雑談記 三州街道と木曽山脈
11月初旬、山岳の広葉樹が紅葉し、山里の街路樹が色付き始める頃、山懐深くから、群れた野生の猿が食料を求めて果樹園に出没してくる。昨年同様、今年の秋の南信濃の風景だ。被害総額○○円とテレビが報じている。
木曽山脈は赤石山脈と平行するように山岳を連ねる。間には、天竜川が貫流し、川に寄り添うように、三州街道が走る。
木曽山脈は、木曽駒ヶ岳(西駒)宝剣岳を主峰とし南下するにしたがい、山容は丸みを帯び、山頂を低くしていく。
これには理由がある。木曽駒以北の山を構成する岩石は、頁岩、石灰岩、砂岩など比較的強度が強いのに対して、以南の山は、花崗岩を主として比較的弱くもろい。その結果、木曽山脈の幾つかの特徴を見いだすことが出来る。山頂が低くて山容が丸みを帯びているのは、花崗岩が風雪に耐えかねて崩れやすかったのだろう。同じ理由で、山から流れ出る谷川は、山を削りながら土石を運び、里に広大で層の厚い扇状地を造成したのだろう。時には、激しく山崩れを伴った土石流も当然あったのだろう。この層の厚い扇状地を削りながら流れる谷川は、深い谷も作ったのだろう。この扇状地を深く切り込んでいく川を「田切川」と呼んだ。昔は、田の意味は耕作地であり、畑も水田も含まれていたそうで、畑と水田が区分けして使われるようになったのは後年であるそうだ。
伊那谷の扇状地は、果樹園好適地であり、リンゴ、なしの他様々な果物が生産されている。先述の野生の猿の食料の果物はまさにこの地の生産物である。
三河高原は、通常は木曽山脈とは言わないが、木曽山脈に連綿と連なっている。矢作川、巴川、足助川は、この三河高原を水源とする川である。この三河高原は、南部木曽山脈と同様に花崗岩を主構成とする岩石で出来ている。矢作川の氾濫は、三河高原から削り散られた花崗岩土石が、川床を高く堆積してきた故の氾濫だと言われている。矢作川洪水への対策、治水技術が、伊奈忠次に伝わり、やがて利根川・荒川の東遷・荒川の西遷へとつながったのだろう、と感慨をもって木曽山脈を眺めています。
*門外漢なので、花崗岩の性質につては、かっての理学部地質学科の友人に確認しました。花崗岩は、特に酸性雨に弱いみたいです。
*山崩れの土石流災害を、この地方では昔「蛇ぬけ(ジャヌケ)」と呼んでいたそうです。「言い得て妙」と思っています。
大田切川、中田切川、与田切川など
寧比曽岳1120M・・三河高原最高峰。
恵那山2191M・・通常、木曽山脈最南端。
御嶽山・・独立山岳(活火山)、木曽山脈ではありません。
11月初旬、山岳の広葉樹が紅葉し、山里の街路樹が色付き始める頃、山懐深くから、群れた野生の猿が食料を求めて果樹園に出没してくる。昨年同様、今年の秋の南信濃の風景だ。被害総額○○円とテレビが報じている。
木曽山脈は赤石山脈と平行するように山岳を連ねる。間には、天竜川が貫流し、川に寄り添うように、三州街道が走る。
木曽山脈は、木曽駒ヶ岳(西駒)宝剣岳を主峰とし南下するにしたがい、山容は丸みを帯び、山頂を低くしていく。
これには理由がある。木曽駒以北の山を構成する岩石は、頁岩、石灰岩、砂岩など比較的強度が強いのに対して、以南の山は、花崗岩を主として比較的弱くもろい。その結果、木曽山脈の幾つかの特徴を見いだすことが出来る。山頂が低くて山容が丸みを帯びているのは、花崗岩が風雪に耐えかねて崩れやすかったのだろう。同じ理由で、山から流れ出る谷川は、山を削りながら土石を運び、里に広大で層の厚い扇状地を造成したのだろう。時には、激しく山崩れを伴った土石流も当然あったのだろう。この層の厚い扇状地を削りながら流れる谷川は、深い谷も作ったのだろう。この扇状地を深く切り込んでいく川を「田切川」と呼んだ。昔は、田の意味は耕作地であり、畑も水田も含まれていたそうで、畑と水田が区分けして使われるようになったのは後年であるそうだ。
伊那谷の扇状地は、果樹園好適地であり、リンゴ、なしの他様々な果物が生産されている。先述の野生の猿の食料の果物はまさにこの地の生産物である。
三河高原は、通常は木曽山脈とは言わないが、木曽山脈に連綿と連なっている。矢作川、巴川、足助川は、この三河高原を水源とする川である。この三河高原は、南部木曽山脈と同様に花崗岩を主構成とする岩石で出来ている。矢作川の氾濫は、三河高原から削り散られた花崗岩土石が、川床を高く堆積してきた故の氾濫だと言われている。矢作川洪水への対策、治水技術が、伊奈忠次に伝わり、やがて利根川・荒川の東遷・荒川の西遷へとつながったのだろう、と感慨をもって木曽山脈を眺めています。
*門外漢なので、花崗岩の性質につては、かっての理学部地質学科の友人に確認しました。花崗岩は、特に酸性雨に弱いみたいです。
*山崩れの土石流災害を、この地方では昔「蛇ぬけ(ジャヌケ)」と呼んでいたそうです。「言い得て妙」と思っています。
大田切川、中田切川、与田切川など
寧比曽岳1120M・・三河高原最高峰。
恵那山2191M・・通常、木曽山脈最南端。
御嶽山・・独立山岳(活火山)、木曽山脈ではありません。
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