サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル

地域の足もとから、持続可能な自立共生社会を目指して

今後の研究課題(2013年11月30日)

2013年11月30日 | 雑感

私自身の今後の研究課題を3つに整理してみた。

 

1.「環境イノベーションの普及学」の体系化

 

 環境問題の解決のためには、環境イノベーション(環境に配慮した製品・サービス、新たなライフスタイル、参加・協働等)のあらゆる主体への普及が不可欠である。この際、環境イノベーションの普及と環境コミュニティ力(主体の個の力、主体間の関係の力)の形成の相互作用を高める地域施策が重要である。

 様々な環境イノベーションについて普及が先行する地域をとりあげ、環境イノベーションの普及を支援する地域施策の実証データを積み重ね、「環境イノベーションの普及学」をとりまとめる。

 特に、環境イノベーションとしては、博士論文でとりあげた住宅用太陽光発電のほか、木質バイオマス、パッシブソーラーシステム、ホームエネルギーマネジメントシステム等をとりあげる。

 また、気候変動というグローバルな課題の地域課題化を通じた環境コミュニティ力の形成について、地域での主体的学習プログラムの開発を行う。

 

2.「サステナブル・コミュニティ」の実践支援研究

 

 持続可能な地域づくり(とりわけ地方都市や農山漁村)においては、少子高齢化時代における地域の再構築、都市から地方への人口還流・交流型居住の創造、地域資源や社会関係資本を活かしたコミュニティ・ビジネスの振興等が求められる。

 経済効率や行財政制約の名のもとで、大規模集約化を進めるのではなく、その代替ととなる居住と暮らし、生業の具体化、その可能性と効果の評価を検討するデータを作成し、実践提案に結びつける研究を行う。

 また、コミュニティ・ビジネスとして、工務店、商店街、地域交通、ローカルメディア等、地域内の人、物、情報の循環に係る産業に注目し、その先進事例のスタディと事業計画手法の開発等を行う。

 

3.リスクマネジメントのための手法開発

 

 温室効果ガスの排出に伴う気候変動、エネルギーの枯渇、地震等の自然災害のリスクへの対応が、長期的な視点から求められるなか、従来対策の延長上のすぎない対症療法的な対策に追加する対策の方向性や具体像、方法を開発・提供していく必要がある。

 特に、リスク影響が深刻化するなか、防御や影響最少化のレベルでの対応に限界も見えてきており、「転換・再構築」のレベルの対策(これは「感受性(影響の受けやすさ)」の改善ともいえる)が求めれる。土地利用、社会経済システム、社会的弱者等に注目したリスク対策としての転換・再構築の実践手法を明らかにする。

 また、不確実な長期的な影響に対して、最大影響を想定した対策を実行するのではなく、想定される将来の様々なケースを設定し、ケース毎に代替案を設定し、監視を続けることで、状況に応じて、先を見通しながら対策を選定していくという「順応型管理」の手法の開発・導入が求められる。「順応型管理」の手法は、水産資源や自然生態系管理の分野で提案されているが、それを気候変動等のリスク管理の分野に導入するための事例スタディや試行による開発を行う。

 

 

 

 

 

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