津城寛文・匡徹の徒然草Shiloh's Blog

時事問題や世間話その他に関して雑感を記し、著書その他の宣伝、関係者への連絡も載せています。

トランプさん「すら」警告する

2024年03月29日 | 日記
 「トランプがイスラエルに戦争終結要求、「世界からの支持を失った」」というウェブ記事が配信されました(3/27(水) Forbes Japan)。イスラエルの保守系新聞Israel Hayomでのインタビュー記事だそうです。

 いくつかの思惑が混ざっています(選挙のためというのが最大)が、単なる和平論、理想論ではなく、また挑発的な暴言でもなく、現実的であるのが、意外と説得力をもっています。

 現状の批判に先立って、10月7日のハマスの攻撃に対するイスラエルの対応は支持し、もし自分がイスラエルのネタニヤフ首相の立場だったら、同じように対応しただろう、「そうしないほうがどうかしている」と述べたことは、好き嫌いは別として、現実的な考えです。極端な和平論者でなければ、国土に対する攻撃に反撃するのは、国防上からして当然だというリアリズムは、否定できません。

 他方、現在のガザでの軍事作戦は限度を超えており、アメリカの現政権すら公式に批判しているように、「あなたの国は多くの国の支持を失っている」と警告し、戦争終結をうったえたのは、イスラエル国内を含む、人類の大多数の意見の代弁です。これに同意しない、きわめて例外的な、おそらく一万人もいない、しかし実権を行使できる地位にある、かたくなな考えに憑りつかれた少数者(イスラエル側の、ハマス側の)が、戦争を継続しようとしています。

 物事には、「程度」があります。敵の完全なせん滅はできない、不愉快でも共存するしかない、というのは、第一次世界大戦の戦後処理で、イギリス代表団のどなたか(賢者に近い方)が、強く主張したことでした。しかし現実は、敗戦国に法外な賠償を課し、第二次世界大戦の導火線となりました。

 「大イスラエル」をめざす地上のシオニズムは、「米国の国益ばかりかイスラエルの長期的な利益」を害っている、しかも「彼ら自身がそう自覚しないで」という指摘があるとおりですが(ミアシャイマー、ウォルト『イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策』。津城、2023、51頁)、「そう自覚しないで」なのかどうか、疑問もあります。凄惨な情景の終末論に向けて、シナリオどおりにことを進めている、自覚的な勢力があるのではないか、とも疑われるからです。この破滅的なシナリオを、善意の人類の共同編集によって、少しでも良いシナリオに上書きしていく必要があります。

参照:
津城匡徹『日猶同祖論――「失われた十部族」預言への応答』
AmazonKindle&パブファンセルフ、2023
2章3節「『黙示録』のシナリオ」
3章2節「シオニズムと反シオニズム、改宗ユダヤ人と追放ユダヤ人、その他」
終章5節「ユダヤ系であれ非ユダヤ系であれ、人類の一員として」




 
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