将棋ソフト生活

将棋ソフト・コンピュータ将棋の話題

最強の将棋ソフトといえば激指

2010-08-04 18:08:53 | 将棋ソフト列伝
前回の記事で、将棋ソフトの代表格といえばボナンザだとしました。無料であること、強いこと、オープンソースであること、話題性があることが理由でした。

では、純粋にもっとも「強い」将棋ソフトはどれかといえば、激指(げきさし)といっていいと思います。

世界コンピュータ将棋選手権で2002年に初優勝してから現在まで4回優勝しています。
ほぼ2回に1度優勝していますので、尋常じゃない強さです。
しかも優勝していない年も3位以内の好成績をおさめたことが多いです。
2009年は調子が悪かったようですが、最新の2010年の選手権ではまた優勝しました。

もともと東大の研究室の有志が開発したプログラムです。
公式ページ → 将棋プログラム「激指」のページ 

上記のサイトで思考ルーティンについても詳しく説明されています。
簡単にいえば、過去のプロ棋士の棋譜を統計的に利用することで、この局面からありえる局面を確率的に発見していくということのようです。
上級者の対局だったらこの局面でどのように指し、どういった局面に進むか。それを過去の棋譜データベースを基にして読んでいくんですね。

コンピュータ将棋のイメージにもっとも近い思考ルーティンのようにも思います。
まず、人間の記録(プロ棋士の棋譜)があり、それをコンピュータは膨大に蓄積し、それをもとに最善手を選ぶ。このソフトと対局する人間は、過去の最強のプロ棋士たちすべてと戦うことを意味する。こんなイメージではないでしょうか。

むしろボナンザの全幅検索、評価の自動生成は、かなり珍しいというか革新的だったのかも知れません。


いずれにせよ、2010年現在、最強の将棋ソフトは、この劇指であるといっていいと思います。

市販版としては、下記の劇指定跡道場2が最新版です。

激指 定跡道場2 優勝記念版
毎日コミュニケーションズ (2010-07-23)
売り上げランキング: 92


前回の記事で、有名な将棋ソフトはどれもアマチュアが勝てないほど強いから、その意味で違いはないと書きました。ということで、将棋を市販する側も工夫しているようで、この劇指定跡道場2は、定跡を学べるようになっています。

序盤の定跡を学ぶだけでなく、定跡の途中からコンピュータと対局できるのは大きいですね。将棋倶楽部24のレーティングをあげるのに役立ちそうです。




将棋ソフトの代表格といえばボナンザ(Bonanza)

2010-08-03 16:42:24 | 将棋ソフト列伝
現在における将棋ソフトのベストは、Bonanza(ボナンザ)だと思います。

2005年公開なので歴史的には若いソフトですが、以下の点をもって現在のリーディング将棋ソフトだといえるでしょう。

1.無料で配布されている(フリーソフト)。←重要
将棋ソフトは1万前後で販売されているものが多いのですが、ボナンザはフリーソフトです。

ボナンザの無料ダウンロード→Bonanza


2.棋力は将棋ソフトの中で最強レベル
2006年の世界コンピュータ将棋選手権大会に初出場で初優勝。
2009年には、複数のBonanzaを使って合議制で次の手を決める「文殊」が3位という好成績を収めています。

3.ボナンザの思考ルーティンは公開されている。
開発者の方々がオープンソースとして利用できるようになっています。
そのため、2010年のコンピュータ将棋大会では3チームがボナンザを基にしたアルゴリズムで参加しました。多くのプログラマーの共同開発によってこれからも進化していくことでしょう。

4.渡辺竜王と公開対局するなど話題性がある。
2007年のボナンザVS渡辺竜王の対局は話題になりました。結果は渡辺竜王の辛勝となりましたが、将棋ソフトの可能性を見せつけた対局です。NHKでドキュメント番組となっていたり、書籍化もされています。


その他、ボナンザ雑学といえば、以下のようなものがあります。
・開発者の保木邦仁さんは当時将棋をほとんど知らなかった。
・開発者が将棋を知らないからこそ、指し手の全幅検索というコンピュータチェス型の思考ルーティンを選択できた。
・開発者が評価関数を定めるのではなく、自動生成される方式を利用したため、先入観のない良手が発見できる。
・現在は、全幅検索と選択検索のハイブリッドにしたり、一定の評価関数を定めるなど、バランスをとることでさらに高みを目指している。

これからも発展が楽しみです。


私もボナンザをダウンロードして何度も対局しましたが、本当に強い。もちろん勝てません。使用メモリなどのパラメータを変えられるので、ボナンザのレベルを落として対局すれば10回に2、3回くらい勝てる程度です。

ちなみに本音を言うと、現在の将棋ソフトはどれも強いので、アマチュアレベルではどのソフトにも勝つことができません。有名な将棋ソフトはどれも将棋倶楽部24のレーティングで2800以上と言われています。ですから、どのソフトが強い弱いといった話は、将棋ファンが遊ぶ分には、もう関係ないですね。

その意味でも、ボナンザがフリーソフトというのはありがたい限りです。資金的に余裕のない将棋ファンは、とりあえずボナンザを無料でダウンロードしておけばOKといった感じです。