9月28日(土)午後2時からフレスコ画家・道綱たけし氏を講師に特別講演「新見産の石灰が生む漆喰とフレスコ画のお話」が開かれ、約40人が漆喰とフレスコ画の特徴や魅力を学んだ。
道綱氏は「本日のお話」として、①石灰とは何だろう②本物の漆喰を知っていますか③フレスコ画について――の3つを掲げた。
新見市は石灰の産地。2~3億年前の古生代のカルスト層から採掘された石灰石は、毒性が低く、製鉄や化学工業のほか食品や医療にも用いられている。漆喰は石灰を原料に作られる古来の塗り壁材で、城や神社仏閣などで使用された。強アルカリ性のため消臭、抗菌、防カビの機能があり、現代では内装材として室内に塗られている。完全自然素材(無垢材)の漆喰と化学接着剤(樹脂)などが混ざったケミカルな漆喰の2種類があり、後者は化学物質過敏症やシックハウス症候群をもたらす危険性がある。漆喰には二酸化炭素やホルムアルデヒドを分解する炭酸化運動があるので、無垢な漆喰からは安心して過ごせる空間が生まれる。
フレスコ画は石灰によって定着される技法で、耐久性が高く、発色が良いので、建築の一部として取り入れられてきた。道綱氏は偉大なフレスコ画家としてジョット・ディ・ボンドーネを挙げ、作品を紹介した。また、「私が漆喰下地を使う理由」として、絵肌が景色になる、風化の美が感じられる、色に深みが出る――の3つを挙げた。そして、自作を紹介。「新見産の石灰から生まれる漆喰下地が、私の作品に代えがたい魅力を与えてくれています」と述べた。