「白洲正子能面学」と「面打ち」

白洲正子著「能面」を定本として、現在各能楽宗家、美術館、博物館、神社等に所蔵されている能面を面打ちも含めて研究してみる

「白洲正子能面学」と「面打ち」-001-05

2014-04-11 17:23:43 | 日記
 
 
白洲正子能面学」と「面打ち
 
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能面・面打ち 

 

 

雪の小面」について-003

 

 先回までは「小面」について、特に有名な龍右衛門作の「雪の小面」について書いてみました。この面は現在は金剛流の宗家が所蔵しております。15世紀に京都に居住したとされる龍右衛門重政。何を打っても水準を超えた技量を持ち、作品に打ち手の癖がないのもその特徴。

雪の小面

 

 

上記の写真のように打ち手独特の癖が見えません。それは名人と言う証拠。現代の名人・長沢氏春師の面もそれが言えます。15世紀の同時代の増阿彌久次の面も同じですね。そして特に女面に素晴らしいものが多い。抜群の技量を持っていると思います。

赤鶴吉成や夜叉、氷見宗忠など個性の強い面を打った名人や、赤鶴、是閑のような男性的な気魂を感じさせる打ち手、鈴木慶雲、堀 安右衛門師のように、心根の優しさが面に現れている能面も有ります。特にこの面の作者龍右衛門の面には、全般に渡って言えることは「上品な美意識」を感じさせます。「痩せ女、痩せ男」や「般若系の面」でさえもそれが感じます。

桃山・江戸時代初期に掛けて活躍した名工・河内 家重の作品も、龍右衛門を強く意識した関係からか同じような傾向があります。作品に癖がなく美しさを常に感じます。余り駄作がない作家でもあったようです。各種の宗家から発行された、あるいは美術館から発行された能面集を見てみますと、その事が感じられます。

 

花の小面

 

 

花の小面」も龍右衛門作の小面と伝承されております。この面については次回以降に詳細に書きますが、とは少し面立ちが違っております。細工の仕方が違うのがその理由です。現在は三井文庫に所蔵されております。唯、江戸時代・文化十年書上「金剛流重代本面譜」によると、「雪は火災に係り、月は行方不明、金剛家ののみ存す」と有るそうです。

江戸時代の資料が正しければ、現在金剛宗家に所蔵された「雪の小面」は誰の作????・・・巷の話の中にはこの面を巡るいろいろな話が有ります。穿った推量をすると、現在の面は龍右衛門の真作を写した面かもと言うような???ということにもなります。でも、大変な名作ですね。

河内か誰かが写した「雪の小面」が、現在真作の本面・雪の小面として存在しているのかも。そして「月の小面」は今もどこかに存在するのかもしれません。

歴史的史実は嘘で嘘を塗りつぶした事が多いので、トンでもハップンの事実が隠されているかもしれません。面の面裏の「鉋目」や「焼印」すら偽造した贋物が有るのですから。それにしてもこの「雪の小面」はどんな事情が裏に隠されようとも、名品には間違いありません。

事実、学者の研究では龍右衛門作の面の中には、相当数の別人が紛れ込んでいる可能性が有るとの事。余りにも素晴らしい打ち手であったが故に、名前を無断で権力を嵩にして借用したようです。その一大原因は「江戸の大名に対する式楽制度」にあります。

ミステリーですね。

 

  

 

喫茶店でちょっと一服-02    

どこかの喫茶店・・HPより拝借しました。

 

爺の迷作

 

箱の中を探していたら、大変な迷作が飛び出てきました。「黒式尉」らしい。途中で彫るのを止めた小造り段階らしい。眼の周りに<粉くそ>を塗ってあります。彫りすぎたのでしょうね。師匠から木型を借りて彫っていたものらしい。今から見るとさ程悪くはないんですが・・・

後は<引き回し鋸>で顎を切り落とし、皺を掘り、肝心の眼を完成し、裏を彫り上げればOKのはずだが??? 今となっては数十年前のこととて記憶になし??

まだまだ修正可能なのだが・・何が気に食わなかったかね~?

裏も途中半端・・・まだまだ堀りが足りな~い

仕様がないので、今回修正して完成させる積り。とんだものをご紹介いたしました。 

堀 安右衛門師のビデオを観ておりましたら、「木というものは300年位の成長したものを使っているので、ほかしたらイケマセン」と有りました。正にその通り。それで思い起こして完成させることになりました。小造り、仕上げ、下地塗り、古色、彩色・・・・まだまだ道中はなが~い道のりです。

 

海岸で日向ぼっこの親子ヤギ左は母親、右が息子)

 

 



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