4月13日(土)午後2時から新見公立大学講堂で、2024年度新入生歓迎・NiU「鳴滝塾」Ⅷが開かれた。講師は㈱日本総合研究所主席研究員で新見公立大学客員教授の藻谷浩介氏。「新見市の里山資本とまちづくり」をテーマに約1時間半話し、その後、公文裕巳学長と質疑応答をまじえて対談した。
<藻谷浩介先生 プロフィール>
1964年6月18日生まれ(59歳)、山口県周南市(旧徳山市)出身。東京大学法学部卒。米国コロンビア大学経営大学院卒。
平成の大合併前、全国3,200市町村のすべてを自費で巡歴し、地形・交通・産業・人口・郷土史等を把握。また欧州の全独立国、米国の全50州など世界各国を自費で訪問し、地域特性を多面的にとらえている。
地域振興、人口成熟問題、観光振興などに関し、精力的に研究・著作・講演を行っている。
2012年から㈱日本総合研究所主席研究員。2018年から新見公立大学客員教授。
著書に「デフレの正体」「里山資本主義」「しなやかな日本列島のつくりかた」「観光立国の正体」「世界まちかど地政学」「進化する里山資本主義」など多数。
この日は、新入の学生を中心に、学生と一般あわせて約350人が聴講した。
講演は「とくに新入生の皆さんに考えていただきたい」とクイズ形式が採り入れられ、隣の人との話し合いも設けられた。

千年後、確実に残っている人工物は? 隣の人と話し合ってください。はい、どうぞ。(まもなく会場は学生同士が話し合う声につつまれた)大人の皆さんも女子学生に負けずに元気に話し合っていただきたい。……では、ちょっと聞いてみましょうか。何だと思いますか。一斉に声に出してください。(あちこちで、これぞと思う物を挙げる声が。なかでも一際よく通る声で、女子学生が「フレスタ=広島に本社があるスーパーマーケットチェーンの新見店=」と叫んだので、爆笑が起こった)千年後に残る物は千年前からある物。フレスタは千年前にはなかったが(笑)、新見は千年以上前からあった。東寺の荘園として京都と深いつながりがあり、新見の出来事が京都に記録として残っている。
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<失業率>と<所得>について「いったいどういうことが起きているのか」、東京・大阪・岡山・津山・新見のデータを比較して考察された。
<失業率>東京都1.9%、大阪市2.4%、岡山市2.3%、津山市1.8%、新見市1.7%(2020年国勢調査)
東京都の1.9%は劇的に低い。世界の普通の国では20%とか平気である。1.9%というのは、ほとんど失業者がいなくて、(現状では)雇いようのない人が残っている。大阪は東京より失業率が少し高い。岡山はどうかというと、何でも大阪とそっくり。言葉はちょっと違うけど、基本的には一皮むけば大阪。津山は東京と人間が似ている。失業率は低い。新見は津山より低い。(働くところがないといって)人が出てしまうので、逆に人が集まらないという問題が起きている。田舎にいくほど失業率は低い。このことが、60歳以上の方が生きてこられた時代と全く異なっている。
「仕事がない」とはどういうこと? 「給料が安い」から?
<1人あたりの年間所得>東京都492万円、大阪市369万円、岡山市347万円、津山市300万円、新見市274万円(課税対象所得額)
東京の所得水準を100とすると新見は56。新見の給料は低い。では、東京と新見とどっちが生活しやすい? 東京は家賃や食品価格が高い。東京は専業主婦の人が多く、その家庭では新見の共働き家庭より所得は低い。60歳以上の方が就職されたころは、東京は地方より何倍もの所得があった。だから東京へ出て行く意味があった。今は2倍も違わないので、実は出て行くと損。苦労して貯めたお金がローンに消えてしまう。というように時代が変わっている。
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<若い女性の就業・未婚率>と<出生率>の関係について県別のデータで考察された。(2020年国勢調査)
若い女性(25歳~44歳)が一番働いているのは島根県。9人に8人ぐらいが働いている。一番働いていないのは、4人に3人が働いている奈良県。東京は女性がだいぶ働くようになったが、全国の田舎からみると働いていない。専業主婦が多い。なぜか? 通勤時間が長すぎて、2人一緒に働くと家庭が崩壊する。働けるのに働いていない。(就業率が)もっと低いのは、神奈川、埼玉、千葉で、やはり通勤時間が長い。奈良や大阪も同じ。結婚して子どもができて仕事を辞めると収入が減り、2人目を産めないという人がすごく多い。その結果、出生率が非常に低い。何でもど真ん中で個性がないのが岡山(笑)。女の人が働くと子どもの数が減ると思い込んでいる人がいるが、それは間違い。傾向としては、若い女の人が働いているほうが子どもは増える。収入がちゃんとあるから。保育所に預けられる。女の人が働いていなくて出生率が低いのは、東京の周辺と大阪と奈良。働きたいし子どもも欲しいと思う人にとっては要注意エリア。
子どもが減っている理由は、結婚しないから。東京は結婚していない若い女性がダントツで多い。女の人が一人暮らししやすく、結婚したくても結婚できる状況になっていない。仕事に忙しく人間としての本質を忘れている人が多いため、結婚相手がなかなか出てこない。仕事の依存症になっている。
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<総人口と若者人口><高齢化率と75歳以上の増加率>について、2018年と2023年の住民票数(居住外国人を含む)を比較し、東京・大阪・岡山・津山・新見のデータから考察された。
<総人口>東京都+1%、大阪市+1%、岡山市△1%、津山市△5%、新見市△10%
東京の総人口は最近の5年間で、わずか+1%、ほとんど増えていない。日本人だけでカウントすると減っている。東京が増えているのは外国人が移り住んでいるから。それぐらい日本全体が少子化している。とくに東京は少子化が激しい。津山は100年で人がいなくなるペース。新見は50年で人がいなくなるペースで、そのうち公立大の学生しかいなくなる(笑)。
<若者(15~44歳)人口>➀東京都△4%、②大阪市△1%、③岡山市△8%、④津山市△11%、⑤新見市△14%
若い人が増えているのは➀~⑤のどこまででしょう 若い人だけを取り出すとどうなるか。日本中で若い人はものすごい勢いで減っている。東京も激減している。(若者人口が増えているのは)東京と答えた人は、何のんきなこと言ってんだと。大阪のほうが減り方は少ない。岡山に至ってはかなり激しく減っている。バイトがいくらでもある。若い人がむちゃくちゃ足らないのは新見。バイト先がいっぱいあるはず。…気をつけてほしいのは、東京が栄えているという話。東京は地方から若者を吸い上げるが、子どもが生まれないため、若い人は減っていく。日本中で若い人は減っている。東京の若者は45歳以上の半分もいない。ほとんど子孫がいない。都会に若者が集まるほど、日本の子どもは減る。
<高齢化率(65歳以上人口÷総人口)>➀東京都23%、②大阪市25%、③岡山市27%、④津山市31%、⑤新見市43%
東京都の23%は、ほぼ4人に1人が高齢者。10%を超えると高齢化社会、15%を超えると超高齢化社会。したがって東京は超々高齢化社会。津山は超の5乗ぐらいで、新見は人口の半分近くが高齢者で、もはや限界集落一歩手前。(一般的には高齢化率が7%を超えた社会を高齢化社会、14%を超えると高齢社会、21%を超えると超高齢社会と呼ばれている)
<75歳以上の増加率>➀東京都12%、②大阪市9%、③岡山市14%、④津山市5%、⑤新見市△6%
75歳以上の人が減っているのはどこでしょう。東京は5年間で12%も増えている。ということは、福祉や医療関係で働いている人を12%増やさないと足らなくなる。しかし、実際には福祉や医療で働く人がそんなに増えていない。どんどん大変な状況になっている。…ものすごく高齢化している新見なんてどうしようもないでしょう? ところが、なんとお年寄りが減っている。新見ではお年寄りが減りだしたので、病院とか福祉サービスを増やさなくてもよい。都会では人手が足らないから、新見公立大学の学生は根こそぎ高い給料で引っこ抜かれるという状況にある。就職はすごく簡単です。でも都会へ出て行くと、〝客〟が増えているところで、とにかく仕事をこなせということになる。新見だと、人口の半分近くがお年寄りだが、減りだしたということは、じっくりきちんとお世話して、一緒になっていろんなことができるという〝余裕〟が出てくる。同時に市の福祉予算が減り始める。75歳以上が減りだすと機械的に医療・福祉予算が減っていく。そのお金を他に回す余裕が出てくる。
このことは日本中で起きている。お年寄りは過疎地のほうが増えていなくて、都会で激増している。都会は若い人を集めすぎた結果、50年後にその若い人が年寄りになって、年寄りがどんどん増えている。都会は若い人が多くて元気だなと思っている人に言いたい。若い人はいずれ年寄りになる。若い人は年寄りの原材料。あげくの果てに、子どもが産めていないので人手不足になる。
新見にとってはチャンス。日本中から集まった新見公立大学の学生は、非常に高齢化しているが高齢者数が減りつつあり、お年寄りが元気に暮らしているところできっちり勉強し、やがて高齢化が止まる日本中に新見で勉強したことを持ち帰って、「ハッピーな国にしようぜ」みたいなことを考えてほしい。新見は遅れていると思われながら〝先進地域〟なんです。過疎地ではお年寄りが減り始めている。学生の皆さんは先進地域に勉強に来ているんです。反対に都会では、お年寄りがまだ急増している。都会では田舎から集まった若者が続々75歳を超えて医療・看護がピンチになっている。ざっくり40年ぐらいは、このピンチが続く。一方、支える側の若い人はどんどん減っている。東京の物価や家賃だと、介護・福祉の給料では生活が苦しい。キーワード「年寄りのなり手すら減る田舎…」。年寄りがすごく元気だから減るのは困るが、医療・介護では予算を減らすことができる。これが日本中で起きていて、新見はちょうど最先端にある。人口の半分近くのお年寄りがどうやって、生き生きと現役で働き、病気になったらすぐケアしてもらえる「理想郷」をつくるかという状況にきている。
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お年寄りが生活に困っているところとそうでないところの格差がすごい。
生活保護費は、障害があって働けない人のほか、年金が足らず貯金もないお年寄りがもらっているケースが多い。大阪市では市民1人あたり約12万円が毎年使われている。260万人の市民がいるので、莫大な予算が生活保護費に使われている。大阪は生活保護を受けている人がものすごく多い。住民1人当たりの生活保護費は、東京(23区平均)と神戸がだいたい同じで大阪市の約半分。東京では「田舎は金食い虫。税金ばかり使って」というかもしれないが、東京は4人に1人が高齢者。仕事しなくなったら生活は苦しい。家賃も物価も高いし。日本で一番所得が高い東京都港区で倉敷市ぐらい。新見になると、ざっくり東京の4分の1しかお金がかかっていない。
日本では都会のほうが生活に困っている人が多い。田舎はお金以外の〝資本〟があるので、高齢者が生活に困りにくい。お金だけじゃない、いろいろ頼れるものが残っている。
人間は〝資本〟に頼って生きる。資本は〝利子〟を生む。例えば柿の木が資本で、柿の実が利子。実をいくら取っても木は枯れない。カネはもはや資本ではない。利子が付かなくなったから。田舎には「自然資本」がある。東京には自然がほとんど残っていないので、退職までに2,000万円貯めなさいということになる。田舎は東京の半分ぐらいしかおカネがないかもれれないけど、「自然利子」がたくさん付くので現実には困らない。
田舎に住んでいる人を勉強ができる順に東京に集めるのはやめた方がよい。
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何とか転ばずに続く〝循環再生〟する経済になってほしいというのが「里山資本主義」。おカネが増えるという経済成長じゃなくて、生きものと社会が続いていくのが目標。反対語は、経済成長させておカネを貯めるぞという「マネー資本主義」。
おカネがいらないとはいわないが、稼いだら使う。次の世代が生まれて、楽しくおカネを使ってハッピーに生きていこうというのが「里山資本主義」。最大のポイントは、おカネ以外の〝里山資本(ヒト・モノ・情報)〟を重視すること。おカネもうけではなく〝ヒトもうけ〟だといった人がいる。おカネだけ考えている人は、だんだん人相がわるくなる。
里山資本主義の人たちは、おカネを貯めている人が偉いとは考えない。自然を生かした生活をしている人のほうが偉いと考える。いろんな小さい仕事を重ねていって利益を得る。そのほうが残ると思っている。
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<可住地人口密度>人口÷可住地面積(総面積から林野面積と湖沼面積を除いた面積)
学生の皆さん、新見は田舎ですよね。この「田舎だよね」という感覚はどこからくるのか。新見は人がいないよねと思う人はパー、こんなもんでしょうという人はチョキ、いや多過ぎると思う人はグーで(笑)。
前のかた、後ろを振り向いて。前はみんなパーですが、後ろ(大半は学生)にちょぼちょぼチョキのかたが存在する。私はグーなんです。さっき上のサロン(地域共生推進センター棟5階のビューラウンジ)から新見の街を見ながら、人が多いよねと独り言っていた。東京都の可住地人口密度(2021年)は9,703人/㎢。10㎡にほぼ1人住んでいる。大阪府は6,600人/㎢で、東京の約3分の2。岡山県になると844人/㎢。新見市は265人/㎢で、北海道の215人/㎢より多い。日本人は国が小さいので、かなりの人が東京や大阪に行っている。そうすると、東京や大阪に行くたびに、うちの地元は人がいないという感じになる。
世界で比較すると、シンガポールは9,993人/㎢で、東京よりも人が多い。人口密度が極端に高いシンガポール、東京都、大阪府の共通点は、異常な少子化。当然ながら里山資本はない。自然エネルギーがない。
新見市の265人/㎢は、スロベニアやマレーシアと同程度。インドネシアはすごく人口が多いが282人/㎢で、新見と同程度。オーストリア208人/㎢、中国197人/㎢、フランス182人/㎢、米国55人/㎢、ロシア18人/㎢よりも、新見の人口密度は高い。
新見市の265人/㎢は、世界的に見ると密度が高い。さっき上から見ると、新見の谷を家が埋め尽くしている。いっぱい人がいる。コンビニもホームセンターもあるし、駅には1時間に1本特急が来るし…。こんなことはアメリカやロシアではあり得ない。日本は人口密度があまりにも高いから、日本ではド田舎と言われていても、世界に比べて店商売や公共サービスが成り立ちやすい。日本の人口はこれから半分になっていく。新見が半分の130人/㎢になってもスペイン152人/㎢ぐらいで、世界の中では〝適密〟。これを過剰に疎(過疎)というのは東京の人。価値観全体が東京、大阪に引っ張られている。基準がズレて、世界の普通が普通ではないように見えてしまう。インドの人口密度630人/㎢は、鳥取県610人/㎢とほぼ同じ。学生の皆さんは大学があるまちで暮らすことにより、人が多くないとダメという感覚をデトックス(解毒)していただきたい。
大地震が東京や大阪で起きたら大変な被害が出る。人口密度が高いほど被害は大きくなる。もっと都市に人を集めないと経済成長できなくて国が存続しないなどと東京でいう人がいるが大間違いで、経済成長の前に地震が起きてとんでもないことになる。東京に集まっている人を少しでもよいから田舎に移すほうが大事。里山資本を生かすということは、日本人の〝密度感〟を壊すということでもある。
<バックキャスティング>
学生の皆さんは40年後に私らの歳になる。その後もたぶん30年ぐらい生きていく。平均寿命から考えると、あと70年ぐらい生きていく。それをどう生きていくか。自分がこうしたいと強く考えることを持っていないといけない。
もっと自由に住みたいところに住んで、「何しに東京から出て行くんだ」と言われないような世の中を早くつくりたい。東京に住んでいるだけで威張っている人たちを撲滅したい。住みたいところに自由に住んで、歳をとった後もいろんな物が取れて交換できる里山資本主義でハッピーに暮らせる人を増やしたい。そういう時代にするために、今、何をするか。目の前で起きる小さいことを決めるときに、どっちが自分の思う未来に近いかで決める。これを「バックキャスティング」といいます。
このことを学生の皆さんも、夢は何でもいいので、自分の夢に向かって発揮してほしい。日本は理想をいわないようで実は理想を掲げている国。皆さんは今後どこに住まわれるか分からないが、「田舎で満ち足りて暮らして好きなときに都会や世界で遊ぶ豊かな未来」はやろうと思えばだれでも手にできる。生活費の高い都会か退屈な田舎か、どっちかみたいなことになっているが、これはおかしい。都会の生活費を下げればよいが、東京も大阪も良い街なので世界中から人が集まり土地代もどんどん上がって下がらない。これに対し、「日々わくわくできる田舎」をつくることはできる。いろんな人がやってきて、それを元気な地元民が助ける。皆さんはどこに住んでもいいんだけど、しょうがない我慢しようという人生じゃなくて、「いずれはこうできるはずだよね」と思い、目の前の小さな選択を重ねるという人生を歩んでください。
講演を受けて藻谷浩介氏と公文裕巳学長が、質疑応答を挟んで対談した。
会場の質問に答える藻谷氏と公文学長 公文 対談というよりも、せっかくの機会なのでフロアの皆さんの質問をコントロールする役ということで。藻谷先生からクイズ形式を取り入れた軽妙なお話をいただき、学生諸君の反応も非常によかった。
藻谷 学生さんがちゃんと話してくれましたよね。
公文 傑作だったのは「フレスタ」だったんですけど、フレスタが千年残るという会話をしてくれる雰囲気で講演会ができたというのが一番うれしい。課題先進地域の現場で人と地域をつくる新見公立大学に入学してくれた学生たちが、こんな雰囲気で会話をする。ときどき槍玉に挙がっていた前のほうの方々も刺激を受けて若返ったんではないかと思います。
新見の里山資本って何なんだろう? これから先の未来をどう考えていくか。考えをめぐらすことができたのではないかと思います。里山資本から見れば、「新見は豊かだな」という思いが皆さん共通認識になったのではないかと思います。
――私はUターンして15、6年になります。農林業をやっています。農林業が地球温暖化抑制に関与していることを知り、農林業に従事していない人を対象に植林や下草刈り、田植えや稲刈りのイベントをSNSで呼びかけると、岡山や倉敷から応募があり、すぐ募集定員に達するんです。リピーターのかたもいる。藻谷先生の里山資本主義とすごく共通していると理解しました。(男性市民)
藻谷 ありがとうございます。岡山や倉敷にも田んぼや山もあるだろうと思うんですが、新見にまでいらっしゃるんですね。
公文 いわゆる田舎に行って里山を経験しながら里山の恵みを感じる。岡山や倉敷の田んぼに行くよりは、新見の田んぼに行ったほうが気持ちがいいんだろうと。
藻谷 そうなんですよね。倉敷もだいぶ開発されたので、もっと静かな田舎がいい。新見の街中に住んでいる人は、たまに千屋とか神郷へ行った方がいいと思うかもしれない。かつては下へ下へ中心へと落ちていったが、逆に上流へ上流へと人が入っていくという一部違う流れが起きている。ただ、いかんせん若い人の就職と進学だけは都会へ集まり続ける。全国から若い人が集まる大学が田舎にある新見はすごい。
公文 今日のお話を聴いて、私たちが感じている雰囲気であるとか、人の噂のような、いわゆるフェイク(まやかし)がたくさんあって、実態はずいぶん違うんだなぁと。それらを知らないで生活してきたんだなぁと思いました。
藻谷先生が大事にしてらっしゃるのは「数」と「現実」。そして「五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)」。なかでも一番大事なのは「触覚」だそうです。その場に直接行って、そこで感じる「肌感覚」。
藻谷 画面で見るのとその場に行くのとでは受ける印象が全然違う。それは何なのかというと、養老孟司先生が言われる「触覚」。空気の圧とか場の雰囲気とか温度とか、いろんなものが押し寄せてくる感覚を感じる練習をしているんですね。看護とか介護とかは「触覚」でしょ。さわって判断する。
公文 そうですね。医療の領域でいうと「触診」で、手当て。さわるという感覚が大事で、いわゆる「肌感覚」。先ほどのリピーターは、自分の肌で感じた体験があって、また新見へ行きたくなる。
――新見で新しく流行(はや)る観光事業、イベントはありますか。(男子学生)
藻谷 新見の皆さんはどう思われますか。先日、アジスアベバでエチオピア航空の日本便に乗ると、エコノミー・クラスはほぼ満席。中東、ヨーロッパ、中南米からアフリカ経由で乗り換えて日本へ来ている。かれらは日本に何を見に来ているのか。私の隣に座ったアルゼンチン人夫婦は日本が2回目で、前回から半年しか経っていないけど今回は4週間休みを取ったという。かれらは東京にずっといるはずはない。田舎に行きますよ。そこで何を楽しむのだろう。やはり自分とこにないものを楽しむでしょう。
アルゼンチンになくて新見にあるもの、その一つは高梁川。街の真ん中をきれいに流れていて、けっこう水量はあるんだけど水は澄んでいて、川が流れていくのを宿の窓越しにぼおーっと見ることができる。牧場と大山脈しかないようなアルゼンチンからすると、このような光景はない。また、新見の町を歩くと古い町家が残してある。昔の物がきちんと残っていて、中ではお茶ができる。京都のように商業化していない。「わぁ、京都より落ち着くよね」と、リアルジャパンを感じることができる。しかも新見は千年以上前から歴史がある。新見にある相当数が世界の町にはないので、ちゃんと説明できれば「資源」になる。
もう一つ、ほかの町にないのが新見公立大学。こういう町に大学があって、子育て支援から看護、介護福祉まで人間を支える研究と実践をしていて、例えば福祉を現場で手伝うツアーとかしたら参加する人がいますよ。これが世界の福祉の最先端なんだと。心優しい日本の「人の温(ぬく)もり」が味わえるツアーだといえば、世界の大富豪が大喜びで参加するってことが十分考えられる。皆が思っている「当たり前の物」が、世界から見れば「資源」です。
公文先生、どう思われますか。岡山は広い中で、ここで学長をやられているということは、新見に何か引っかかるものが。
公文 新見って、おもしろいまちですよね。ポテンシャルがけっこうある。いろんなことをやったら広がりがつくれると思うんだけど、…。
――全国3,200市町村をめぐられて、印象に残ったところがあれば。(男子学生)
藻谷 どの市町村も、ほとんど2回は行っている。都道府県だと最低でも50回行っている。世界はようやく三分の二行って、全部は無理としても四分の三ぐらいは行きたい。すべての土地が興味深い。
――ぼくもいろんな所に行ってみたいんですけど、どうやって時間とかお金とか確保しているんですか。(男子学生)
藻谷 バックキャスティングで考え、行こうと思ったら行く。その前にできることがあったらやる。そう考えていたら必ず行けます。
公文 これからはいろんなたくさんのことができる、一つでなく複数のことができる時代になるでしょう。
このままだと延々やり続けるということになりますので、そろそろ…。最終的な結論として、「わくわくしたような田舎をつくる」ということと「理想郷をつくるチャンスなんだ」ということ。新見は75歳以上の人口が減りつつあるが、新見の人口は決して少ないわけではない。適度で、世界的にはむしろ多いんだ。そんなまちに里山資本がたくさんあり、しかも大学がある。新見にとっては理想郷をつくるチャンスだ。学生諸君は新見のまち全体を学びのキャンパスとして「理想郷をつくるチャンスに恵まれているんだ」という気持ちで学生生活を送っていただき、それを市民が応援するということになれば大きなチャンスが新見にはあるなということで、今日は終わりたいと思います。
本日はありがとうございました。
閉会にあたり、小田慈副学長が「藻谷先生、新見公立大学の新入生や新見市民の皆さまへわくわくどきどきするメッセージをいただいき、心からお礼申し上げます」とあいさつした。
<聴講者感想>(抜粋)
【一般】
・ものの見方や考え方で、新見は実は先進地域であることに気づきました。田舎だからと卑下することなく、今の環境をしっかり受け止め、この地域でできることをやっていきたいと思いました。
・田舎には田舎ならではの強みや魅力があると気づきました。具体的な数字やグラフを用いた可視化から、新見で生活できている誇りを感じました。
・新見市のような地方は都会と比べるとお店なども少ないし住みにくいのではないかというイメージが強かったけれど、そうではなく、むしろ田舎にこそお金以外の資源がたくさんあって住みやすいのだなと感じました。東京や大阪の方が高齢化率が上がっていることにとても驚きました。都会の方が住みやすいと思っていたけど、田舎の方がお金は少ない代わりに自然の中にある資源や資本が多いため、むしろ住みやすいのだと感じました。今だけの生活を見るのではなく、何年も先を見据えて物事をとらえる必要性を感じました。
・私も田舎で生活することに幸せを感じています。新見や全国の田舎は消滅すると言われますが、洗脳されることなく、目の前にある幸せを大切に生きていこうと思いました。
・世間一般に流布されている常識や価値観は、世界的に見れば常識ではないということに気づかされました。日本人の常識を変えなければならないと思いました。
・東京一極集中からの脱却をいかに進めていくか、国と自治体の発想転換が必要だと思いました。目指すべきは、豊かさが実感できる地方の生活環境だと思いました。
・人口減少社会が到来している現在、高齢者が子どもを頼って都市部へ移住している。土地をベースに定住する適正人口社会をいかにつくるか。ニーズがより多様化する時代。
・新見が先祖より育み守ってきている「資本」を明日からの生活に活かし、後世につなげていく使命があると痛感しました。
・大変充実した時間になりました。とくに新見の可住地人口密度の話は有意義でした。学生との質疑応答も新鮮でした。
・とてもわかりやすいお話で、理解することができました。前から新見が好きでしたが、ますます新見を好きになりました。私が残したいもの、それは子孫です。
・日本中が里山資本主義の考え方になるといいですね。政府、政治家の頭を変えないと、日本は変わらないですね。
・常々思っていることですが、世界中にSNS発信して里山資本がある新見へ人を集めること。田舎に住みたい人を集めて、田舎で働く場所をつくること。若者の人口増加、少子化対策、地域活性化につながればと願います。
・藻谷先生の里山資本主義に関する著作は2冊ほど読ませていただいていますが、先生がそうした観点から将来の新見市をどうとらえられているのか、興味深く拝聴させていただきました。人口減少や高齢化、田舎と都会をどうとらえるかという新たな視点を軽妙な語り口調で話していただき、高校生など若者にも聴かせたいと思いました。
・非常にわかりやすいお話で、とくに最後の「田舎にいても好きなときにどこにでも行って楽しむことができる」「田舎で日々わくわくすることを見つけ出す」というのは、今自分がやっていることです。新見を楽しんでいます。
【学生】
・大学を卒業したら絶対東京に行きたいと思っていたけど、その感覚がくるっていたことに気づいて衝撃を受けました。振り返ってみると、私のおばあちゃんも出来た野菜をいろんな人に配ったり、またお返しをもらったりして、充実した毎日を送っていたことを思い出しました。今まで田舎は終わりだと思っていたけど、将来は地元にもっといろんな人を呼び込んで、私も田舎ライフを満喫したいと思いました。私の地元のみんなにも藻谷さんのお話を聞いていただきたいと強く思いました。
・僕の地元も田舎で少子高齢化が進んでいます。東京などの都会は75歳以上の人が増えているのに対し、新見では75歳以上の人が減っていることに驚きました。僕は都会より田舎の方が性に合っているし、これからも田舎で生きていきたいと思っているので、地元や新見の良さをどんどん見つけてワクワクできる田舎をつくっていきたいと思いました。
・私は長崎県の五島列島出身です。今回の講演を聞いて、田舎の価値や可能性を知ることができ、喜びを感じました。今までの私は「田舎は都会に劣っている」という考えを持っていました。しかし、田舎は「これからの日本を支える重要な存在」であると知りました。また、情報を正しく読み取ること、物事の本質を見極めることの重要さを再確認しました。固定観念にとらわれず、豊かな人生を歩んでいきたいと思いました。
・テレビやネットの情報から地方よりも都会の方が何倍も良いと考えていたんですが、地方と都会の違いを数値を踏まえた説明を聞いて、全然そんなことはなく、むしろ田舎の方が後世に残せるものが多いことがわかりました。また、地元の島根は高齢化が進んでいるというのは授業で習ったことがあったのですが、どこの県よりも女性が働いていて、かつ出生率も高いことを初めて知りました。今回学んだことを就活や将来の仕事に活かしたいと思いました。
・講義を聞いて、新見市の豊かさや田舎の暮らしやすさについて知ることができました。「ド田舎に来てしまった」という考えから、「新見という地に来てよかった」と感じられるようになりました。ここに来た縁を大切にし、新見に貢献していきたいと思います。
・「わくわくできる田舎を作ろう」とおっしゃったのが印象に残った。新見に大きなショッピングモールを造ればいいというわけではないと思った。私の両親は転勤族で、タワマンに10年ほど住んだ経験や、進学校で課題に追われて精神を病んだ高校生活があり、今、田舎の祖母の家に来ていて本当に良かったと日々実感している。周りの人がいつも見守ってくれて、食べ物を分けてくれて、最近では鉄道がトラブルで止まったとき「遠慮なく連絡しなさい」と言ってくれる人がいて、とても幸せを感じている。今日、藻谷先生の話を聞いて、先生の書籍を読んでみたいと思ったし、自分にできることも考えてみたいと思った。
・私が一番心に残っているのは、自分で日々わくわくできる田舎をつくればいいというお話です。私の地元も田舎で、落ち着くし過ごしやすいのでとても好きですが、お店が少ないと感じることや行事が少なくなってきていると感じることがよくあります。しかし、今日の講演を聞いて、日々わくわくできる田舎は自分で、また多くの人と共に協力してつくることができるのだと知りました。地元だけでなく、日本社会に貢献することができる福祉人材になれるように、4年間という時間を勉強やさまざまな経験にあてて、多くの知識や価値観を身につけたいと思いました。まずは、バックキャスティング。自分の将来を思い描き、それを達成するために今、そしてこれからできることを考えていきたいと思いました。
・今までの自分の常識が少し変わったように感じた。都会の良さだけを鵜呑みにして生活していたけど、田舎にも良さがあり、今の時代はお金という資本に依存した考え方では生き抜いていくのは難しいと思った。お金以外の資本に投資して、利子を得るために動くことも大学で行いたい。私は都会に住んだことがないので、実際に住んで、どんなに価値観のズレがあるのかも知りたいと感じた。
・愛媛の大洲という町から新見に来て、同じぐらいだけどチェーン店が少ないと感じていました。大都会と比べてこちらの田舎で生活するほうが気楽でいいなと思ったので、ここに残るか、地元に戻るか、じっくり考えながら大学生活を送っていきたい。
・正直、新見は田舎で何もない所だと思っていたけど、新見市は先進地域であると聞き、この大学で学べる重要性に気づくことができた。
・友達に新見はもうダメみたいなことを言われたことがあって落ち込んでいたけれど、今日の講演を聞いてちょっと元気になった。
・普段からニュースを見ることを心がけていたけれど、自分から情報を得ようとする前のめりの姿勢がないと現代においてより良い選択をしていくのが難しいと実感した。今回の講演会を踏まえ、自分の中に揺るがない理想を掲げて生活していこうと思う。
・とても興味深く、もっとお話を聞いてみたいと感じました。新見に来て少し得をした気持ちになりました。
・人とのつながりが大切になる保育士を目指す私たちも、金融資本以外を大切にする里山資本主義を信条として学んでいきたいと思いました。
・自分の価値観が変わっていく感覚を実感しました。自分は地元の高齢化問題の解決に尽くしたいと思っていましたが、都会の方がその問題が顕著であると知り、驚きました。都会や田舎という価値観を捨てていかなければと強く感じ、自分のやりたいことを改めて考えなければならないと感じました。
・将来は地元に戻って医療活動に貢献したいと考えている私にとって興味深いお話でした。地元は新見と似たような環境なので、都会に出るよりは地元で働くほうが過ごしやすいと感じ、改めて地元に戻って働きたいと思いました。
・学校では教えてくれない為になるお話をたくさん聞くことができ、有意義な時間でした。藻谷先生のお話も面白く、退屈する暇がありませんでした。この大学で学べることは自分が思っている以上にたくさんあると思うので、この4年間全力で頑張りたいと思いました。
・私自身「田舎」と呼ばれる所から来ましたが、やっぱり東京や大阪にはときどき行くぐらいでちょうどよいと思いました。高齢化と口では言うけれど、本質を理解していなかったんだなと思いました。
・東京は収入が多く専業主婦が多いので、子どもを育てやすいと思っていた。しかし、1人の収入ではやはり子どもを育てにくいんだなと思った。田舎の方が生活しやすいと感じたので田舎に住もうかと考えた。
・初めて里山資本という言葉を聞きました。講演会に参加する前と話を聞いた後では考え方がすごく変わって、とても良い経験になりました。私はこれから生きていくなかで、金融資本よりも人的資本、知的資本を大切にしようと改めて思いました。元々住んでいた所も自然が豊かで人も優しかったのですが、新見はそれ以上で、良い所に来られてよかったと思います。
・資本や利子はおカネ関連のみだと思っていたけれど、人、自然、情報などいろいろ種類があって、その資本や利子は田舎のほうで有効活用しているんだなと思った。里山資本主義は成長ではなく継続を目標としていて良いなと思った
・田舎の方が高齢者が減少しているのに驚き、自分の考えとぜんぜん違っていた。
・自分自身が田舎出身なので都会に憧れていたが、自分の力で地元を盛り上げていくのもいいなと思った。
・私は山口県下関市から新見に来ました。19年以上住み続けたというのもありますが、下関に帰りたいと新生活1日目で思いました。新見市にはマイナスの印象しかありませんでした。ところが講演を聞いて、新見のような町で自分がどのようなことができるのか試してみたくなりました。貴重な機会を設けていただき、ありがとうございました。
・本音を言うと、新見公立大学に決まったとき、田舎に行くのかと少し不安や心配があったが、来てみると優しくて親切な人が多く、あたたかいところだと感じました。就職時には新見を出たいと思っていたのですが、新見で働いてたくさんの人と関わるのもいいなと思いました。
・新見は日本の他の街に比べて田舎で何もないと思っていたけれど、世界的には過密な町だと知った。新見市に都会から人を呼ぶために、もっと心地よく暮らせる町にするために、私たちにできることを探していきたいと思った。
・これまで「東京に合わせた価値観」を自分が持っていたことに気づきました。今日から見方を変えた考え方をしていきたいと思いました。
・日本の現状について面白く知ることができた。新見についても来たばっかりなのでよく知らなかったけど少しは知ることができました。
・日本が全体的に過密なんだと分かりました。いろんな世界に行ってみたいと思いました。今までの考えが大きく変わり、田舎だから劣っているなどとの考えがなくなりました。
・新見も捨てたもんじゃないなと思うことができました。
・地元が好きなので、将来は家族のいる地元で職に就きたいと思いました。
・新見公立大学でまちづくり系の活動をしています。日本や新見の人口密度など数値で比較されて、非常に面白かった。また講演があれば参加したい。
・今までイメージしていた東京や大阪は実際の数値でみると全然違っていて驚きました。私の地元はどんな感じなのかなと気になりました。
・ニュースなどを見て、知らない間に洗脳されていたんだなと気づき驚きました。インターネットの情報にも惑わされず、自分で収集する情報を大切にしたいと思いました。
・聞くだけでなく参加型の講演会で、とても楽しかった。私は田舎が好きなので、将来も田舎に住もうと思っています。わくわくする田舎になるように自分自身で工夫していきたいと思いました。
・講演は分かりやすく退屈しなかったので、お話がすっと頭に入ってきました。里山資本を大切にしたいと思いました。またバックキャスティングを行うことで、自分の思いを実現できるようにしたいと思いました。わくわくする田舎をつくりたいです。
・世界的に見ると岡山や鳥取、島根でさえ人口が多いといえるということが意外で面白かった。
・高校では教えてくれなかったことや新たな気づき、自分の思い込んでいたことの間違いを知ることができ、とても面白い講演会でした。
・自分を含めた周りの価値観や考えが事実に反していることが分かりました。今回の話を聞いて、事実に基づきながら自分が目指す「住んでいきたい田舎や町」について考えていきたいと思いました。
・周りの人の意見を聞きながら講演を聴くのは初めでだったので、新鮮で楽しかった。初めて知ったこともたくさんあったので参加できてよかった。
・自分の環境を我慢するのではなく、どうしたらより良い方向に進むかを、自分ができる小さな選択肢から考えて実行していきたいと思った。都会がよくて、田舎がダメみたいになっている常識的なものを、それは違うとはっきり仰って面白かった。
・都会に就職する気は元々なかったけれど、お話を聞いて都会に就職するのはやめようと思いました。新見市はとても素晴らしい市であると改めて思いました。
・人口密度が高いので、日本では田舎でも世界に比べれば店も商売も公共サービスも成り立ちやすいというのにびっくりした。里山資本を重視することは大切だとわかった。
・何もないと思いがちだけど、新見市はこれからの日本の発展を担うことができるということが分かった。
・田舎より都会の方が暮らしやすいと勝手に思っていたけど、全然そんなことはなくて、里山資本がたくさんある田舎のほうが暮らしていくにはいいんじゃないかと、自分が地元が好きだからかもしれないけれど、そう思いました。個人的に井戸水は偉大だと思っています。
・過疎地域という言葉をよく聞きますが、過疎ではなく「適疎」であるという言葉が心に残りました。75歳以上の増加率が新見は△であるのにびっくりしました。
・私は都会は人が多すぎてあまり好きじゃない、だからといって田舎は不便だなとか思っていましたが、今回の講演を聞いて少し田舎へのイメージがいい方に変わりました。
・少子高齢化が進み、物価も高騰している今、田舎で暮らすことも悪くないと思いました。新見公立大学の中で4年間学べることに感謝したいです。
・なるほどということが多かった。やっぱり東京より出身地の山形に帰る方がいいのだなと思った。若い女性の就業率が山形は2番目に高かったのでびっくりした。
・多くの若者が都会に流れ込んでいる現実があるけれど、田舎には都会にはない魅力があり、今後の日本のためにも考えなければならないことが多くあると強く思いました。
・新見という地で学べることに誇りをもち、多くの学びを得たいと思いました。
都会に行くのが夢の若者が多いと思っていたけれど、お話を聞いて、新見市ならではの魅力が多くあることに気づきました。また、会話をしながら講演するスタイルが面白く、多くのことを学ぶことができました。
・自然資本は自然利子として返ってくるので、自然資本が豊かな田舎は先進しているという発想に感銘を受けた。この豊かな自然に感謝していきたい。
・東京とか大阪はイメージ的に田舎に比べて良い暮らしができると思っていたけど、データを調べたら少子化もすごいし家賃もめちゃくちゃ高いので、都会だからよいという思い込みは危険だと思った。周りや噂に流されず、自分で調べたり、事の真実を探るのは大切だと改めて思った。疑問を持ったら自分で確かめたいと思った。
・新見と東京や大阪などと年収や失業率を比較されていたので、すごく分かりやすかった。新見市の75歳以上の増加率が減っているのにも驚いた。私も東京はいいなと思っていたけど可住地人口密度を世界と比べると、東京は異常に高いんだなと初めて知りました。普段の生活では知ることのできないことを知って、とても面白かったです。