将門ブログ

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11「女論による戦い」

2008年01月11日 | 将門の乱
今回は『将門記』の一歩手前で「女論による戦い」です。

○「将門と叔父たちとの女論」
歴史上で平将門の実像があきらかになるのは,承平元年(931)からです。将門が帰郷してすぐのこの年に,叔父の良兼と「女論」によって争ったという記録がありますが,その内容は定かではありません。この女性問題が、土地と絡んで争いが起こり、それがいわゆる「将門の乱」へと発展していったというのが定説になっています。しかし、肝腎の『将門記』が巻首を失っているので推測する説が多くでています。
『群書類従・合戦部』に「下総介将門の伯父なり。しかるに良兼、去る延長9年(931)をもて、いささか女論によりて、舅甥の中すでに相違う」とあることから女性問題で両者が争ったといいます。この女性問題については、良兼の娘が将門の妻となっていましたが、招婿婚の時代に将門と同居していたのでみっともないと良兼が将門に文句を付けたとする説(新人物往来社平将門資料集)。源護の息子達と女を争ったと言う説(吉川英治)。良兼の娘を将門が奪ったという説(海音寺潮五郎)などあります。さらに将門を主人公にする小説では、作者それぞれがフィクションとして使われており事実は闇の中です。何れにせよ、戦いというよりも言い争いに近いものであったろうと思われます。良兼は『将門記』によるとやや保守的な人物であり、この結婚を快く思っていなかったようです。また、後の合戦で、良兼の娘は良兼の元に連れ戻されていますが、将門の元に逃げ帰っています。どうもこの娘は、当時には珍しくかなり情熱的な女性だったようで、将門にお似合いのようです。ともあれ、この「女論」の正体はこの「良兼の娘」が原因だと思われます。
また、『平将門故蹟考』では、「将門の妻は、源扶、隆、繁たちが懸想して、これを得ようとしたが、源家に嫁せずといって将門のところに走ったものであった。そこで扶ら三人は将門を殺そうとした。国香、良兼、良正らは扶らを煽り、将門のおびただしい田産を奪おうとした」としています。赤城宗徳氏は『平将門』で、「『将門記』から推して、将門の女論の相手は良兼であることは明らかである。そして、その争点は将門の妾・桔梗の前と考えてよいだろう」と記しています。
http://www2u.biglobe.ne.jp/~heian/kenkyu/retuden/heiannbito/etc2.htm

○『将門略記』冒頭部分より
《聞くところによれば、かの将門は昔の「天国押撥御宇(あめくにおしはるきあめのしたしろしめす)」柏原(桓武)天皇五代の後裔であり、三世高望王の孫である。その父は陸奥鎮守府将軍・平朝臣良持(よしもち)である。弟の下総介・平良兼朝臣は将門の伯父である。ところが、良兼は去る延長九年(931)に、少々女論(女性に関する紛争)によって叔父(舅)・甥の間ですでに関係が悪化していた。》

○『歴代皇紀』朱雀天皇条より
《将門合戦状にいわく、始め伯父・平良兼と将門と合戦し、次に平真樹に誘われて、承平五年二月、平国香ならびに源護(みなもとのまもる)と合戦した。》

○海音寺潮五郎『平将門』より
平将門は上京して藤原忠平に仕えましたが、在京中の彼の生活を伝える確実な史実はなく、また官位についた形跡もありません。この小説では在京中の彼の生活が面白く描写されています。『将門記』その他の史料によれば、延長9年(931)将門はすでに下総の郷里に帰っていたようです。将門はその伯父良兼と「女論」によって対立・合戦し、ついで承平5年(935)伯父国香・源護と合戦するに至りました。「女論」とは将門が良兼の娘(小説では良子)に結婚を申し入れましたが、良兼は拒絶したので将門が強引に良兼の娘を奪ったという説があり、この小説もこの説によって物語を展開しています。『将門記』によれば将門の妻は良兼の娘であったことが知られるので、この説は信頼性が高いといえるでしょう。また合戦の原因は「女論」のみではなく、将門の父死去に伴う遺領相続をめぐって将門と国香その他との内紛にあったようです。この合戦の結果、平氏一族の惣領であった平国香と源護の子息扶・隆・繁の3人が敗死しました。

【源護】
常陸国前大椽。嵯峨源氏の系譜といわれています。当時、平氏隆盛の中にあって、坂東の石田に館があり勢威を振るいました。娘を平良兼、良正、貞盛の室としました。承平5年(935)2月から天慶3年(940)2月にかけての承平の乱は、平将門と平良兼、平国香、前大掾源護との戦いによって幕が切って落とされました。この戦いで護は3人の息子(扶・隆・繁)を失い、強力な味方である国香も戦死しました。反将門陣営の一人でしたが、直接合戦には加わらず、その終わりは不明です。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BA%90%E8%AD%B7

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/取材:源六郎/平将門関連書籍将門奉賛会


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