H.A.レイさん
マーガレットさん
このご夫婦にこんな波乱に満ちた人生のひとコマがあったとは。
戦争体験をなくしては語れないこの年代の芸術家、アーティストの半生。
戦後の明るく平和な世界を様々なかたちで表現してきた先人たちの美術、音楽、文学で、私たち戦争を知らない世代は大きくなった。
おさるのジョージを楽しんできた。
戦争はイヤだし、2度とというか死ぬまで、いや子孫たちにも体験させたくはないが、
レイ、マーガレット夫妻にもし苦難の時代かなかったら、ここまでジョージが世界中に愛されるくらい広まっただろうか。
戦争がなくても広まったに違いない。
なぜなら、作品にはその人生の辛さも苦労も投影されることなく、どこまでも明るくカラッとしている。
作品に対する情熱は、戦争などものともしない。
芸術とはそういうものなのだ。
綿密なほどのラフスケッチには、2人の情熱がほとばしっているように見えた。
こんなにもしっかりとした絵コンテ、何度もしっかりと描かれるラフスケッチ。
好きなことをしている喜びが伝わってくる。
優しさ、温かみが、半生を通して作品に生かされる。
それを感じられた展覧会に行けて、幸せだ。
原画を見る、原画を知る。
それだけで幸せになる。
見ごたえのある原画の数々は、我が子に読み聞かせをした日々を思い出させた。
当時の息子の行動パターンにそっくりなんだ。
くじけないジョージ。
懲りないジョージ。
好きだなぁ。
そう思う人が私以外にたくさんいる。
つまり、ジョージは幼子なのだ。
幼子の象徴なのだ。
黄色い帽子のおじさんをはじめジョージの周りにいる大人は社会なのだ。
社会が幼子を見守る優しい眼差しが、どこまでも優しく温かい。
そんな社会にして行かなくては…。
と、自分もかつて幼子であり、かつて幼子を育て、幼子を育てる仕事についた私はそう思う。
私自身も、おさるのジョージになりたいなぁ。
あの自由さと懲りない性格。
おかげ様で、好奇心はそこそこあるけど。笑
アニメもいいけどね。
絵本の中のジョージが、頭の中で走り回りイタズラするのも楽しいよ。
と、会場を走り回ったり、泣いたり、よく観たり、している子供たちに心の中で話しかける。
この自由で、わがままで、素直で、優しい心根で、柔軟で、スポンジのような吸収力を持つ子ども時代に、たくさんの絵本との出会いを。
たくさんのジョージのような魅力ある絵本の中の人物との出会いを願って止まない。
おさるのジョージ展は今日でおしまい。
またいつか会いたいな。
あ、絵本の中で会えるのね。