オプションマスター“ウィザード”への道

ウィザードとは…魔法のように儲ける一握りのトレーダーにのみ与えられる最強の称号

コンバージョン…お気に入り度☆

2006年06月29日 22時47分14秒 | オプション講座・上級編
プット・コール・パリティの記事とプット・コール・パリティを使ったエスケイプの記事を読まれた方で勘のいい方はお気付きになったのではないでしょうか。ここには裁定取引のチャンスがあるのです。つまり無リスクでリターンが得られる取引があるのです。

ではなぜそんなにおいしい取引が星1つなのかとお思いでしょう。理由は最後にお伝えします。

プット・コール・パリティの記事とプット・コール・パリティを使ったエスケイプの記事で「コール売り+プット買い+先物買い」で損益が固定されると書きました。そしてコール・プレミアムとプット・プレミアムが理論価格である場合はこの3つのポジションは損益±0です。ということは、コール・プレミアムが乖離して理論価格より高くなった場合にこのポジションを作ると、損益±0ではなくプラスいくらかで利益が確定するということです。この取引をコンバージョンと言います。

この取引の仕掛け方を説明しておきます。

ザラ場で相場が大きく動いて理論価格よりコールがはるかに高いところまで買い上げられた場合

当然、コンバージョンで利益確定です。執行コスト(ビッドとアスクの差)や手数料を考慮した上で利益になっていなければ意味がありません。それにポジションが完成するまでは無リスクではありませんので出来るだけ素早く完成させなければなりませんある程度の注文執行速度と売買技術、理論価格の計算速度が要求されます

Deep ITMで待ち受ける

Deep ITMだと売り板が極端に薄くなり、時に恐ろしく高いところにしか板が無い場合があります。そういった時にその売り板にかぶせるか、その売り板より1ティック安いところに売り指値を置いて成り行き買い注文を待ち受けます。追証に伴う成り行き買戻し(追証でなくても成り行きで買う人がいるかもしれませんが…)を待ち受けるのです。当然約定したらポジションを即座に完成させます。また、原資産価格の動向に合わせて指値も変更しなければなりません執行コストや手数料ももちろん考慮しなければなりません

理論価格よりも高い買い指値に当てる

時々逃げ遅れた投資家がこの手を使って手仕舞おうとします。恐らくある程度理論価格よりも高い値段なら売り注文を当ててくれると思ってのことでしょう。プット・コール・パリティを使ったエスケイプの方が損失は少なくなるのですが、手数料や証拠金の観点から考えてこっちの方が妥当と考えているのかもしれませんし、プット・コール・パリティを知らないのかもしれません。

この買い指値注文に売り注文を当てて同時にコンバージョンを完成させます。注意点は前述の2つと同じです。

では、最後になぜこの取引が星1つなのか説明します。この取引はトレード機会が少なすぎるのです。恐らく年に1回あればいい方でしょう。僕が見ている限り1回もありません。考えてみれば当たり前です。こんな落ちているお金を拾うような取引がそこらじゅうに転がっていたらみんなこればかりやりますよね。それにこの取引の相手方はお金を捨てているのと同じです。そんな人がそんなにゴロゴロしているわけがありません。だからトレード機会が少ないのです。

それにもう一つ理由があります。こういったトレードを虎視眈々と狙っている裁定業者の存在です。彼らは個人投資家とは比べ物にならない程手数料が安いです(証券会社の自己取引は事実上タダです)。そのため個人投資家が手抜け(手数料を考慮してなお利益を出すこと)できないために見送る程度の乖離でもコンバージョンを狙ってきます。そのため乖離が小さくなり個人投資家が参入する前に乖離は元に戻ります。また、こういった裁定業者はとてつもないスーパーコンピューターがあり、コンバージョンで利益が出る局面になったら即座にシグナルが点灯します。場合によっては注文まで自動で発注されます。こういったスーパーコンピューターに一個人の脳で対抗するのはどう考えたって無理があるように思います。

それでも楽ならいいのですが、このトレードをやるにはとてつもなく忍耐が必要です。常に板を見て理論価格を暗算しながら手抜けする乖離を考え、トレード機会があったら即座に注文を発注…。こんな作業を1年続けてトレード機会が1回(利幅はせいぜい1枚当たり数万円)だとしたらあまりにも割に合いません。同じだけPCに向かう気合があるのならデータ入力でもやった方がいいのではないでしょうか。

こんなトレードは狙うだけ時間の無駄だと思います。普通に相場に向かっていて偶然見つけたら仕掛けるといった感じで十分です。


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