『問題児 三木谷浩史の育ち方』(幻冬舎)の著者で小説家の山川健一さんが言う。

「小学校の通信簿はほとんど2か3で、中学の成績がビリから2番目。中1でたばこを覚えて私立中学を中退して公立中学校に編入した後、パチンコや麻雀、競馬に熱中するようになりました。人の道をそれる危うさがありましたが、一度も叱らなかった父親の愛情もあって徐々に“真人間”になりました」

 風雲児の三木谷氏を突き動かすのは「情熱」だ。ジャーナリストの大西康之さんが言う。

「三木谷さんにとって『ライフ』と『ワーク』は表裏一体です。お父さんをがんで亡くしたので、儲けを度外視して個人的な思い入れでがんの新しい治療法に投資しているし、オーナーを務めるJ1のヴィッセル神戸に世界的なスーパースターであるイニエスタ選手を招聘して、世を驚かせたのもサッカー好きな彼らしい試みです」

 楽天の本社ビルには部屋を仕切る壁がなく、端から端までワンフロアに収まる。

「その広い一角に三木谷さんのデスクが置かれていて、社員は社長を『ミッキー』と呼びます。三木谷さんは繊細に見えるけど意外と豪快で、笑うときは『ガハハハハ!』と思いっきり笑います(笑い)」(山川さん)

 ライフとワークが一体の三木谷氏は、「遊ぶ時は徹底して遊ぶ」がモットーだ。

「アメリカのシリコンバレーにある豪邸は敷地内にプール、テニス場、ゴルフ場があります。ここで頻繁にバーベキューパーティーを行い、フェイスブック最高執行責任者のシェリル・サンドバーグやテスラ創業者のイーロン・マスクなど錚々たる面々が参加します。わざわざ東京から板前さんとネタを“空輸”する力の入れようです」(大西さん)