春烙

寒いなあ…

ある日突然変わった日常生活

2009年05月25日 21時42分10秒 | 外伝小説 2

 ある日の事。
「おい。おれのライター知らないか?」
 翼乃・ジュン・佑希のいる居間に泳地が入ってきて、消えてしまったライターを聞いていた。
「知らん」
「俺は吸わないぞー」
「どうせ、何処かにやったんだろっ」
 ジュンと佑希が言うと、泳地は本を読んでいる翼乃の方を向いてこう言った。
「翼乃、火をくれないか」
「わかった」
 翼乃は片手を広げて火の玉を出し、泳地に渡した。
「おい……」
「悪いな」
「おい…」
「別に。いつものことだし」
「おい!」
 なぜか佑希が怒鳴りだし、3人は佑希のほうを振り向いた。
「なんだよ、トラ」
「トラって言うな!」
「怒鳴るな。一体何があったんだ」
「お前らよ――毎日力使って、疲れねぇのかよっ」
「……何言ってるんだ??」
「はぁ?」
「ついに頭が壊れたか」
 泳地は首を傾げ、ジュンは呆れ、翼乃は意味不明な事を言った。
「壊れてねえ!」
「なんでそんな事を言うんだ、佑希」
「お前ら。いつも能力を、生活の大半に使ってるだろ?」
「大半というより、ほとんどだな」
 泳地の『念動力』で身体を浮かせられている翼乃が言った。

「それはお前とジュンくらいだろっ。能力を使う奴は、体力か精神に負担がかかる……なのに、だ!
 トンファーを両方取り出すと、翼乃と泳地に投げつける。
「お前ら兄妹ときたら、顔色変えずにいろいろ使いやがってよ!」
「別にいいんじゃねえの?」
 一人だけ打たれなかったジュンが、佑希に言った。
「使いたいように使えばいいだろ。負担にならないようにさ」
「たしかにな。けどな。俺が一番気にしているのは、能力の使い方だ」
「能力の使い方??」
 ジュンが首を傾げて聞くと、佑希はどこからかロープを取り出す。
「ああ、そうだ――」
 シュッとロープを投げ、居間から逃げ出そうとした二人を止めた。
「おい、こら。何処に行こうとしてるんだ」
「「……別に」」
 目を泳がしている2人を見て、ジュンは思わず笑った。
「まずは、泳地。お前は『念動力』で物破壊過ぎ。あと家の横で穴を開けるな、通れないだろ」
「……物といっても、花瓶が多い。それにあの穴は、練習で出来た穴だ
「場所を考えろよ! 次に、翼乃。お前の能力は凶器に近いっ」
「…俺は凶器使いか」
 ロープを外しながら、翼乃は佑希を睨みつけた。
「まぁ、そうともいうよな。お前は『心読み』と『透視』の組み合わせで、ある意味で犯罪になってるぞ
「もう、犯罪犯してるんだけど」
 なぜか真剣な顔つきで、翼乃は言った。
「翼乃の犯罪暦は、俺たちより上だからな」
「14年間に何があったんだっ」
「いろいろだけど」
 と、なぜか真剣な(略)
「そういや。あの三人は何処だ?」
 ジュンがいう三人は、水奈・壱鬼・アスカのこと。
「水奈兄さんは花園じゃないの。あとの2人は知らないけど」
「……聞いてもいいか。花に水をやるのは当然だよな?」
「あ? 当たり前だろ……」

 四人は黙り込むと、居間を出ていき、裏庭にある花園へと向かった。
「――どうかしましたか?」
 突然入ってきた四人に水奈は首を傾げていた、が。
「「「……」」」
「おい。お前今、何してんだ」
「何って。水遣りですよ」
 小さな雨雲を浮かせて水遣りをしている水奈に、四人は(少し)呆気に取られていた。
「それが何か??」
「……実はな…」
 4人は居間で会話していた事を、水奈に話した。
「そうでしたか」
「まあ、お前さんの場合は別に攻撃的なのはないからいいだろうよ」
……そうでもないんじゃない
 と、翼乃が目を細めて言った。
「水死とかあるし」
「……それはそうだ」
「それはどういうことですか」
「つまり、回復系は最大の攻撃ってことだろ?」
 ジュンが言うと、なるほどっと2人が納得し、一人は少しむかついていた。
「ちょっと嫌ですね、それ」
「どこがだ?」
「僕はゲームでいえば、僧侶ですよ。回復が主なのに、攻撃なんて嫌ですよ」
「(僧侶というより、アーチャーだろ!?)」
「(攻撃がいやじゃねえだろ!)」
「(いつも弓でズバと刺しているじゃん)」
 ジュン・佑希・翼乃が心の事実を叫んでいるのに、あの男は性格が鈍い所為なのか見方がおかしいだけなのか。
「弓を引く僧侶もいいんじゃないのか」
 この発言に、ずっこけたり、雨雲を自分の上に浮かせて降らせたり、発言者を殴ったりとしていた。

「……それにしても」
 翼乃・ジュン・佑希は、家に戻ってきていた。
「あいつが、泳地のライターをもっていたとは……」
「「そこなのか。おいっ」」
 泳地は花園に残り、ただいま、次男に説教中。
「説教というより、お仕置き?」
「それ以上言うなっ」
 家に入ると、3人は妙に怪しげな風を感じた。
「なんだ、この風?」
「なんか変な感じがするが……」
「ていうか、どこから吹いてきてるの。この風は」
 風が流れてくる方向に向かっていくと、季節の間へと着いた。
「季節用の部屋じゃねえか」
「しっ。何か聞こえてくる」
 翼乃に言われ、閉まっている戸の前で息をひそめると。

「あ~、また負けた~~」
「これで20回目だな」
  ビュー
「やっ!」
「うーん。うまく当たらないな…」
「あ~! またおかしな所、破った!!」
「あぁ、わりぃ」
「これじゃあ、服がボロボロになっちゃうよ――!」
「……それはそれでいいよな…」

 カチッ―――、バーッン!

「「……」」
 扉をバズーカで壊した翼乃を見て、ジュンと佑希は呆然としていた。
「うわっ!」
「翼乃! あれほど家の中で打つなって、言ってるだろ!!」
 アスカをかばいながら壱鬼が怒鳴りつけると、翼乃はバズーカを肩に背負って入ってきた。
「ほう。そんな事言うんだ?」
「な、なんだよっ」
「今まで何してたんだよ、ここで。あぁ?」
 ケンカ腰で告げる妹には、言いようにも言えない程のプレッシャーを与えてしまう事がある。
「遊んでたよ?」
 ただ、アスカだけはその影響に受けていなかった。
「何の遊びだ」
「じゃんけんで、負けたら服の一部を切るのー」
「それは遊びと言えるのか、おいっ」
「遊びと言うより、プレイだろ?」
 ……神家の年少組に原型を崩されてしまった青年の姿を見て、佑希は「哀れだ」と同情した。
「(壱鬼の力は良い方向だったら良かったのにな――『瞬間移動』を正しく使えば、の話だが)」
「だから、血は争えないないよなよ」
「またそれか。お前もいい加減にしろよなっ」
「はっ。それ言いたいの、俺のほうなんだけど」
「「……」」

 佑希がアスカを連れて季節の間を離れた後、その場所は戦場とかした。



  神兄妹+佑希+アスカ+ジュンでした。
 『これが日常生活』の続編みたいな話です。
 兄妹の能力に疑問を持つ佑希が聞く、という具合です。そういう中でも、あちらこちらではイチャついてますけどね……
 最後は、末っ子と三男の戦争です(今回、戦場の場は季節の間)。

泳地「だからなんで、あいつらがケンカすると部屋が崩壊状態になるんだ!?」
水奈「アハハハ~」



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