池田 悟≪作曲家≫のArabesque

・・・深くしなやかに・・・(音源リンクしてます)

川﨑翔子ピアノリサイタル

2007-03-22 | レビュー/演奏・CD・ジャズ

翔子さんは小4の時、僕にソルフェージュを習う事になった。その前年、島村楽器の「ピアノフェスティバル」でグランプリを取ったから「天才少女が来た!」と思った。お母様が、「私もピアノを教えられるんですが、親の言うことは聞かなくて…」。ウンウン、そのお蔭で僕の所に来たわけだ。
♭が書けなかった。左右反対にしたり、6を書いたり…大いに笑ってやったが、翔子ちゃんはなかなか笑わない。
身長がぐんぐん伸び、筋肉が追いつかなくってヒョロヒョロだった小6の時、大事なお指にぐちょぐちょの擦り傷を作ってきた。聞けばハードルをやってて転んだ、と言う。「上手なの?」と聞くと「千代田区で×番」。「すごいねえ」と褒めると「去年はもっとすごかった。千代田区で5番だった!」。

時々、弾いている曲を聴かせてくれた。中学生の頃、ラヴェルの「クープランの墓」の「トッカータ」を弾いたので、僕も密かに弾く事にした。
聴音はどんどん取れるようになり、問題の作成が大変だった。高校生になって聴音を減らし、代わりにベートーヴェンの交響曲の連弾をしたり、バッハの無伴奏ヴァイオリンやチェロの曲をピアノで表現したり、作曲をしたりした。その曲も「ピアノフェスティバル」作曲部門で自演によりグランプリを取った。沖縄への修学旅行の途中で引き返し、そのまま本選で演奏したので、前3日位はピアノを触っていなかったはず。和声学はまだソナチネ程度なのに、曲はブラームスやフォーレ風の、高度で情熱的なものだった。
その時を振り返って、「他の曲でも自分の曲みたいに弾けたらいいね」と、藝大合格のお祝いの席で僕は言った。

その翔子さんが今晩、カザルスホールでリサイタル!昨年夏、安川加壽子記念コンクールで第1位を取った証。
ショパンがまるでラヴェルのように、微粒子状の色彩で描かれた。「木枯らし」と「洋上の小舟」には量感面でデザイアを覚えたが、水を得た魚のようだったのはドビュッシーとメシアン。多動症候群的な野田暉行作品も難なく弾き切った(野田氏ご臨席)。アンコールはドビュッシーの「花火」と、バリバリ弾いた「大洋」。満員の聴衆。おめでとう!



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