ラブレア@ロサンゼルス

南カルフォルニア大学(USC)でのMBA生活や家族三人でのロスでの生活の様子をお伝えします。

個々のリターンだけではだめだ!

2005-09-29 17:29:24 | Weblog
アントレファイナンスでスタンシルが2回の授業に渡って言っていたことがある。
個々のプロジェクトのリターンを見るだけでは、会社全体としてうまくいかなくなることがある。

会社が今、投資家が期待する利益を産み出していないとする。そのギャップ(Earning Gap)を埋めるために新たなプロジェクトをいくつか候補として存在している。それらを評価する際に、例えばIRRという指標だけみたらどうなるか?

IRRがとても高くても、初期の投資額がとても大きくかつ初年度は赤字になるプロジェクトだったとすると、当初の目的である利益のギャップを埋めることはできない。また、複数のプロジェクトがそれなりによい結果をだしそうであっても、プロジェクトの関連性が高い場合、共倒れになる可能性も高くなりリスクが大きくなってしまう。これなんかは、投資家のポートフォリオの考え方と一緒。

でそれらを整理すると、
1.個々のプロジェクトを「うまくいった場合」、「あまりうまくいかなかった場合」、「最もありそうな場合」の3タイプで、事業予測をし、それらの平均のリターンを出す。

2.プロジェクトの初期の投資が、投資に必要な金額を超えていないかチェック。(予定よりも投資金額が多くなる場合は、チェックが必要)

3.初年度の事業を四半期毎にみてみて、各期に必要となるCash Flowが、予定のCash Flowを超えそうでないかをチェック。(使いすぎちゃう事業は、採用しないようにする)

4.1年間で得られる利益が、そもそもの目的であるEarning Gapを埋めるのに十分かチェックする。そもそもの目的を達成できるかどうかのチェック。

5.プロジェクト全体としてリターンを確保しながらリスクを低減できているかをチェック。プロジェクト単体のリスクと、全体との関連性をみた上で、総合的なリスクを算出。


その結果、IRRがそれほど高くなくても、総合的に見て価値のある事業も出てくる可能性があるってことです。1年目のEarning Gapを埋めるっていう、投資家の期待に答えることは、特に起業まもない会社にとっては死活問題になりえるから。

いろんな式が授業中に出てくるので、統計とか苦手な場合とっつきにくくなるけど、かなり面白いなあってのが感想。おすすめです。