紫苑の惑星

若柳菊のプチ日記や寿菊派若柳流からの日本舞踊公演会のお知らせなどを更新します。

【鞍馬山】

2004年11月06日 | 演目ガイドブック
【長唄 鞍馬山】(くらまやま)

最近では、舞踊会で演じられる事も少なくなりましたが、
もともと歌舞伎の顔見世狂言として「倡女誠長田忠孝」の
中の「宗清」を見せた後に上演されていました。

舞台は、『夫月も鞍馬の影うとく 木の葉おどしの…』の
唄い出しからも分かるように、木立に覆われ暗く木の葉が
風にざわめく鞍馬山の怪しい雰囲気を漂わせています。

花道から現れる牛若丸(のちの義経)は、父の敵である
平家に恨みを果たすため、この山深く寂しい鞍馬山の
多門天に、大願成就を祈りながら毎晩お参りをしてい
ました。
ある夜、疲れて岩にもたれうたた寝をしていた牛若丸は、
まだ母(常盤)のふところに抱かれていた幼子のときの
夢を見ます。
ここの部分は長唄を良く聞いている分りやすいですよ

伏見の里で宗清の情によって助けられ、出家のため
鞍馬山の東光坊に預けられていた事を思い出し、その
思い出がこの演目の趣向になっていますが、いまでは
大部分が省略され、天狗と牛若丸の立ち回りが見せ場
となっています。

夢に見た母との別れと現在の境遇、そして平家(父の仇)
に一太刀報い、源氏の再興を祈願する、牛若丸の切なる
心を可憐に気高く演じます