「白洲正子能面学」と「面打ち」

白洲正子著「能面」を定本として、現在各能楽宗家、美術館、博物館、神社等に所蔵されている能面を面打ちも含めて研究してみる

「白洲正子能面学」と「面打ち」-012

2014-07-25 19:32:46 | 日記
 
 
白洲正子能面学」と「面打ち
 
-012
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
   
 「井伊能楽名宝」より
 
 
 
 
 
」について
 
 
 
 
 
 
 
 
近江井伊家所蔵の「黒式尉」 弥勒作との伝承が下記の通りある。面裏の漆彩色も丁寧な仕上げである。
作者の弥勒は伝承の彼方の作者で、実在かは甚だ疑わしいが。
 
 
面裏
 
 
 
 
 
 
 
 
翁猿楽  黒式尉
 
 
 
 
 
能楽の祝言曲・式三番で第一に千歳(せんざい)は舞い、第二に翁が舞った後に、第三番目に狂言方がでて勤める。面の黒い彩色から「黒式尉」あるいは「三番叟(さんばそう)」、「三番三(さんばそう)」ともいわれている。
歌舞伎や人形浄瑠璃の世界にも存在する。
 
 
 
黒式尉 ・ 大振り (山本 東次郎家) 鎌倉時代
 
 
 
 
現存する面としては可也の古作である。面の材質は珍しい楠である。 この黒式尉は三番三(さんばそう)の後段「鈴の段」で掛けられた。
 
 
 
 
黒式尉 ・ 小振り (山本東次郎家) 室町時代 
 
 
 
 
面の彩色の色の濃さと小ささが特徴。古くには「三番三」は前段の「揉之段」でこの黒式尉を懐中に入れて舞ったので、面が小振りなのだそうだ。後段の「鈴の段」ではこの面を懐中から取り出して舞を舞う。 
 
 
 
 
 
喫茶店でちょっと一服
 
 
 
 
 黒川能
 
 
 
 
山形県鶴岡市の近くに、作家・森敦の小説の舞台となった月山の麓の黒川地区に、中央の五流の能楽とはちがった黒川能が存在する。すでに中央では滅びてしまった古い演目や演式が存在する。古代において中央の権力者が当地に落延びて来た際に、黒川に能の演能形式を伝えたものであろう。黒川能に限らず地方にはこのような形態の民間芸能が今も各所に存在する。
 
 
 
 
 狂言面 
 
 
 
三番三 鈴の段
 
 
 
 「能狂言」という古典芸能の中の「狂言」という世界。いずれも付則不離の関係にありながら独自の世界を持っている。今回からは能面に比較して絶対数は少ないが、狂言面の名品を紹介してみよう。
 
 
黒式尉 ・ 河内井関家重 作 ・ 桃山時代
 
 
 
 
今回のブログでは「山本東次郎家」の所蔵する、狂言面をご紹介している。
山本東次郎家 狂言面」から掲載している。 
 
 
上記の黒式尉は本面「日光作」と伝承された面を江戸時代の能面師・天下一・河内が写したものである。一見ザックリとした作に見えるが、しっかりと骨を捕らえた名品であることが分かる。彩色は木地に直接黒色漆を塗って仕上げてある。当初は黒色に見えたものが、時代の変化にしたがって退色し、薄らいでいる。何を打たせても駄作のない作者面目躍如という感がある。 
 

 

 

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