将門ブログ

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55「将門の鉄身伝説」

2008年02月24日 | 将門の乱
今回は「将門の鉄身伝説」の話です。

○「鉄身伝説」
様々な乱に携わり無敵を誇った将門ですが、その無敵さゆえ身体が鉄であったという伝説があります。そもそも『将門記』では、将門最期の場面で彼自身を古代中国の黄帝の時代の伝説的人物「蚩尤」に喩えています。この蚩尤とは獣心人語、銅頭鉄額の巨人です。とても実在したとは考えにくいのですが、日本でも古来より言い伝えに登場し、製鉄民族などからも崇拝の対象になっています。将門がこの巨人に喩えられたのは、あくまで強さの喩えで別に将門の身体が金属だったわけでは無いと思われます。後世の伝説はこれが飛躍し、「将門の体は鉄だった」としたものが多く残っています。『太平記』では比叡山に四天王像を安置し、将門調伏の行に入ったため、将門の鉄身が痛み滅んだとの記述があります。将門の弱点は様々な文献や伝承に登場しますが、別に普通の人物では必要の無い記述です。ところが全身鉄身であれば話は別です。将門の弱点として、もっとも有名なのは「こめかみ」です。これは「俵」藤太からの洒落だと思われますが、下総相馬郡には将門の母が大蛇で将門誕生の際、全身を舐め、加護を与えましたが、「脳天」のみ舐め忘れたためにここが弱点になっています。
ここで面白いのが、古代ギリシアのアキレスに関する伝説との類似です。英雄アキレスは、赤ん坊の時に母親によってスチュクス(Styx) という黄泉の国を取り巻く川の水に浸けられたため不死となった、といいます。しかし、足首を母親に握られていたため、かかとだけは不死の水の恩恵を受けることができなかった。
その他、将門が射抜かれた弱点は「右目」「眉間」などがあります。片目が射抜かれた事についても鉄身との関連があると思われる。古代製鉄技術「たたら」では長時間火を見つめる事が多く、片目が見えなくなることがあるといいます。今では差別用語の関係で死語になってしまいましたが、「めっかち」という片目がおかしい症状は、「目鍛冶」から来ています。これは、将門が実際に持っていた軍事力の背景にある奥州や関東の鉄の技術が、将門の全身鉄身伝説を生んだとも考えられます。実際に、将門の本拠地には鉱山跡がいくつか近年になって発見されています。

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/取材:源六郎/平将門関連書籍将門奉賛会


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