サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル

地域の足もとから、持続可能な自立共生社会を目指して

ロハスビジネス~環境志向と健康志向の同床異夢を超えて

2008年04月05日 | 雑感
 「ロハスビジネス出版記念講演会」に行ってきた。執筆者である大和田順子さんの講演、著書でロハスビジネスのフロンティアと位置づけられた大地を守る会の藤田和芳さんの講演、共著者の水津陽子さんと信越トレイルを手がけられた加藤則芳さんの対談という構成だった。

 とても質のよい、有意義な2時間半だった。講演を聴きながら、考えたことを2つ、記しておく。

 1つは、ロハスビジネスの定義のこと。

 2002年に日本経済新聞でロハスを紹介し、その普及啓発者である大和田さんは、ロハスビジネスを環境ビジネスと代替医療や自己開発に関するビジネス等に分類している。そして、環境配慮を基盤に、自己開発を頂にするというスパイラルを描いている。

 ここで重要なことは、環境ビジネスだけを切り離して、それだけ捉えても、それはロハスビジネスではないということだ。環境配慮商品でありつつ、同時に消費者の健康や自己実現、幸福に配慮するのが、ロハスビジネスとしての環境ビジネスである。

 同様に、単に健康ビジネスというだけでは、ロハスビジネスではない。アロマテラピーの材料調達が、アン・フェアトレードであったりして、環境破壊の一因となっていてるようでは、それはロハスビジネスといえないだろう。

 大事なことは、環境の活用・保全と人の幸福と健康を、同時に実現するという目的をもつことだ。その入り口が、健康である場合もあれば、環境である場合もある。

 上記は、ロハスビジネスに関わる人にとっては、当たり前のことかも知れないが、そんなことを考えながら、10年以上前の私の持論を思い出していた。

 その持論は、「自然志向と健康志向、動物愛護志向とエコロジストは違う」ということだ。

 自然は好きだから、自分の健康が大事だから、動物がかわいいからというのは、あくまで自己中心的なものであり、自然生態系を包括的に捉えたり、他者との共存を重視するエコロジーとは、似ているが異なものという考えである。

 私が、そんなことを持論にしていたのは、思い込みや感覚で環境のことを語るのでなく、客観視して、科学的に伝えていかないと、環境配慮が皆のものとならないと感じていたからだ。思い込みのエコや、押し付けのエコと、本当のエコを区別したかったからだ。今、思えば、環境配慮の基準等が未成熟な時代であったために、私のような見方が必要だっと思う。

 私は、たびたび、この持論を人に持ちかけ、意見を聞いた。国立環境研究所の青柳さんは、同意をしてくれたうえで、「健康志向と環境志向は親和性が高いので、健康志向の人を環境志向に導いていくことが大事」と言ってくれたことがある。私は、環境志向の広がりを持たせるうえで、健康志向を入り口とする戦術もあるなと理解した。

 そして、環境と健康を一体的に捉えるというロハスという考え方が、整理されて語られるようになった。環境配慮のために健康志向を入り口とすると企みからではない。環境と自分の幸福のどちらも大事だから、それを同時に実現しようというのが、ロハスの考え方である。

 そんなふうに考えると、ロハスは、一時的なブームで終わる言葉でない。環境志向と多様な志向が歩み寄り、多数の人々が、持続可能な社会づくりを、自分の問題として取り組む時代に移行しつつある。その時代を象徴するのがロハスである。
 
 今、自然志向と健康志向、動物愛護志向とエコロジストは、一体になりつつある。

*長文になったので、講演を聴きながら、考えたことの2つめは、別の投稿で記す。
 
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