クラブボクシング@ゴールドジム湘南神奈川

普通、湘南辻堂といえばサーフィンなのにボクシングでひたすら汗を流すオッさん達のうだうだ話!

貧乏なるお金持ちのお話

2021年01月05日 | ちっちゃいおっさん

私、昔々、証券マンでした。振り出しは支店での個人営業でした。


そこでわかったこと、それは「金持ち」でも「お金が似合う人」と「お金が似合わない人」がいるということでした。


上手く言えないんですが証券会社にくる「お金が似合う金持ち」に共通していることは


①相手に思いやりがある 

②家族友人を大切にしている 

③本業を疎かにしない


一方「お金が似合わない金持ち」の場合 

①他人のことは考えない 

②お金がともだち 

③振る舞いが粗野


でしょうか。




「お金が似合わないお金持ち」のお客様だった方を思い出しました。


その方は先輩のお客様で自称電鉄系のデパートの常務取締役(でも本当かどうかわからない)で皆に「常務」と呼ばれていました。


私は生理的にそのお客様が好ましくなかったので、生意気ですが「いよっ!常務!」と「いよっ!」をつけて呼ぶことで小馬鹿に距離を取ることにしていました。



その「いよっ!常務!」は電鉄系デパートの常務でありながら来ているスーツはヨレヨレのテカテカ、太っているのでスーツはパンパンで汗とヤニの匂いが消えません。


酒が好きなのか血圧が高いのかいつも赤ら顔で耳毛や鼻毛も堂々と生やしています。



電鉄系デパートの常務ならそんな恰好はするはずはないのですが・・・ 


ま、いいや。


その「いよっ!常務!」は毎日毎日、寄付き前(900前)に現れて1時間ほど相場をみて支店を出ていきます。


今ならスマホでチェック、スマホで注文の時代ですけれどね。


で、11時に相場が引ける頃にまた現れて自分の持っている銘柄の株価をチェックし、後場寄りの13時にきて大引け後の15時にまた来るのです。


「いよっ!常務!」どころか立派な「社長出勤」の域を超越した自由人と言えました。




その「いよっ!常務!」は厚かましくローカウンター越しの営業場まで入ってくることを許されているらしく、堂々と入ってきては私の机にあるタバコを勝手に取り美味そうに吸うのです。(当時は客前でもタバコを吸うことが許されていた恐ろしい時代でした)


「お、新人!頑張っているか?タバコ貰うぞ。今度返すからな!」と一度も返してもらったことないんですけど・・・。


支店長も先輩も注意すればよいものを!確かに落とす手数料は少なくないのですが、それより他のお客様に示しがつかないじゃありませんか。


そういった意味で私は支店長も先輩も信頼できなくなっていました。


一度「いよっ!常務!儲けたお金でご家族に何かプレゼントしたり、旅行や食事に行ったりします?」と聞いたことがありました。


「ふん、これは俺が相場で儲けた金だし家族にはびた一文やらんよ。いくら設けたかも言ってないしな。ガハガハガハ・・・ お、新人タバコくれや。」と品なく笑うのでした。


「ああそうなんですかぁ。亭主関白みたいなもんですかね?」


「まあ、そうだな。ガハガハハハ・・・ お、新人、火っ!」


「こいつはろくな死に方しねえな・・・」(と心の中で思う)



私が異動し、何年も経った後に先輩に聞いた話では「「いよっ!常務!」はと或る日にいつものように「出勤」し暫く相場を見ていたら、突然苦しみだし倒れそのまま救急車で病院に運ばれていったとのこと。


脳なのか心臓なのか原因は分らないが寝たきりになってしまって、家族も見舞いに来ないし付添もないとのこと・・・。


お金はあるに越したことはありませんよね。


お金って幸せになるために必要なものですから。


でも、家族も仲間もおらず、趣味など打ち込むものがなくて、ましてや健康を害してお金だけあってもつまらないですよね。