エスせんブログ

ラノベ好きなB級小学校教師のエスせんが、教育中心に色々語るブログです。少しでも面白ければ「いいね」御願いします。

工夫が色々『引きこもり箱入令嬢の結婚』

2024-08-22 04:30:00 | ライトノベル
 木曜はラノベ愛。今回は、前回(R6.8.15)に続いて箱入令嬢シリーズを紹介します。
 今回紹介するのは、北乃ゆうひ先生の『引きこもり箱入令嬢の結婚』です。前回紹介した『引きこもり箱入令嬢の婚約』に続いて、箱入令嬢シリーズ第2弾となります…が、これで最終巻となりますので、前後編の後編と考えた方が良いかもしれません。
 前作でサイフォン王子の婚約者となった箱入令嬢モカ。「箱入り娘が、物理的な意味で本当に箱入りだったら…」と言う発想から生まれた作品なので、本作でも相変わらず箱から出る事は出来ません。そこへ次から次へと厄介事が発生し…果たして、箱入令嬢モカは無事に王子と結婚する事が出来るのでしょうか…ってのが内容です。
 前作は、「箱入り娘が、本当に箱の中で生活している~www」と言う面白さがあったので、その勢いだけでも読み進める事が出来ました。
 続編となる本作では、その勢いだけでは読み進めるには弱いです…が御安心。本作では、「主人公は箱の中から出られないから、外の世界に働きかけるには大きな制約がある」を覆し、箱入令嬢モカが大活躍する姿を楽しむ事が出来ます。つまり、箱入令嬢の活躍を「深掘り」した作品になっている訳です。
 実際、物語の展開される場所は、王宮と自宅と箱でほとんど終わらせていた前作。それが本作になると、街の中や貴族の館、森などでも物語が展開します。箱から出られない箱入令嬢モカが、どうやって活躍するのか…それが、前作から読んでいると分かる、実にスムーズな流れで展開していくのです。
 それと関連するのですが、本作では、一人称で語られている作品で感じる不満…と言うか、ストレス…と言うか、ちょっとした問題点を解消する事に成功しています。
 例えば、名作『本好きの下克上』も一人称です。そのため、主人公ローゼマインが見聞きできる範囲の事しか分かりません。様々な場所で展開している話(例えば、あちこちで行われている戦闘場面)を描くためには、様々な語り手に語らせるしかないため、短編を幾つも用意する必要があります。
 それが本作では、箱入令嬢モカの魔法の力により、語り手であるモカが不在の場所であっても、どんな出来事が展開しているかを読者は知る事が出来ます。もちろん、それは語り手であるモカが見たり聞いたりしているからなのですが、これにより読者は、あちこちの短編を読んで自分の頭で合成しなくても、物語の全体構造を理解しながら読み進める事が出来る訳です。
 内容自体は甘~い恋愛物語ですが、アクション場面も少しあり、楽しめる娯楽作となっています。コミカライズはシリーズ2冊分をまとめて展開しているので、そちらを読むのもオススメです。
 …と言う事で、この最終段落まで読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。今日または明日、皆様が良い一日を過ごせるよう願ってます。

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