カメラを片手に

ノガミって何?

年度納めの朝は花曇り、最低気温の7.7℃から午前中は16℃台で暖房が欲しい
ほど、昼過ぎから晴れ間の見えれば、22.5℃迄上がってくれました。
お出かけの連れ合いを駅まで送れば、サクラは満開で花弁をいっぱいに広げ、
中心部がピンク色に染まり始め、明日には散り始める予感が・・・
      11時、14.6℃、45%

今日は「エッフェル塔落成記念日」、1889(明治22)年のこの日、パリ万博に
合わせ、シャン・ド・マルスの広場にフランス人技師エッフェルが設計した
エッフェル塔、約320mの高さの鉄塔です。
      2019.1.28マルス広場



パリ市内のランドマークとなりますね。

話は古くから奈良盆地、奈良から御所辺りの農村でのランドマークといえば、
集落の外れや田畑の塚状部に、榎、楠、松や銀杏などの一本の樹木がある。
この一本の樹木を「ノガミ(野神 農神)」や「ノガミサン」と呼び、百姓の
守り神、農耕の神さんが神の依り代やミーサン(蛇)の棲む神木として大事に
守られ、今では樹木自体が霊力を持つ存在と意識されるようにもなっている。

このお話を奈良市文化財保存の方から三笠公民館で3月17日に伺っている。
座学のあと、現地3か所での見学となりました。

座学では奈良弁でノグッツアン(野口さん)、ハッタハン(八王子さん)や
一本木さんなどと親しみを持って呼ばれていると。
特に榎(エノキ)は「ヨノミの木」「ユノミの木」とも呼ばれ、大和西大寺の
野神神社では祀られ、古代の春日大社の地主神「本神社」が本殿回廊南西隅
におられると・・・

さて三笠公民館付近は三条地区と言い、奈良町に西入り口、三条通の南側、
昭和40年1965年頃までは、JR奈良駅から西はほぼ田畑だったそうです。

さて「野神」に対し一年間の五穀豊穣・無病息災を祈るため、稲作が始まる
5~6月頃に行われるのが「野神行事」で、奈良県内には現在約30カ所の野神
行事があると。
三条では今でも、野神と〇で囲む場所にエノキが一本残り、石碑も。
住宅街と古くからの道の挟まれた狭い位置、かつては細長い塚状で道からは
150㎝程の高まりになっていたが・・・
      3/17

石碑には農耕守護の神で、毎年6月1日に豊作と平穏無事を祈願して18世紀
から行われ、祈りと生産活動の原点とも言える信仰の場所ですと。
      

かつてはトウヤ二人が出馬(デンマ)と入馬(イリンマ)がある絵馬(エンマ)を
刷り、注連縄も飾り、筵の上にシンコ(ひねり餅)、干しエビ、ソラマメ、
ワカメを肴に神酒を頂いで、直会をしていたと。
入り馬絵馬は1796年の墨書があると。
      

大宮小学校東隣にも野神の木はあったが10年ほど前に駐車場になる。
公的な地面は良いが、民間の地面では、無くなるのも仕方がないか?。
      

佐保川南側に一カ所残り、「ノガミさん」としてGoogle地図に載っている。
ここはクスノキで、裏道で車が良く通る道端におられた。
      

そして3月27日の佐保川の桜見物のおり、大伴坂上郎女の歌碑を東へ30m程で「法蓮野神」との石碑が現れた。ちゃんとお守りされていました。
      

その後ろに、何代目かのイチョウなのでしょうか。
      
      
帰って3月号の県民だよりを整理しようとめくれば・・・
特集で「蛇穴(さらぎ)の蛇曳き汁掛け祭り」が載せられていた。
「大和の野神行事」の名称で蛇穴を含む14件が、国の選択無形民俗文化財
指定されていることを知った。
      県民だより3月号より

 *選択無形民俗文化財とは、
文化庁長官が選択する 「 記録作成等の措置を講ずべき無形文化財 」の通称。 重要無形文化財には指定されていないが、 芸能 ・工芸技術などの記録や公開
が必要であるとして、国が記録を作成したり、 助成を行ったりするもの。

蛇穴(さらぎ)の蛇曳き汁掛け祭りでは10mを超える蛇綱を作り、ワカメの味噌汁を周囲に振り撒く汁掛け神事で、江戸時代から続く行事、境内で見物客などに
味噌汁やおにぎりがふるまわれ、かつては男の子だけ曳いていた蛇綱も、今では女の子も曳くようになり、今では大人も曳くと。
この行事の謂れは、役行者への恋情のあまり蛇に化けた村娘に、味噌汁をかけ
て退治したという伝説が由来とされている。

講座のまとめでは
①野神の祭日は、麦の収穫が終わり、田植えの準備中の5月6月が多く、県北部
 は大人が主体で、県中南部は子供が主役に
②田を耕すための牛・馬や農具を供え農耕の無事と豊作を祈り、地域性がある
 ・牛を連れて参る
 ・牛や馬の絵柄の絵馬を奉納し、帰って牛小屋などに貼る。
      大和名所図会二巻1791年
 ・農具の模型を作り奉納する
 ・藁でジャ(蛇)を作り担いで廻り、野神の木に巻き付ける
 ・子供たちが煤付けや泥投げ、汁掛けなどをする
③ノガミは近世初頭16世紀に小字名としてあり、中世後半には農地に祀られ
 農耕、田畑の守護神として農村域で祀られ、信仰されてきた。
④ノガミの祭りの後の直会は、田植えや用水などの話し合う場でもあり、
 村落共同体の大切な伝統行事として位置付けられる。
 こどもが主役の場合、将来の村の農業を担うことから農民としての自覚と
 経験を積ませ、村落構成員としての自覚を促す教育的効果をもたせている

先祖から受け継ぎ開拓してきた土地と耕作の豊穣を願う信仰と、生活共同体
としての結束や自覚を促す社会的機能を併せ持っていた年中行事となる。

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