Microsoft Windows XP①
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Windows XP
(Microsoft Windows NT系OS)
開発者
マイクロソフト
公式サイト: www.microsoft.com/japan/windowsxp/
リリース情報
リリース日: 2001年10月25日 (OEM)/2001年11月16日(リテール) info
現行バージョン: 5.1.2600 (SP2) (2004年9月2日) info
ソースコード モデル: MS-SSI
ライセンス: Microsoft EULA
カーネル様式: ハイブリッドカーネル
サポート状況
メインストリームフェーズ
Windows XP Professional x64 Edition
(Microsoft Windows NT系OS)
開発者
マイクロソフト
公式サイト: www.microsoft.com/japan/windowsxp/64bit/
リリース情報
リリース日: 2005年6月1日 info
現行バージョン: 5.2.3790 (SP2) (2007年3月28日) info
ソースコード モデル: MS-SSI
ライセンス: Microsoft EULA
カーネル様式: ハイブリッドカーネル
サポート状況
メインストリームフェーズ
Windows XP 64-bit Edition
(Microsoft Windows NT系OS)
開発者
マイクロソフト
公式サイト: www.microsoft.com/japan/windowsxp/
リリース情報
現行バージョン: 2003 (2003年3月28日) info
ソースコード モデル: Closed Source
ライセンス: Microsoft EULA
カーネル様式: ハイブリッドカーネル
サポート状況
サポート終了
更なる情報
IA-64系ワークステーション用
Microsoft Windows XP(マイクロソフト ウィンドウズ エックスピー)は、マイクロソフトが2001年に発表したPC用OSであり、2008年2月現在、最も利用者の多いOSでもある[1]。
目次 [非表示]
1 概説
2 Windows XPの新機能
2.1 システム
2.2 インタフェース
2.3 ネットワーク
2.4 その他
3 Windows XPの種類
3.1 主要エディション
3.2 機能特化されたエディション
3.3 市場限定
4 サポート
4.1 Service Pack 1
4.2 Service Pack 2
4.2.1 Service Pack 2b
4.3 Service Pack 3
4.4 サポートライフサイクル
5 出荷本数の推移
6 システム要件
7 その他
7.1 Windows 20周年記念パッケージ
7.2 Windows XPの隠しコマンド
7.3 草原の場所
8 脚注
9 関連項目
10 外部リンク
[編集] 概説
XPは「経験、体験」を意味するeXPerienceから由来する[2]。開発時のコードネームはWhistler[2]と呼ばれていた。XP発売以前、Windowsは一般家庭向けにWindows 95等のWindows 9x系が、ビジネス用途向けにWindows NT等のWindows NT系が並行してる状態が長らく続いていた。Windows XPでPC用WindowsをNTベースに統合する目標で開発された。XP以前に統合化を試みたWindows 2000をベースに統合化の成功に足りなかった機能も含め開発されている。
この一大変革によってXPはNTの安定性・堅牢性と9x系のマルチメディア機能や使いやすさを併せ持った汎用OSとなった。安定性の高いNTカーネルを採用した一般家庭向けのWindowsはWindows XP (Home) が初であり、一般家庭ユーザも安定したOSを手軽に入手・利用することができるようになった。
[編集] Windows XPの新機能
[編集] システム
ユーザーの簡易切り替え
ファストユーザースイッチングとも言う。これまでのWindowsはログオンしているユーザーを変える場合、必ずファイルを保存させてログオフする必要があった。しかし、この機能により、ログオフすることなく、ユーザーを切り替えられるようになった。この時、切り替える前のユーザーによって実行を開始したプロセスはバックグラウンドで動作したままの状態となる。これはサーバOSで培われたターミナルサービスの技術を利用したものである。ただし、Windowsドメイン(NTドメイン、Active Directory)に参加しているコンピュータはこの機能を使用することができない。
マルチプロセッサ
詳細はマルチプロセッシングを参照
Pentium 4のハイパースレッディング・テクノロジーやAMDのマルチコア・NUMAに対応した。従前のバージョンではCPUコンテキストひとつにつき物理プロセッサが1個存在する対称型マルチプロセッシングのみの対応であったため、エディションにおけるCPU個数の制限を受けた。
プロダクトアクティベーション
試験的にOffice 2000の一部で導入されたプロダクトアクティベーションがWindows XPで全面的に導入された。これは、Windowsのセットアップ時に行われる認証処理(パッケージのプロダクトキー(シリアル番号)と、メインメモリや各種記録ドライブ、周辺機器などハードウェアの構成から生成されるインストールIDを認証サーバと通信する)を30日以内に行う必要がある。30日を超えて使用する場合は認証処理を行う必要がある。行わなかった場合、そのWindowsは認証処理以外の操作ができなくなる。
インターネットへの接続されているコンピュータ環境があれば、認証処理は10秒程度で完了する。インターネットに接続されていない環境の場合には、24時間受け付けているマイクロソフトの認証窓口へ電話(フリーダイヤル)し、認証プログラムが提示する50桁の数字(インストールID)を伝えた上で、認証窓口から伝えられる42桁のインストールキーの発行を受け、入力する。ハードウェアの構成の変更がある一定量を超えた場合、再び認証が必要となる。半年以内の再認証はインターネットでの自動認証は受け付けられず、電話にて口頭で行う必要がある。このため、メモリや記録ドライブ、周辺機器などの構成の改造や変更が多い自作パソコンなどを扱ういわゆるパワーユーザーには不評である。
システムの復元機能
NTFSのセキュリティ監査機能を応用し、システムに関与するファイルを自動的に "/System Volume Information" ディレクトリにバックアップする機能。自動的に・あるいは任意の時点でバックアップを作成したり、元に戻したりする事ができる。ただし、pagefile.sysをバックアップしてしまうというバグがあり、ページファイルの初期サイズを変更するとそれ以前のバックアップがなくなってしまう事がある(Vistaにて修正)。またシステムファイルやレジストリは任意の時点に戻す事ができるが、インストールされたファイルが消滅する訳ではない(これらのファイルは適宜ユーザーが手作業で削除しなければならない)。
DirectX 8.1
Microsoft IME 2002
Windows Media Player 8
Windows ムービーメーカー 1.1
[編集] インタフェース
新たなユーザーインターフェイスの採用
新たにデザインされたGUIスタイルとしてLunaが採用された。また、デスクトップのアイコンの利用をスタートボタンへ集約、コントロールパネルなどといった設定項目も、ウィザードを取り入れ、初心者でも直感的に操作できるインターフェースとなっている(XP以前のスタイルに戻すこともある程度可能)。
CD-R/RWの書き込み
これまでのWindowsでは別途ソフトが必要であったが、Windows XPではロキシオのライティングエンジンが搭載されており、CD-RとCD-RWの書き込み機能に標準で対応した。フォルダにファイルを移す感覚で記録したいファイルを選択できるので、利便性があり、直感的な操作が可能。Windows Media Playerで音楽CDの記録もできるので、大半の環境ではライティングソフトウェアの必要性はなくなった。イメージファイルのCD作成はできない、DAO (Disk at Once) でライティングができない、パケットライト方式の書き込みができないなど、何点か制約がある。
ClearType
アンチエイリアシングを発展させたClearTypeにより液晶ディスプレイ環境でより鮮明な文字表示が可能となっている。
[編集] ネットワーク
リモートデスクトップ 5.x
相手のPCをネットワークを介して操作できるリモートコントロール機能である。例えば、会社にあるPCから自宅のPCにあるファイルを取り出したり、編集したりすることができる。ただし、操作される側(ホスト側)のPCはProfessionalまたはTablet PC Editionである必要がある。操作する側(ゲスト側)は全Windows XPと、Windows XPのCD-ROMに収録されているクライアントソフトウェアがサポートするWindowsがなることができる。また、Windows CE用とMac OS X用のクライアントソフトウェアも配布されている(接続と招待の許可設定が必要)。RDPを利用しているので、UNIX系OSでも接続が可能となっており、大半のコンピュータがクライアントとなることが可能。Windows NT Server 4.0、Terminal Server EditionやWindows 2000 Serverに搭載されたターミナルサービスと互換性がある。ローカルユーザがログオン中の場合には強制的にログオフされる。
リモートアシスタンス
操作されるPCから操作するPCへWindows Messengerや電子メールで遠隔操作の通知を出し、許可が下りれば遠隔操作できる機能。PCに詳しくない人が、遠隔地にいるPCに詳しい知人からサポートを受ける用途に用意されている。この機能の利用には、双方がWindows XP以降のWindowsを利用している必要がある。
Internet Explorer 6
Outlook Express 6
MSN Explorer 6.1
Windows Messenger 4.0
Internet Information Services 5.1
[編集] その他
XPからは数値を含むファイル名とフォルダ名は、数値の順にソートされる仕様に変更されている。以前のWindowsでは先頭の数値順にソートされていた。(レジストリを変更することで従来仕様に戻すことも可) たとえば、1・03・10・019・0026の5ファイルを自動ソートすると、XP以前とXP以後では以下のように並ぶ。
XP以前
0026→019→03→10→1
XP以後
1→03→10→019→0026
[編集] Windows XPの種類
Windows XPには以下の種類(エディション)がある。読みやすさの関係上、"Windows XP" は省略してある。
[編集] 主要エディション
Windows XPを代表するEditionで、もっとも普及している。また、これらと同時にさらに付加機能を追加するMicrosoft Plus! for Windows XPも発売された。
Home Edition
主に家庭で使用されることを前提に開発されたエディションである。Windows XPの基礎的な機能が搭載されているが、ビジネス向けの機能は搭載されていない。1つの物理パッケージCPUのみ(マルチコアやHTTには対応する。キャッシュ非共有型のマルチコアCPUは非対応)の対応といくつか制限が加えられている。Windows 98、Windows Meからのアップグレードを想定している。アップグレード対象製品はWindows 98、Windows Meのみで、Windows 95とWindows 2000からはアップグレードできない。また、アップグレードインストールした場合に限りアンインストール可能。
Professional
上級ユーザあるいはビジネスでの利用を想定した上位エディション。マルチプロセッサへの対応やドメインへの参加、リモートデスクトップ(ホスト側)、RAIDのサポート等に対応するほか、IISやファイルシステム暗号化などセキュリティ保護関連機能も搭載する。Windows NT、Windows 2000からのアップグレードを想定しているが、Windows 98、Windows Meからでもアップグレードは可能。Windows 95からはアップグレード不可能。また、Windows 98、Windows Meからアップグレードした場合はアンインストール可能だが、Windows NT、Windows 2000、Windows XP Home Editionからアップグレードした場合はアンインストールできない。
[編集] 機能特化されたエディション
Media Center Edition
Professionalの機能をベースにテレビジョン放送やデジタルオーディオ機器などのAV機能を付加したエディション。このエディションのみメディアセンターと呼ばれるテレビ視聴、録画、音楽再生・録音、ビデオ鑑賞、DVD鑑賞などを専門的に行うツールが収録されており、付属する専用リモコンで遠隔操作を行うことが可能である。ただし、Media Center EditionはOEM供給の形でのみ提供されるため、一部のプリインストールパソコンまたは一部のハードウェアとのセット購入(DSP版)でなければ入手できない。Media Center Editionは2004と2005の2種類のバージョンがある。日本の大手PCメーカーはメディアセンターに頼らず独自にAV機能を開発し、Home EditionまたはProfessionalを採用することが多いため、あまり普及していない。
Tablet PC Edition
Professionalの機能に加え、ペンタッチ機能を付加させたエディション。このエディションが搭載されたPCには必ず専用のペンが付属する。また、タブレット操作を想定したエディションであるため、Windows Journalと呼ばれるツールでメモ書きができたり、付箋紙やMicrosoft Office等の一部のアプリケーションの付加機能が利用できる場合もある。Tablet PC Edition (2002) とTablet PC Edition 2005の2種類のバージョンが存在し、2002ユーザはService Pack 2をインストールすることにより2005へとアップグレードが可能。OEM版とDSP版(2005のみ)での提供でパッケージ版は存在しない。
64-bit Itanium Edition
ProfessionalのItanium (IA-64) 環境向けエディション。x64 Editionが発売される前の、2005年1月4日に販売終了となった。
Professional x64 Edition
x64環境向けエディション。2005年4月23日から販売開始され、OEM版とDSP版のみが提供される。なお、当製品によりAMD64とIntel 64の総称がx64に事実上決まることとなった。x64の特徴であるIA-32向けアプリケーションがそのまま動作するという機構(WOW64)を備えているが、一部アプリケーションで動作しないものがある他、ドライバに互換性がないなど、IA-32版との間にはいくつかの差異がある。
このエディションはまた、Microsoft Windows Server 2003とコードベースを共有していることが他エディションと比べ特異である。このため、
ビルドナンバーが Server 2003 のそれである
バージョンが 5.2 となっている(WindowsXPは 5.1)
サービスパックも Server 2003 と同時にリリースされる
ipv6 コマンドから netsh コマンドに更新されている
128ギガバイトの物理メモリと、16テラバイトの仮想記憶をサポートする
DOS、16ビットアプリケーション、OS/2、POSIXサブシステムなどはサポートしない
NetBEUI、AppleTalk、データリンク制御(DLC)などのレガシネットワーキングプロトコルはサポートしない
64ビットアプリケーションではx87命令・MMX命令及び3DNow!命令をサポートしない(x87レジスタをコンテキストスイッチの際にセーブしない)
という特徴がある。
Windows Fundamentals for Legacy PCs
"Eiger" と呼ばれたもので、2006年7月にシンクライアント版のWindows Fundamentals for Legacy PCs (WinFLP) として登場した。比較的旧世代(Pentium世代)のスペックのPCが対象で、新しいハードウェアの導入が難しい環境でXP SP2と同程度のセキュリティ環境を提供する。WinFLPはSoftware Assuarance契約者の特典として提供している。
embedded
組み込み用途向けエディション。POSシステム、ATM、アーケードゲーム基板、シンクライアントなどに使われているほか、大手メーカー製PCでTV視聴録画専用モードのOSとして採用されている例もある。
[編集] 市場限定
Starter Edition
発展途上国向けのエディション。対象国は国民所得が故に海賊版が横行しており、その対策として廉価で提供されている。同時に開けるウィンドウ数が3つまでであることや、画面解像度がSVGAまで、ネットワーク共有機能の制限やマルチアカウントが使用できない等の大幅な制限が加えられている。Home Editionなどへのステップアップは提供されていない。ポルトガル語(ブラジル)、マレーシア語、インドネシア語、タイ語などの言語版をはじめ複数のローカライズ版がリリースされている。なお、各国のエディションにはそれぞれ異なった壁紙やスクリーンセーバーなどが収録されており、対応する諸国の事情に配慮している。
Home Edition N, Professional N
欧州委員会の要求を受けて用意されたエディション。Home EditionとProfessionalからWindows Media Playerが除かれている。
Home Edition K, Professional K
韓国公正取引委員会の要求を受けて用意されたエディション。Home EditionとProfessionalに他社製メッセージングソフトウェアへのリンクを追加したもの。
Home Edition KN, Professional KN
韓国公正取引委員会の要求を受けて用意されたエディション。Home Edition KとProfessional KからWindows Media PlayerおよびWindows Messengerが除かれている。
[編集] サポート
[編集] Service Pack 1
2002年9月19日に初版のWindows XPの不具合を修正し、幾つかの機能を追加したService Pack 1を公開した。このサービスパックでは既存の不具合修正に加えて、USB2.0への対応およびDVDオーディオのサポート対応、プログラムの追加と削除内にウェブブラウザやメーラー等の特定のアプリケーションを別のサードパーティー製アプリケーションを標準で使用するように設定できるようにする「プログラムのアクセスと既定の設定」が付け加えられている。このうち、プログラムのアクセスと既定の設定に関しては反トラスト訴訟に基づく。後にマイクロソフト製のJava VM (Microsoft VM) を削除したService Pack 1aがリリースされた。 また、当時デジタルメディア関連の機能を重点的に強化するMicrosoft Plus! for Windows XP Digital Media Editionも追加発売されていた。SP1は2006年10月11日にセキュリティ更新プログラムのサポートが終了した[3]。
[編集] Service Pack 2
2004年9月2日に発表された。当初、OSに添付される標準機能の強化を行う予定だったが、計画の段階で相次いでセキュリティホールを狙った悪意のソフトウェアの出現や不正アクセス事件が多発したことを受け、セキュリティの強化が最重点項目となっている。名称も従来では単にService Pack 2となるところが『サービスパック2セキュリティ強化機能搭載』と固有の名称が付けられている。入手方法は従来通りマイクロソフトのサイトからのダウンロードとWindows Updateで行われたが、パソコン販売店や郵便局にて小冊子付CD-ROM配布(リンク切れ)も行われた。SP2のCD-ROMはマイクロソフトから入手可能。また、SP2公開直後の2004年末には従来の二種類のPlus!に替わってMicrosoft Plus! SuperPack for Windows XPも発売開始された。
SP1や以前と比べてSP2ではセキュリティ強化を意識して若干のシステム構成の変更が施されていることもあり、一部のコンピュータやソフトウェアが動作できない可能性がある。マイクロソフト側は導入を推奨しているが、場合によっては移行できるまでSP1環境を維持し続けているところもあり、そのためにマイクロソフトでも導入を延期するポリシーを提供していたが、現在はそのポリシーの期限も過ぎ、同社はSP2の導入を強く推奨している。
SP2の適用前に、あらかじめデバイスドライバやBIOSなどのバージョンアップを行う必要がある場合もある。大手メーカー製のパソコン(特にノートパソコン)の場合、デバイスドライバやBIOS以外にも、節電制御などの付属ソフトウェアのバージョンアップも必要になることもあるので、インストール前に確認する必要がある。
メーカー製の場合は、パソコンメーカーのウェブサイト
組み立て機の場合は、マザーボードやグラフィックボードメーカーのウェブサイト
使用しているソフトウェアメーカーのウェブサイト
で確認を行う必要がある。