文庫 麦わら帽子

自作小説文庫

時の魔法 天からの遣い。

2018-02-28 | 詩歌
貴女の姿から 眼が離せなかった

束の間

貴女の 細胞が 成長してゆくのが 聴こえた

貴女の命 不思議に輝いて

私に 特別な 時間の魔法をかけた

貴女がいないと 時は止まり

海が氷ったように 静まった

貴女を抱くと 時は駆け足になり

海が 歌いだした

雨に濡れた小道が 銀に輝いて見えた

涙を乾かす 日だまりがあった

風の中 一番に走ってきた 貴女が

こんな風に あっという間に

離れてゆくんだよって 教えていた

私がお日様を呼んで

貴女は 雨雲を呼んだ

そうしてできた 大空の巨大な虹が

天から授かった 小さな魔法だった


ねえ これから 何処へ行くの?

私はもう 歩けない

新しい記憶で 過去を塗りつぶして

繋いだ手を ゆっくりと ほどこう


私は貴女を忘れても

存在までは 消しはしない

ただ 空に 虹を見つける度に

愛しい者を無くした哀しみが 流れ出すのだろう



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