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小覇王の徒然なるままにぶれぶれ!!!

映画、ドラマ、漫画!
「小覇王の徒然はてな別館」の旧ブログです。2008年から2009年にかけての徒然なることを。

私を地獄に連れてって スペル

2009年11月27日 | 映画

 サム・ライミ監督の新作ホラー、「スペル」を鑑賞。 

 実は最初、この映画を見る気はなかった。というのも事前情報としては、サム・ライミのホラー映画という以上に情報を仕入れておらず、「サム・ライミのホラーかあ。まあ、ライミも「スパイダーマン」でいまやすっかり大物だし、お上品な作品なんだろうなあ」という認識でいたのだ。もはや僕の中ではすっかり「死霊のはらわた」の人ではなかった。

  

 ところが、こちらのブログでこの映画を紹介していた。

 

 必見!愉快なホラー映画『スペル』 - 俺の邪悪なメモ

 

 要約すると、これは「ババアが若い女の子をストーキングする映画」らしいのだ(強引なまとめ)。

 これは面白そうだ!というわけで一気に観たくなってきて、最終日に観てきた。

                Dragmetohell

 

 主人公は「ビッグ・フィッシュ」でユアン・マクレガーの奥さん(というかジェシカ・ラングの若いころ)を演じたアリソン・マーロン。この娘の印象はか弱い感じの美少女だったのだが、さすがに少し大人っぽくなっている。個人的にPerfumeあ~ちゃんに似てるので今後あ~ちゃんと呼ぶことにしよう(同じAから始まるし)。

 彼氏役は「ギャラクシー・クエスト」のジャスティン・ロング君。さすがにもう「ギャラクエ」から10年経ってるから子供には見えないが、いまだに頼りなさそうさはピカ一。

 

 冒頭、ジプシーから首飾りを盗んだ少年が呪いをかけられとある霊媒師のところに担ぎ込まれる。それだけだと少年が悪いように思えるが、この少年きちんと謝罪して返そうとしたにもかかわらず、許してもらえなかったというのだ。

 結局少年は霊媒師の眼前で地獄に引き込まれ、霊媒師は悪霊に再見を誓う。

 

 そして、現在。あ~ちゃんは銀行で融資係をしていて彼氏のジャスティン・ロング君は名門の出(どうやら大学で心理学を教えているようだ)。自分は農家の出なのでつりあうように次長に昇進するべく頑張っている。

 ある日、ジプシーの婆さんがローンの返済の延滞を求めてきたが、ライバルに差をつけたいあ~ちゃんは断ってしまう。するとババア豹変!怒り狂う。

 そして、この後、前半の見せ場とでも言うべき、地下駐車場、車内でのバトルが始まる。あ~ちゃんの車で待ち構えるババア。主な攻撃方法は噛み付き&チョーク。対するあ~ちゃんはホチキスや定規で反撃だ。うまく車内から締め出したがババアは何と駐車場の車止めの石でガラスを割る!凄い怪力。ババアはあ~ちゃんのコートから袖のボタンを引きちぎり、勝ち誇って呪いをかける。つまりこの乱闘は完全に超常現象抜きの肉弾戦だったのだ。

 

 そして、呪い(三日間嫌がらせを受けた挙句三日目に地獄に連れて行かれる)によるババアの嫌がらせが始まる。そのほとんどが、ババアが突然出てきて驚かすというもの。

 上司の前で鼻血ブーしたあ~ちゃんはババアに謝罪に行くが、ババアはすでに死んでいた!死体から口移しに何かもらってしまうあ~ちゃん。それにしてもこの時の孫娘(?)の態度が酷い。ごめんですんだら警察はいらねえ、の世界だ。生きてたら生きてたで、死んだら死んだでどこまでもはた迷惑なババア。

 占い師に従って、飼い猫をいけにえに捧げたのに効果なし。ついにはジャスティン・ロング君の実家で粗相をしてしまう。さらに昇進までフイになる始末。

 

 このままじゃ埒があかねえ、と占い師の師匠の霊媒師(冒頭の人)に頼んで除霊してもらおうとするが、一時的に追っ払っただけで失敗。すると占い師が「呪いをかけられたボタンを他人に贈ればいいんだよ」とぶっちゃけ。最初に言えよ!と思うがこの辺からオチが見え始める。

 で、オチが見えるとこの後のあ~ちゃんの行動は全部道化に見えてしまう。カワイソス。   ジプシーの呪いって言うとスティーブン・キングの「痩せゆく男」とか「バフィー恋する十字架」のジプシーの呪いを受けて魂を持ったヴァンパイア、エンジェルとかが思いつくのだが、みなしつこい。実際のジプシー的にはいいんでしょうかね。

 

 死ぬまでに期限があるところや、呪いを他人に移せるところなんかは「リング」等日本のホラー映画の影響を受けてるとは思う(ライミはハリウッド版「呪怨」のプロデューサー)けど、がんがん見せちゃうところはやっぱりアメリカ風。

 

 ところでこの「スペル」って邦題はどうなの?原題は「DRAG ME TO HELL」で「私を地獄に連れてって」(このタイトルなら勘違いしたカップルが入ったかも。いや、ないか)という素敵なタイトルなのに。 冒頭、あ~ちゃんが訛りを直すべく、カーステで発音練習してるシーンがあるけど、そっからとったのか?

 

 ラストの余韻のない終わり方も含めてとても楽しい映画。観て損はなかった。


イングロリアス・バスターズとタランティーノの思い出

2009年11月25日 | 映画

「「ライク・ア・ヴァージン」の意味を教えてやるよ。本物のファック・マシーンって感じの女についての歌なんだ。朝昼晩、ちんこ、ちんこ、ちんこ、ちんこ、ちんこ、ちんこ、ちんこ、ちんこ、ちんこ、ちんこってな。で、ある日、その女はジョン・ホームズみたいな巨根男に出会う。もうウォアァッ、ベイビーって感じなんだ。その男はまるで『大脱走』のチャールズ・ブロンソンみたいでさ。トンネルを掘る勢いなんだ。強烈なちんこアクションを食らった女は永遠なぐらいに感じたことのない感触を思い出す。苦痛。苦痛だ。痛い。痛いんだ。痛いはずがないのに。彼女のマンコはバブルガムみたいに伸縮性があるはずなのに、その男とファックすると苦痛を感じる。まるで初めてのときみたいに痛いんだ。その苦痛がファック・マシーン女に処女だったころを思い出させる。だから「ライク・ア・ヴァージン」なんだ。」

 

「こんな話聞いてられねえよ!」

    別冊映画秘宝「「キル・ビル」&タランティーノ・ムービーインサイダー」より

 

注意! 今回の記事については記憶と妄想がごちゃ混ぜになっており、筆者もどこまでが事実か分からなくなっております。

 

             Inglourious_basterds_poster

 

 あれは高校二年のことだったと思うが、映画仲間の間で「パルプ・フィクション」という映画がどうやら凄いらしい、という話題で持ちきりだった。カンヌでパルム・ドールを取ったその映画の監督はクエンティン・タランティーノという珍妙だが耳に残りやすい響きを持つ人物だった。

 その映画の公開に先駆けて脚本を担当したという「トゥルー・ロマンス」と監督デビュー作の「レザボア・ドッグス」見る機会があった。「レザボア・ドッグス」は名画座もかねていた映画館で「パルプ・フィクション」の公開に備えて、という企画だったと思う。

 「トゥルー・ロマンス」はテンポこそ普通の映画だったが、せりふやキャラの設定に不思議なものを感じた。そして「レザボア・ドッグス」!

 僕たちはすっかり魅了されてしまった。映画そのものもさることながら、冒頭の会話シーンでつかまれた。やがて、そのシーンで喋りまくっていた川谷拓三似の男こそ監督のクエンティン・タランティーノその人だと知った。

 

 僕たちはこの映画とそれに続く「パルプ・フィクションに」魅了されていたから、当然のごとくこの映画の真似を始めた。

 手始めは日常会話に「ファック」または「ファッキン」の語を挿入する。もちろん日本語の会話だ。法則なんて分からないから使用法は適当だが、それだけで映画スターになった気分になれた。「レザボア~」の基ネタが「現金に体を張れ」や「友は風の彼方に」だと知ればそれを追いかけた。

 

 あるとき、僕らは今まで身内だけで行っていた「レザボア~」ごっこを外でやろうと思いついた。冒頭のライク・ア・ヴァージン」談義を実際に人前でやってみよう、というわけだ。ファーストフード店にブレザー姿の高校生が5,6人固まっている。やがて大きな声で(もちろん日本語で)ウェイトレスのチップの話から「ライク・アヴァージン」の話になる。

 僕はタランティーノの役だった。大きい声で暗記した内容をしゃべったが実はその時点ではジョン・ホームズ(巨根で有名なアメリカのポルノ俳優)が何者なのか知らなかったし、まだ「大脱走」を見ていな(「大脱走」ばかり見て暮らす「大脱走ニートになるのはその10年後ぐらいのことだ)かった。何よりその場にいた仲間は全員童貞だったはずで「ライク・ア・ヴァージン」どころか正真正銘の「ヴァージン」だった。

 一通り、シチュエーションをこなすと逃げるように去る。それだけの遊びだ。

 「パルプ・フィクション」の冒頭、パンプキンとハニ・バニーのシーンを再現するという企画もあったが仲間に女がいない上に最後までやると洒落ではすまないのであきらめた。

 

 やがて、大学生になり、一年目の秋になると、学園祭も終わり一段落着いたのでバイトを始めることになった。バイト先は当然、レンタルビデオ店だ。

 タランティーンノがビデオ店で働きながら脚本を書いた、という故事(そう、僕らにとってはもはや故事に近い)に従ったのだ。推測だけどあの当時、タランティーノに倣ってビデオ店でバイトをした映画青年は結構いたのではないかと思う。

 ただ、残念ながら僕のバイト先は駅前の大手チェーン店だったので忙しさが半端じゃなく、暇な時間に脚本を書く、なんて到底できなかった。

 

 というわけで、影響を受けた映画監督というのはいっぱいいるが実際に人生に影響を及ぼしたのはタランティーノ(とティム・バートン)ぐらいのものである。

 

 というわけで、そのタランティーノの最新作「イングロリアス・バスターズ」を鑑賞(前置きが長くてすいません、タイトルに「タラとの思い出」を加えました)。

 

 相変わらず、せりふが面白い。後は全体的にとっ散らかってる印象はある。思ったほどブラッド・ピットは活躍しない。その代わり強い印象を残すのがSSのランダ大佐だ。

 この映画は時間軸こそまっすぐだが全部で5章に分かれているので、こちらもそれにのっとって感想を書いてみる。いわゆる基ネタについてはもっと詳しい解説本が出てるし(これを書き終わったら読む予定)そんなに触れない。

 

 

 第1章 その昔・・・ナチ占領下のフランスで

 1941年のフランス、頑強そうな農夫ラパディットのもとにナチの親衛隊(SS)ハンス・ランダ大佐がやってくる。ランダはこの地域にいて忽然と消えたユダヤ人農夫一家を探していた。実はラパディットがかくまっていたのだが・・・

 

 オープニングはまるでレオーネ風。一見ジョージ・クルーニー似の農夫と妙にこのでかいランダ大佐が対峙する。最初、二人ともフランス語で会話するが、途中でランダが「フランス語は苦手だから英語で喋ろう」と提案。アメリカ映画によくある「なんでフランス(や、その他の国)なのに英語喋ってるんだよ!」という建前を基にしたギャグかと思いきや、最後にちゃんと理由が明かされるのにびっくり。

 この作品は基本的にアメリカ人、イギリス人は英語、フランス人はフランス語、ドイツ人はドイツ語しか喋りません。役者もその国の役者を使ってる。ゆえに有名な俳優はブラッド・ピットダイアン・クルーガーマイク・マイヤーズぐらい。まあ、それゆえにランダ大佐役のクリストフ・ヴァルツの存在感が際立つ。

 

 

 第2章 名誉なき野郎ども

 タイトルロールの”イングロリアス・バスターズ(不名誉愚連隊とでもいうのか)”登場。ブラッド・ピット扮するアルド・レイン中尉率いるユダヤ系アメリカ人部隊。こいつらはフランスのナチを襲っては頭の皮をはぎまくる。特に恐れられているのはバットでナチの頭を振るスイングする”ユダヤの熊”ドニー・ドノウィッツとドイツ軍兵士でありながらナチ将校13名を殺害し移送中にバスターズに助けられたヒューゴ・スティグリッツ。ヒトラー総統が自ら壊滅の指示を出すほどの特殊ゲリラ部隊だ!

 

 一応主役ということになっているブラピ登場。サミュエル・L・ジャクソン叔父貴並の演説をかます。バスターズはみんなやせ、ちび、太い眉毛の典型的なユダヤ人スタイル(ウディ・アレン風)でそんな奴らがナチを大虐殺するのだからたまらない。ナチ将校13人殺しのヒューゴはその理由が明かされないので、ちょっと不気味。ただの猟奇殺人鬼じゃねーのか、とか思ったり。

 ユダヤの熊ことドニーは映画監督のイーライ・ロスが演じている。

 そして、ついにナチの黒幕ヒトラー登場。この映画のヒトラーはわれわれがよく目にする「意思の勝利」の演説スタイル(それもクライマックスのところ)で常に喋っている。さすがにヒトラーは普段からあんなふうに喋ってはいない、と思うけど。

 

 

 第3章 パリにおけるドイツの宵

 1944年のパリ。若き女映画館主、ミミューはドイツ軍の英雄に惚れられる。彼は自分の武勇伝を映画化した作品「国家の誇り」に自ら主演し、その作品のプレミアをミミューの映画館でやろうとゲッベルスに提案する。当日映画館の警護を担当するのはランダ大佐。

 ミミューはプレミアを利用してナチどもを虐殺する計画を思いつく。実は彼女はランダ大佐に殺されたユダヤ人一家の生き残りショシャナだったのだ・・・

 

 バスターズ一切登場せず。ショシャナがかわいい。ランダ大佐の爬虫類的なねちっこっさは最高。この章の見せ場はショシャナとランダ。これに尽きる。

 

 

 第4章 映画館作戦

 イギリス。元映画評論家のヒコックスはプレミアに集まるナチ高官を一網打尽にすべく、バスターズと協力し、スパイのドイツ人女優と合流しようとする。指定されたバーは地下にあり、その日に限ってドイツ人将校が宴会をやっていた。

 ヒコックスはその訛りから将校に疑いの目を向けられる・・・

 

 イギリスのシーンではチャーチルが登場。後はひげを剃ったヒコックスが正直分かりにくかった。途中で出てくるナチ将校の爬虫類的なフェイスはランダに相通ずる気持ち悪さ。後どうでもいいけど、ヒコックスの訛り以前に同席してるヒューゴの顔見て気づくんじゃないの、とか思ったり。

 映画ネタでいうと、額に書かれた人物を当てるゲームで「キング・コング」が出てくるが「キング・コング」はヒトラーがお気に入りアメリカ映画。あの映画はいろいろと人種的な見方ができるけど、黒人を想起させる巨大猿に白人社会が脅かされる、というこの映画をヒトラーは絶賛したらしい。

 ヒコックス役のミヒャエル・ファスベンダーってパンフによると僕と同い年。信じられない老けっぷりだ・・・

 

 

 第5章 ジャイアント・フェイスの逆襲

 最終章。「国家の誇り」プレミア上映の夜。ナチの高官続々登場。アルドもイタリア人を装って出席する。一方ショシャナは巧妙にナチを火あぶりにする計画を実行していた。アルドはランダ大佐と出会うがあっさり正体を見破られ捕まってしまう。いよいよヒトラーまで出席し、プレミアは開幕。果たして計画は上手くいくのか?

 

 前章でドイツ語ができるメンバーが死んでしまったのでイタリア人のフリをしてバスターズに面々がプレミアに出席。ただし、こいつらはイタリア語がほとんどできない。話せるのは自分の名前と「ボンジョルノ!」だけ。対するランダ大佐はイタリア語もペラペラ。この人はドイツ語、英語、フランス語、イタリア語と喋れる。天才か!

 登場する実在のナチ高官はゲッベル(ゲッペルスに非ず)、ゲーリングボルマンそしてヒトラー。登場してないのは有名どころではヒムラーヘスぐらいか(ヘスはこの時期すでにイギリスに捕まっている)。

 

・・・・・・・・・

  

 さて、音楽は基本的にエンニオ・モリコーネを中心に使いながらいつものように既成の音楽を流用。個人的には5章の冒頭で流れたデヴィッド・ボウイがツボ。サントラを買おうと思います。

 

 ヒトラーの暗殺物というと結局史実を優先すると失敗に終わってしまうのでいまいち爽快感に欠けるものだが、タランティーノは悠々と史実を超えてしまう。ここはタラの脳内世界であり(「キル・ビル」の世界と同じようなものだと考えればよい)そんなことは気にしない。

 だから、歴史は変わってしまうが爽快感は残る。

 

 ところで、当時ご存知のようにアメリカは日本とも戦っていたんである。あの当時、極東方面にはバスターズはいなかったんですかね?いたらぜひその活躍を見たいなあと思ったり。まあ、そうすると史実では無事だったあの人やあの人も死んでしまったりして、日本では公開できないかな。でもみたい!

 

 個人的にはタランティーノの作品としては前作の「デス・プルーフ」の方が好きなんだけど、いろいろとツッコミがいはある作品。

 あっ、もしもブラピが大活躍するアクション映画だと思ってると裏切られますよ!いい意味で。その代わり見終わった後ランダ大佐の顔が頭から離れなくなるでしょう!

Inglourious_landa

ナチキャラに新風を巻き起こしたランダ大佐。真の主役。


ANVIL! THE STORY OF ANVIL

2009年11月17日 | 映画

 僕の好きなミュージシャンというとマイケル・ジャクソンプリンスデヴィッド・ボウイ、バンドならメタリカモーターヘッドレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンそしてラモーンズだったりするが、ファンになったきっかけは純粋に音楽的なものとは言い難い。

 メタリカはプロレスラーのサンドマンがECWで入場テーマに「ENTER SANDMAN」を使用していたのが知ったきっかけだし、モーターヘッドも同じくHHHの入場テーマだったからだ。

 デヴィッド・ボウイは存在こそ知ってたけど直接聞くきっかけは映画「セブン」で主題歌を担当してたからだしレイジは「クロウ 飛翔伝説」と「マトリックス」、プリンスは言わずもがなティム・バートン版「バットマン」。映画やプロレスがらみでないマイケルは兄の影響だろう。ラモーンズはちょっと例外でJUDY AND MARYの音楽をさかのぼって行ったら辿り着いた。

 もちろん、いったん好きになったら過去にさかのぼり、あるいは新しく出る新譜は映画やプロレスと関係なくてもチェックしたりはしてる、でも純粋に音楽を聴いて好きになるというよりはそのタイアップの映像を通してということが多い。

 そんな僕だからこのバンドのことは聞いたことがなかった。

 

 映画「アンヴィル! ~夢を諦めきれない男たち~」を観た。

              Anvil_ver2

 アンヴィルはカナダのヘビー・メタルバンドで後続のメタルバンドに大いに影響を与えたが大成しなかった。オリジナルメンバーはヴォーカル、ギターのスティーヴ・”リップス”・クドローとドラムのロブ・ライナー

 リップスは厳格なユダヤ教徒で短気で感情的、普段は給食の配達員をやっている。ロブは父親がアウシュビッツの生き残りというやはりユダヤ人で、リップスとは対照的に落ち着いていて思索する哲学者を思わせる。普段は建設作業員。

 二人は15歳で知り合って以来の仲だが、ともに50を過ぎ頻繁に映されるリップスの後姿からは伸ばした髪に薄くなった頭頂部が印象に残る。

 

 話は1984年の日本から始まる。日本のロックフェスでアンヴィルはボン・ジョヴィなど名だたるバンドの中でも一番人気だった。彼らの輝かしい映像とともにさまざまなミュージシャンがアンヴィルを語る。ガンズスラッシュアンスラックススコット・イアンなど。だがやはりここはメタリカのドラムにしてリーダー、メタリカの突貫小僧ラーズ・ウルリッヒとモーターヘッドのレミーだろう。彼らのような大物ミュージシャンがアンヴィルの凄さを褒め称える。

←当時の日本でのライブ映像。

 

 それから20年、彼らは変わらずバンドを続けていたが、もはやかつての栄光とは無縁だった。熱心なファンこそいるがバンドでは生活できない。普段は別の仕事に就き、合間を縫ってライブをする。

 ん・・こんな映画最近どこかで見た気がするなあ。というかこれは「レスラー」とほぼ同じだ。あの映画のミッキー・ロークもかつての栄光を引きずりつつ、止めたくないし、止められないという話だった。

 とはいえこちらは「レスラー」ほど悲惨ではない。(それなりに理解のある)家族はいるし、カナダというお国柄か結構いい家に住んでいる。全体的に悲惨というよりは笑えるユーモアに満ちている。

 

 アンヴィルは女プロモーターの企画で50日におよぶ東欧ツアーに出かける。最初こそ順調だったものの、客がほとんどいないところで演奏したり、ギャラがもらえなかったりと散々な目にあう。ここでリップスとロブが軽い喧嘩をするが、多分この20年以上ずっとこんな感じの喧嘩を繰り返してるんだろうなあ

 

 帰ってきた二人(一応この映画の時点ではアンヴィルには二人のほかにギターとベースがいるがオリジナルメンバーはリップスとロブの二人)は初期作品を手がけたプロデューサーにデモテープを送る。そのプロデューサーは彼らの13番目のアルバムを手がけても良いと連絡を入れる。ただし、制作費はアンヴィル持ちで

 彼らは金を稼ぐために奮闘する。リップスはファン(最初このファンも負け犬かと思ったら実は社長という勝ち組だった)のコネでテレフォンセールスの仕事(かなり激しい口調で電話で物を売る商売、多分日本には無いと思う)に就くが普段の激しさとは裏腹に厳格なユダヤ教徒の家庭で育ったリップスは上手くセールス出来ない。結局6日間ぜんぜん稼げずに辞めてしまう。

 結局姉(どうもリップスの家族は保守的な一方で、一族のはみ出し者で夢を追求するリップスに憧れを持っているようだ)から借りた金でアルバム製作に入る。ロンドンに行く一行。

 製作途中でついにロブとリップスが激突する。常に冷静であまり感情を出さないロブにリップスがキレる。反論するロブ、

 

ロブ「お前がストレスを感じてるのは分かる。だけど何故、俺にばかり当たるんだ。」

 

リップス「お前を愛してるからだ。お前は親友で家族だし、お前にぶつけられなかったら誰にぶつけろっていうんだ!

 

 このシーンは感動的。少し泣きそうになった。

 

 彼らは完成したアルバムの音源を持って大手のレコード会社各社に持ち込むがにべもなく断られてしまう。結局自主制作にせざるを得ない。

 その昔「ハードロック・ハイジャック」を見たときにも思ったけど、反体制的なロックでもいざ売ろうと思ったらハード・ロックなんてほとんど聴かないような奴に認めてもらわなければいけない、という矛盾。彼らは今までその矛盾に目を瞑ることが出来なかったからこそ売れることが出来なかったのかもしれない。

 

 そんな中、日本からロックフェスのオファーが来る。2万人の会場での演奏だ。かつては5人しかいない会場で演奏したこともある。もしもその会場で5人しか客が入らなかったら主催者に申し分けない。不安になる2人。

 しかしその会場は満員だった。客の何人がアンヴィルのファンかは分からない(別のバンド目当てかも)。でも彼らは一緒にアンヴィルの音楽を楽しんでいる。

 ラストは大都会東京、渋谷の交差点。リップスが叫ぶ、

「ゴジラだ!」

 

 この映画によって再び彼らが大ヒットを飛ばせるようになるかは分からない。ただし彼らにはほかのバンドには無い強みがある。彼らはたとえどんな状況に陥ろうと30年以上バンドを続けてきたのだ!


THIS IS IT 2回目!

2009年11月13日 | 映画

             Micael_j2

 マイケル・ジャクソンTHIS IS IT」二回目を観てきた。

 今回もIMAX。IMAXで観た後では同じ作品を普通のスクリーンでは観る気がしない。なんだかんだ言ってもIMAXは凄いよ。

  

 この作品は特に物語があるわけではない。

 別にハプニングも起きないし(勿論最後の最後にとんでもないハプニングが待ち受けていたわけだが)、それほど激しくスタッフがやりあったりするわけでもない。マイケルは完璧主義者だが、スタッフ、キャストに対して決して高圧的な態度で臨んだりしないし、きちんと誠意を持って接するので雰囲気は常に穏やかだ。

 だから、純粋なリハ映像以上のものではないんだけど、それでも映画としてこの作品は傑作、と言わざるを得ない。

 

 ところで最初の感想で、

ヒール・ザ・ワールド」のテーマ性は少しこの映画のコンセプトからはずれるような気もしないでもないけどマイケルの真摯な思いが伝わってくる。

 

と書いたのは「EARTH SONG」のことの間違いでした。「HEAL THE WORLD」はエンドクレジットで流れてたのでごっちゃになったみたい。

 これももう少し補足すると、この曲以外は基本的にコンサートのエンターテインメントの意味合いが強いのに、この曲の時だけ急に社会性の強いメッセージが前面に出てくるので他の曲とのバランスが悪いと思ったりしただけ。勿論マイケルの考え方そのものには何の不満もない。

 まあ、「環境破壊を4年以内に止めよう」とか言うのは「二酸化炭素排出量25㌫削減」のような夢想っぽいけどそんなのにつっこむのは野暮だったね、反省。

 

 そういえばこのコンサートでギターを担当してた女性を気になった人は多かったようでこんな記事を発見した。

 

マイケル・ジャクソンの映画「This Is It」の女ギタリストは誰だ、の問い合わせ。|洋楽天国

 

 アルバムなんかも出してるみたいなので興味のある人はどうぞ。

 

 しかし、今になって僕のマイケル熱が再発した。元々「オフ・ザ・ウォール」から「HIStory」まではアルバムも持っていたけど現在は実家に置いてある。だから死後に出たCDとかも購入するかどうか迷ってたんだけど、「THIS IS IT」を観たら我慢できなくなった。とりあえず、「THIS IS IT」のサントラとこの間見たばっかの「ムーンウォーカー」のDVDを買ってしまった。

 

ムーンウォーカー [DVD] ムーンウォーカー [DVD]
価格:¥ 1,500(税込)
発売日:2009-07-08

 上映終了までにもう一回観れたらいいな。


ムーンウォーカー

2009年11月10日 | 映画

MoonwalkerMoonwalker2

 

 今までのマイケル関連記事

 追悼マイケル・ジャクソン

  今夜はイート・イット&FAT

 MICHAEL JACKSON'S THIS IS IT

 

 未だ「THIS IS IT」の興奮が冷めやらず、マイケル・ジャクソンの1988年の作品「ムーンウォーカー」を鑑賞。約20年前の作品で、アルバム「BAD」の頃のもの。

 

 マイケルが亡くなって以降偉そうに色々と書いてきたが、僕がよく聞いてた時代ってアルバムで言うと「オフ・ザ・ウォールOFF THE WALL」から「デンジャラスDANGEROUS」までなんだよね。その前のジャクソン5の頃や最近の「インヴィンシブルINVINCIBLE」なんかはちゃんと聞いてはいない(これを機会に聞いてみようとは思う)。ただ、世間一般のマイケルの代表曲ってやはりこの時代のものが多いのも事実で、今回の「ムーンウォーカー」なんかはほとんどの人が聞いたことある曲ばかりだと思う。

 

 オープニングは「MAN IN THE MIRROR」のライブ映像。コンサートで感動のあまり失神してしまう人たちって当時兄が持ってたビデオとかでよく見たなあ。当時は「折角コンサートに来たのに 気絶してしまうなんて勿体無い、馬鹿だなあ」などと子供心に思っていたが今では分かる気がする。もしも幻のロンドン公演を現地で生で観れてたら多分感激で失禁してしまうだろう

 

 その後、マイケルの歩み。ジャクソン5からソロになって「スリラーTHRILLER」で大ヒットを飛ばすまでをダイジェストで振り返る。余談だがジャクソン5及びジャクソンズの映像を見る機会があったのだがジャクソン兄弟はそれぞれパフォーマー、エンターテイナーとして一級の力を持っている。その中でもマイケルはずば抜けていてやはり天才なのだなあ、と改めて思ったりした。

 

 その後は「BAD」の子供によるパロディ作品「BADDER」を経て「SPEED DEMON」「LEAVE ME ALONE」と続く。

 

 そして「SMOOTH CRIMINAL」。これが本作の一番の見せ場だろう。

 

 謎の組織(首領はジョー・ペシ!)の陰謀を知ったマイケルは命を狙われる。追い詰められたマイケルは星のパワーでロボットにトランスフォームしてジョー・ペシの野望を阻止するのだった。

 

 もう既に何回も見てるけどこの「SMOOTH CRIMINAL」のビデオは凄い。昔、メガドライブ版のゲームでマイケルと敵が一緒になって踊って踊り終わると敵が全滅する、というあれの元ネタ。

 後はラスト宇宙船にトランスフォームしてしまうマイケルは・・・この発想は21世紀になっても追いついてないよ。

 最後はビートルズのカバー「COME TOGETHER」のライブPV。

 

 とりあえず、「THIS IS IT」をもう一回観ようっと。