「ぼくら党」のブログ

我が旗を掲げながら進む-少数精鋭「ぼくら党」の公式ブログ 社会について考えてます。コメントいただければ幸いです。

「努力すれば報われる」社会について

2006-05-03 14:39:06 | 格差社会
■5月1日の某テレビ番組で、格差社会についての討論において舛添要一氏が、商店街の衰退について「努力していない所もある」という要旨の発言をしていた。テレビにおいては、映像を編集する場合があり、前後関係が分からない場合があるので、舛添氏がいかなる意図でこの発言をしたかは、よく分からない。

この発言の是非は別として、最近、政治家からこの「努力」という言葉が多く聞かれるようになったような気がする。勝ち組と言われている部類の人は、努力したから成功したという思いが強いことから、成功しない者に「努力がたりない」と短絡的に結論付けるのだろうか。

■ 私は、この努力という言葉を聞くと「えせ科学」を思い出す。結果が出ないのは、「努力が足りないから」と言いさえすれば、すべてが個人の責任転嫁することができる。いかなる結果が出ようとも理論が間違っていないのではなく、理論どおりに行動しない方が悪いというものだ。これほど都合のいい言葉は無い。

努力は誰でもしている。社会で働いていれば、当然何らかの責任が生じ、それに対して努力する、又は、させられることになると思う。しかし、それが結果に結びつくかどうかは別問題であり、それが収入の増加につながるかも、また別だろう。

努力することが何らかの結果を出すうえにおいて、重要であるということは理解できるが、成功するための原因がすべて努力の結果だとはとても思えない。私は偶然的な要素が殆どであると思っている。

努力するという事ですら、どの方向に努力すればいいのかは、知識がなければ定めることもできないだろうし、努力すべき動機付けも、強烈な出会いが無ければありえないものだ。 これらは運がものをいうだろう。また、それによって為された努力が的を得たものであるかも、運の要素が大きいと思う。

努力には、常に結果が表裏一体として伴う。成功したという結果が無ければ、努力とは認められない。成功すれば、努力などせずとも努力したことになってしまうだろうし、いくら努力しても成功しなければ努力したことにはならない。成功することが、すべてを規定している。要するに結果がすべてということだ。

■政治家が語る努力とはいったい何を指しているのかを考えてみると、彼らが語る努力とは「勝ち組」になるためのものであることが分かる。その勝ち組とは、拝金主義的風潮から導き出された「勝ち組」である。堀江モンの「稼ぐが勝ち」という言葉がこれを端的に表している。

■拝金主義における勝ち組になるには、知識や情報の有無と、道徳的な概念を捨てる事がもっとも重要になってくるのだろう。これは、努力という言葉から連想されるイメージとはほど遠いものである。

■「努力すれば報われる」社会を目指すのなら過度な規制緩和は、これに逆行しているものだ。すべてが不確かな社会になれば、だれが努力するのだろうか、努力して会社や資格を取っても、それが明日にも潰れたり無効になると考えれば、だれも努力などしないだろう。

要するに政治家の語る努力とは、成功したという結果であり、努力することを意味していない。厳密に言うならば、「努力すれば報われる」ではなく「非情で、知識や情報がある者が報われる」や「成功した結果さえあれば報われる。」とするべきであり、努力などという言葉は、誤解を与えるので使うべきではないだろう。




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2 コメント

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能力の共同性 (hamham)
2006-05-04 11:45:14
「努力する者が~」は弱肉強食の社会を合理化するための金持ちや、為政者のうたい文句だと、私も思っておりました。



丁寧な今回のEntryを読ませていただきまして大変参考になりました。有難うございます。



今、岐阜大学教授の竹内章郎先生などが書いた本「平等主義が福祉をすくう」が注目されております。 先生は「能力の共同性」論を主張されております。



http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4250205355/503-5319485-3261521
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コメントありがとうございます。 (管理人)
2006-05-04 22:44:21
hamhamさん。コメントありがとうございます。



>弱肉強食の社会を合理化するための金持ちや、為政者のうたい文句だと、私も思っておりました。



現在の社会は努力が報われない社会だと思います。例えば儲けているデイトレーダーなど見ていると、テクニックで富を増やしているように見えます。努力というよりは、いかに、要領よく、金を儲けるか、が重要なのであって努力したかということはあまり関係がありません。



本質は「いかに努力などせずに儲けるか」ということであって「努力すれば報われる」とは程遠いものではないでしょうか。
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