岩上智一郎の作品部屋(小説・絵・漫画・料理等)

著書:新宿クレッシェンド
とりあえず過去執筆した作品、未完成も含めてここへ残しておく

かれーらいす

2006年06月25日 15時11分41秒 | 2006年執筆小説

かれーらいす


2006/06/25 執筆期間 1日 原稿用紙29枚
手直し 2007/08/09~2007/08/10 2日 50枚分



33歳の誕生日当時つき合っていた彼女と旅行へ行き
翌日、いきなり警察にパクられた時の話なんです、実はw

『新宿クレッシェンド』『でっぱり』『新宿プレリュード』と
続き、いきなり途中を飛ばして書いた作品でもあります






2006/09/01
カレーライス裏バージョン

 本当は「カレーライス」、新宿クレッシェンドシリーズ最終章に執筆する内容の一部分だったりする。
 留置所の中の話を「カレーライス」という一つのものに搾って書いただけの話だ。

 時間が経つのは本当に早いものである。
 もうじき、捕まってから、二年間が過ぎようとしている。
 あの頃は、新宿歌舞伎町で、岩上ここにありを地でいっていた時代でもある。
 イケイケ(それは今でもあまり変わらないが…)で、俺が携わる稼業、失敗はなしと自負していた時代でもあった。
 色々なオーナーが、俺の能力を欲しがった。
 でも、あの頃に、金で惑わされず、義理人情で動けたのは今でも良かったし、自分の自己形成において、非常に勉強にもなったものだ。

 留置所に入って初めて、本当の意味で国の内情の一部分が分かった。
 話に聞くと、自分で実際に体験するでは、大きな違いがあり過ぎる。
 今でもその時でも、「ああ、一度、中に入れて良かった…」と、胸を張って言える。
 いつか、この貴重な体験を小説にしよう…。
 「カレーライス」みたいな短編ではなく、ちゃんとした作品で…



姓名判断

 歌舞伎町時代、ある客が「岩上さんのファンになっちゃいました。」となついてきた。
 その人は四十台半ばぐらいの男性だったが、まあ、年齢問わず、そのような台詞を言う客は結構いたので、そんなには気にしなかった。
 俺の連絡先を教えて欲しいと言ってきたので、プライベート用の名刺をあげた。
 その客はしばらく俺の名刺を眺め、ゆっくりと口を開いた。

「あのですね…。私、こう見えても字画の姓名判断を生業にしているんですよ。もし、よろしかったら、岩上さんの…。言ってもいいでしょうか?」

 俺の名前を見てくれる…。いつも雑誌や新聞等で、占いコーナーの乙女座をチェックしてしまう俺は、心が躍った。

「え、いいんですか?お願いします。」
「まずですね…。苗字の岩上…。これは、11画です。そして、智一郎が22画…。」
「はぁ…。」
「あなたの名前…。相当考えられてつけられた名です。」
「え、そうなんですか?」
「苗字が11で、名前が22…。それを合わせると、33画…。なかなかいないものですよ。」
「はあ、そうなんですか…。」
「名前から推測するに、私はあなたが…。言い方が悪いですけど、何故このような場所でわざわざ働いているのかが分かりません…。もの凄く多方面な事をおやりになられていませんか?」

 当時、俺はまだ32歳だった。30歳でピアノを習い始め、31歳の時にピアノ発表会をし、32歳でパソコンを始めたばかり…。俺の仕事は、歌舞伎町裏稼業の総責任者だった。
 俺のいる事務所のビルは、歌舞伎町の中でも異彩を放つビルで、地下に俺のいる事務所。
 一階はゲーム屋が二件。一つはレートが一円のゲーム屋。もう一つはこの間、店内で殺人事件があった中国人専門のゲーム屋。
 二階にヤクザの事務所と、バカら専門のカジノ。
 三階もヤクザの事務所と、ビデオ屋の倉庫。
 そんな感じのビルだった。
 ただ、共通して言えるのは、みんな、仲良く共存共栄が出来ていたという点である。

 姓名判断鑑定士はさらに続けた。
「色々な才能があるとお見受けします。」
「器用貧乏なだけですよ。」
「今、何歳ですか?」
「32ですけど…。」
「33歳になったら、あなたは一つの事に集中し、一気に突き抜けるでしょう。何かが起こりますよ。うん、楽しみですね…。」
 そう言って、鑑定士は優しく笑った。

 こんな事を言われたら、俺は単純なので期待してしまう…。
 32歳の1月になってから、急に俺は小説を書き始めた。
 処女作「新宿クレッシェンド」を18日間で完成させ、次作品「でっぱり」を15日間で完成させる怒涛の勢いで書きまくった。第三弾「打突」を三ヶ月ぐらい掛かって完成させ、第四弾「フェイク」を二ヶ月半ほどで完成させた。
 そしてその後、別シリーズになる「歯車」シリーズを一気に書き上げた。

 そして、33歳になった…。
 6月に今の女と知り合い、俺の誕生日に、旅行へ行った。忙しい立場だったので、一泊二日の短い旅行だった。
 鑑定士のいった33歳になったら、何かが起こる…。俺は何が起きるのだろうと期待に胸を膨らませて、新宿へ仕事で向かった。
 
 33歳になった次の日…。

 俺は、警察にいきなりパクられた…(笑)
 無事、切り抜けて、不起訴にはなったものの、原因不明で喉が腫れ、病院で喉を切った…。
 仕事をしていたオーナーに裏切られた…。大切で、大きなものを失った。

 この頃に比べたら、今の俺って幸せだな~(^^)





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