潮路のとはずがたり雑記 **shioji's notes

*好き*を日々、つらつらと。
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誰か(宮部みゆき)

2006-04-07 16:19:44 | 本・小説
 宮部みゆき『誰か』実業之日本社、読みました。この方の本にしてはすこーしだけ……薄味かなあ。『蒲生邸事件』や『理由』レベルに比べると、というところなんですが。でも楽しく、そして面白く読ませてもらいました。
 以下、一部ネタバレあり。
 主人公が善人で、絵に描いたような幸福設定。『これはいつ墜ちる(不幸結末)になるんだろう、どこで落とすのか』と負の期待をしながら読んだのですが、結局最後までハッピーなままでした。まあ、彼は彼なりに苦労がありそうですが、そもそも億万長者の舅なんて設定が異色すぎて。しかも奥さんはその婚外子で病弱、けれど財産持ち。ちょっと非現実感が漂いますね(うーん、絶対不幸フラグ立ってると思ったんだけどなあ)
 それから父親を事故死させた相手を捕まえるべく、その本を出版したい姉妹。育った環境、状況の違いで神経質、心配性の姉、ちょっとばかし我儘だけど誰からも愛されやすい妹、分かりやすい性格描写です。ただ『妹が姉のものを奪ってしまう』ほどだったのかなあと思うとちょっと『?』。姉の婚約者も入れて三人のからみは、最後ちょっと中途半端だったかなという気がしました(こちらの願望としては、姉が妹にもっと嫌な態度を見せていて~男を見せびらかすとか~、もっとどろどろやりあって、最後に二人和解して婚約者をこっぴどく懲らしめるとか(笑)
 いい意味で笑ってしまったのが、主人公が事故現場前で調査中に同じような事故に遭ってしまったこと。これはまさしく『ミイラ取りがミイラに』ですね。彼には気の毒ですが、口元が緩んでしまいました。

 ……とまあ、こんな感想ですがいつもながら読後感はすっきり。これがまた宮部さんを読みたくさせる要素の一つなんでしょうね。次は『孤宿の人』あたり、読みたいなあ。

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