2024年5月26日礼拝
「ドアを開けて」ヨハネ福音書20:19~23
清水和恵
今日の聖書箇所は「ヨハネ福音書のペンテコステ」とも呼ばれています。
幾つものカギをかけて内に閉じこもっていた弟子たちに
イエスは息を吹きかけて「平和(平安)をあなたがたに!」と言われました。
平安がなく、カギをかけている弟子たち、それはそのまま、
かれらの心情を象徴的に表しているようですね。
ところで、皆さんの家の玄関は内開きでしょうか?外開きでしょうか?
日本は外開きが多く、ヨーロッパは内開きが多いようです。
日本は靴を脱ぐので、内開きですと靴が邪魔になるので外開きが多いようですね。
ヨーロッパでは争いがあったり、泥棒が来た時、内開きなら物を置いたり、
内側から押すことで簡単に開けられず、つまり家を守るのに有利です。
がっしりとした格子をつけた窓も、家を守る工夫のようです。
これはさまざまな民族が住み、物や文化が行きかい、いつもどこかで小競り合いや
紛争、戦争が続いていたヨーロッパの歴史的な事情があるようです。
(『たくさんのふしぎ/まど・窓・まど』深井聡男、深井せつ子/福音館書店)
玄関は人の出入りするところですが、新発寒教会は外開きでほっとしました。
人を歓迎するためにドアがあると考えたいからです。教会の内側をしっかりと守る
というというよりは、いろんな人に気軽に来ていただきたく、
敷居を低くしたいと思うからです。
(危害を加える侵入者は困りますが、
でもレ・ミゼラブルのジャン・バルジャンのような例もありますね)
その昔、札幌市内に「オープン・ザ・ドア教会」という名前の教会があり、
建物は何かのお店を改修した仕様でした。なるほど、それでその名前のごとく
入りやすいのだと思いました。
お店は一般的に、お客さんに気軽に入っていただくために設計され造られます。
逆にヨーロッパでは、昔は教会、今はレストランというお店がけっこうあります。
どちらもユニークな再利用ですね。
弟子たちは、自分たちもイエスのように捕縛され殺されるのが怖かったのでしょう。
また、ヨハネ福音書が記された当時の状況も、この聖書箇所に
反映されていると思います。つまりキリスト教(徒)への迫害です。
しかしイエスは閉じこもる者に息を吹きかけ、新たな命と力を与えます。
そしてドアを開けるように促すのです。
ドアを開けると、光や風も入ってきます。
空気の入れ替えもできて、外の世界が見えるでしょう。
新しい出会いもあります。
イエスの息(聖霊)と「平和(平安)あなたがたに!」と
イエスの宣言を受けた教会は、もうビクビク恐れることはありません。
聖霊が助け手として、守るのです。
安心してドアを開けましょう。
ひらかれた教会となりましょう。
人を温かく迎え、わたしたちも内にこもらず、
福音を携え、外へ出かけていきましょう。
神の愛を広く分かち合うために。