津城寛文・匡徹の徒然草Shiloh's Blog

時事問題や世間話その他に関して雑感を記し、著書その他の宣伝、関係者への連絡も載せています。

アイデアを生むための暇な自由時間

2017年10月24日 | 日記
 高校の「倫理」という科目は、昔はメインの受験科目ではなかったので、授業中は内職をする生徒が多かったようですが、私はけっこうおもしろく聞いていました。イエスが砂漠で40日の断食をして、頬がこけ目をむいて座っている深刻な絵などは、マネをしたくなるほどでした。
 ダ・ビンチが描いた、プラトンとアリストテレスが並んで歩いている絵は、倫理の教科書に載っていたかどうか、覚えていませんが、多くの人は、どこかで見た記憶があるでしょう。アカデメイアというプラトンの学園、アリストテレスのリュケイオンという学園も、遠いギリシアの言葉ながら、覚えるともなく、覚えました。
 師弟が歩いて話している絵があるように、アリストテレスの学園では、歩きながら講義、対話をしたというので、逍遙学派、ペリパトス派などと呼ばれます。20世紀日本の京都では、西田幾多郎が歩きながら思索した「哲学の道」があります。
 体を動かしながら(あるいは体を静めて)ものごとを考えている(あるいは何も考えないでいる)と、良いアイデアが浮かぶ、というのは、よく言われることです。個人的な経験からいっても、歩きながらアイデアが浮かぶことがありますが、電車の中で、会議中に、祈っているとき、体操をしているとき、寝ようとしているとき、夢うつつの境で、起き抜けに、など、つまりは気持ちが暇な時間には、いつでも断片的に浮かぶことがありますので、昔はいつもメモ帳をもって歩いていました。今は携帯電話にメモ機能があり、そこに書き留めています。
 ただし、アイデアが浮かぶには、あらかじめ問題意識をもって考えておき、答えがでるのを待っている状況にしておく必要があります。この状況で、バック・グラウンドでさまざまな情報処理が起こっているのだと思います。
 雑用であちこち注意が散乱すると、このプロセスが邪魔されて、いいアイデアは生まれません。文化系や数学、理論物理などは、とくにこのような、一見暇にみえる状態を保つために、自由な時間が、必要です。書類書きなどの雑用が増えて、この自由な時間が保ちにくくなっています。
 監督官庁の役人や、大学の運営者には、このような機微のわからないガサツな人が多いので、大量の無駄な書類書きを求めて、その結果、さまざまなアイデアが浮かんでくる時間を大量に潰し、しかもそれに気付いていない、という笑うに笑えないことが進行しています。
 まずは、「外部資金」「競争的資金」とやらのための、無駄な書類書きをやめて、半分ほどでも昔どおりの研究費配分に戻したら、昔の半分ほどの量のアイデアは、生まれてくるのではないでしょうか。

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当たる未来予測と外れる未来予測

2017年10月18日 | 日記
 消える自治体という予測があります。限界集落が増えているだけでなく、都市部でも都心や駅近以外はどんどん空き家が増えていき、住宅も価格が付かなくなる、と言われています。当たるかもしれませんが、どこかで外れるかもしれないと思うのは、つぎのようなエピソードを、若いころに読んだ印象が、強く残っているからです。

 ロンドンで馬車が増え始めたころ、「このまま馬車が増えると、〇年後にはロンドンは馬糞に埋まってしまう」という未来予測があったそうです。汽車や自動車の発明で、この予測は外れました。『沈黙の春』という、環境汚染の行きつく果てを描いた予測も、さまざまな取り組みで、人類はどうにか乗り切ってきています。もちろん、こういう警告があったから、それを回避する方向へ、人間の知恵が進んだ、ということは確かです。

 日本の住宅が安くなれば、外国人の買い取りが増えて、千数百年まえに、多くの移民、帰化人がいたように、ニューカマーが増えてくるかもしれません。そういう危惧される事態は、住宅地より前に、山地や森林で静かに進行しているようです。

 予測は、「このままでいけば」という条件で行なうと、その前提条件がしばしば大きく変わるので、大きく外れることになります。想定外の要素をどれだけ考慮できるかで、予測が当たるものとなりますし、さらには、前提条件を変える能力のある人は、それを織り込んで、予測を実現することになります。

 前提条件を良いほうに変える人が増えると、未来は良いほうに行きます。「このままでいけば」という愚鈍な未来予測ではなく、また、全体を良からぬ方向に変えるのではなく、すべての人のために良い方向に変える能力をもった人たち、若い人たちが増えることを、期待します。

 




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タクシーはワゴン型へ

2017年10月17日 | 日記
 前にこのブログで、セダン型のタクシーの一部が、ロンドンタクシーのミニ版、ワゴン型の軽自動車になるのでは、と述べました。

 最近、トヨタが「セダンからワゴンへ」というキャッチコピーで、JPNタクシーという新しいタクシーを投入している、というニュースが出始めました。形は、まさにロンドンタクシー型です。

 今年から走り始めるということですから、すでに開発は数年前、アイデアはさらにその前からあったので、私が思い付いたのは、そのずっとあと、ということになります。

 ただ、私のアイデアは、軽自動車のトールタイプ、ということですから、まだ開発が始まっていないとすると、すこしはオリジナリティがあるかもしれません。

 おそらく、企画会議などで、ワゴンRやムーブやライフなどをベースにした、軽自動車のワゴン型をタクシーに、という意見も出たのではないでしょうか。ただ、軽自動車は価格が安く、儲けが少ないので、大手は消極的なのかもしれません。

 利用者としては、料金も安くしてもらえば、近場は軽自動車で十分ですし、そもそもタクシーで長距離を乗る庶民は少ないですから、大人数のときは普通車タクシーで、一人や二人のときは、軽自動車タクシーで、という使い分けができて、便利になると思います。

 規制があるとしたら、こういうところも、こまめに規制緩和してもらいたいものです。


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絶版拙著のWEB公開

2017年10月03日 | 日記
 絶版になっていた拙著、拙訳書を3冊、つくばリポジトリでWEB公開したのにつづき、あらたに2冊を公開いたします。
 『<公共宗教>の光と影――近代日本という雛型』『<霊>の探究――近代スピリチュアリズムと比較宗教学』は、どちらも春秋社から2005年に公刊されました。今回、WEB版にするにあたり、サブタイトルを新たに加えたり、微修正しており、こちらを決定版といたします。

 つくばリポジトリ(https://tsukuba.repo.nii.ac.jp/)で検索していただき、インデックスリストから「人文社会系」を選択していただき、人名一覧から私の氏名を選択していただくと、2著を含む一覧がでます。

 ご自由にダウンロードしてお読みください。

*******
『<公共宗教>の光と影――
近代日本という雛型』
つくばリポジトリ版、2017
『<霊>の探究――
近代スピリチュアリズムと比較宗教学』
つくばリポジトリ版、2017

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