスカ・千一・優斗以外の4人の動きが止まっていた。
「ど、どうしたのかな?」
「瘴気にあったんだよ、きっと」
 千一と優斗は瘴気にあたっているにも関わらず、身体を動かしていた。
「下が騒がしいと思ったら。なにやってるんだよっ」
「おかげで、昼寝ができないだろうが……」
「翼乃が起きたらどうするんだよ、ああ?」
 瘴気を出している泳地とジュンは、それぞれ銃と剣を手にしていた。
「貴様ら、覚悟は出来ているんだろうな?」
「手加減しねえぞ」
「「「「――!!!!」」」」

「いつまでやればいいのですか。もう指が疲れてきましたよ」
「だったら、やめればいいだろ」
 呆れて始が言うと。
「それもそうですね」
 続は右手を下ろすと、左手でチャイムを鳴らした。
「そうじゃなくて!」
「なんだか、中が騒がしいね」
「そうだね。何かやっているのかな?」
 余といおりは二人が向かっていった縁側の方を見ていた。
「もう押すのはやめろ!」
 チャイム音に耐えられなくなった始が、続の左手首を掴んで音を止めた――だが。
「イヤー! 放して――っ!1」
「なっ!?」
「「!!」」
 とその時。玄関扉が開かれた。内側から現れた水奈が、玄関前でおきている光景を見て。
「子供のいる前で、しかも他人の玄関前で何をしているのですか。あなたがたは?」
 水奈は涼しげな笑みを浮かべて言った。
「――!!!」
 水奈に言われたことに驚いたのか、笑みの裏にある恐怖を感じたのか。全身が凍りつたのを、始は感じてしまう。
「それはあなたが言う言葉では、ないでしょう」
「おや、そうですか?」
「あなた達だって、子供の前でしていませんか?」
「覚えがありませんねぇ」
「(い、今のうちに!!)」
 2人が睨みあっている隙に、いおりは余の手を掴んで、水奈の横を通って家の中に入った。

 いろんな所で騒いでいるなか。
「……」
 屋根裏部屋で眠り続けていた翼乃が目を覚ましたが、眉間にしわを寄せていた。
「うるせえ……」
 機嫌悪く呟くと、翼乃は再び眠りについた。


 中編でした。
 第3部は、キャラ視点で、それぞれの夜ですっ。
 死神、目を覚まします。



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