こんにちは大吟醸です。
2回にわたって話をしましたが、今回で最後です。
僕は普段の生活での主な移動手段は車です。前回も書きましたが
静岡は車がないとかなり不便なので酒を飲むとき以外は車で出かけます。
ある日の夕方、友人との食事のためバスで街まで行こうと思いました。
バスに乗ると乗客は僕を含めて5人。サラリーマン風の人と女の人、あと
若いお兄ちゃんが2人でした。その若い二人がジーンズをずらしてはいて
「むこう3日間が楽しきゃいいや」という感じのお兄ちゃんたちでした。
ふたりは楽しそうにその日の合コンの話をして「今日は決めてやるぜ」という
かんじでした。ある停留所に行くと車椅子の方が待ってました。
そのバスは車椅子の方が乗りやすいようにバスの車体が低くなる「低床バス」
というやつです。バスがとまり「車椅子の方がのられますのでご協力をお願い
します。」とアナウンスが流れていた途中でそのお兄ちゃん二人が立ち上がりました。
そしたら二人は車椅子の方に近づき「えいや」と軽々と車椅子の方を乗せました。
僕もサラリーマンの人も運転手の人も立ち上がって車椅子の方に近づいたときには、
二人は乗せ終えていたのです。
その後バスは発車し、二人の若者はまた合コンの作戦を立てていました。
若者たちは車椅子の方より先に下りたのですが、その際に車椅子の方が「ありがとう
ございました」というと二人はにっこりしてバスを降りたのです。
またあるときにはこんなこともありました。
静岡駅にあるスターバックスに行ったときのことです。夜の時間帯でしたが
お客は多く僕のテーブルの隣にはOL3人組が座っていました。3人組は楽しくおしゃべり
をしていますが良くみるとかなりオーバーアクションなのです。
「外人みたいだな」と思っているとみんな手話をしているのです。3人のうち
2人はしゃべっていたのでひとりの方が「聾唖(ろうあ)」のかたなのでしょう。
けど3人とも会社のことや恋の話しみたいなことをずっとおしゃべりしていました。
(手話をするひとは話しながら手話をするので内容がわかるのです。)
またあるカフェで食事をしていると「盲導犬」を連れている方が入店して
きました。しかし店の人も(この方が常連かもしれませんが)まったく気にせずに
オーダーを取り接客していました。店にいるお客も特に気にせずひと時をすごしていました。
僕はバスのお兄ちゃんたちやコーヒーショップのOLたち、カフェの店員さん
を観たときに感動しました。障害をもたれているかたが普通に生活を送っている
状況に感動しました。世の中捨てたもんじゃないなと思ったのです。
僕の周りには障害をもたれている方はいません。みんな五体満足に生活しています。
けどいつ僕もどうなるのかはわかりません。
僕も歳をとり「社会とは無関係」みたいなことが言えない立場になりました。
僕は今年31歳になります。株やネットで簡単に稼ぐ人・ニートや引きこもりに
なってしまう人・凶悪な犯罪をしても自分の正当性を貫く人など僕らの
世代が通った後は草木も生えないみたいなことを言われます。それは認める。
だけど僕は自分に出来る範囲のことをしっかりと認識・実行して多くの人と
笑顔で生きていきたいと、夕暮れのバスのなかで考えていました。