「またオーウェンか」と飽きられることを承知のうえで、またオーウェン関連の話です。
日本人の労働時間が(無駄に)長すぎること、それはまさに時間の無駄であることを、最近は多くの記事で目にするようになりました。
昔から長時間労働はあったのですが、それが当然、あるいは美徳とすらされて、仕事の成果よりも、手間や時間をかけることのほうが、価値を持っているように思われて、短時間で仕事を済ませることは、なにかズルイように言われました。
間延びした時間で、だらだら雑談をしたり、居眠りをしたりしている人をみると、「人といっしょにいるのが、居心地がいいのだろうな、一人になると不安なのだろうな」と、私などは思います。
他方で、無駄に長いというより、時間いっぱい働かないといけない職場もあります。バスやトラックの長距離ドライバーはその典型です。
今日のヤフーニュースに、そのような過酷な労働環境を、ドライバーの方のインタビューでまとめた記事がありました。細かくは、元記事をお読みください(幻覚で急ブレーキ、眠らずハンドル握る。トラック運転手が過酷労働の実態を吐露産経新聞 4月30日(土)11時30分配信)。
ドライバーの意見は、個人の意見ではなく、運送会社に雇用された長距離ドライバー全体の意見に違いありません。
この方が言われるように、個々の会社や業界では、この長時間労働(業種によっては+低賃金+非正規雇用)を是正することはできません。
政府の考え自体が、「厚生労働相告示では、始業からの拘束時間は16時間を限度とし、次の始業まで連続8時間の休息が必要」とあるように、過酷な人使いを許容しています。「2日分を1日にまとめることもあるだろう、」という考えかと思いますが、そのような企業や業界は、つぎの日をまるまる休めるような「人にやさしい」心は持てません。
背後には、勤労を美徳する日本思想があります。
私は二宮尊徳の大ファンですが、尊徳思想のなかに、長時間労働を是認し、ブラック経営者、ブラック指導者に悪用される要素があるのは、否定できません。この点にかぎっていえは、知恵のない経営者、指導者(これが多い)が、頭の悪い読み方をすると(これも多い)、尊徳思想はきわめて有害になります。宮沢賢治の美しい詩も、「雨が降っても風が吹いても」人のために働け、というスローガンに利用されることがあります。美徳は悪徳と背中合わせで、知恵を使わないと、オセロゲームのように、かんたんに反転します。
理想はどうあれ、労働(強いられた仕事)は、1日8時間までというのが、「合意できる」レベルというのが、オーウェンのシンプルな提案です。8時間は睡眠とその前後に必要です。あとの8時間で、食事や家事をし、自由になる時間がいくらか残りますね。
拘束時間が8時間でも、その前後に準備が要りますから、10~12時間は労働に使われます。政府の告示自体が、「16時間」と数字を出しているのは、その前後をいれれば、すぐ20時間になります。過酷さを助長する数字と言わざるを得ません。
100年以上前の、すでに骨董品となっていてもよい、ロバート・オーウェンの「労働は1日8時間まで」という思想が、まったく実現されていません。古い思想と軽蔑する前に、労働のあり方に関わっている責任者たちは、この簡単な理想を実現したらどうでしょうか。
政府や官庁、企業や業界のそれぞれのトップに、人道的な人が少しづつ増えてゆき、それが平均となり、逆に非人道的な人が少しづつ減ってゆき、それがやがては絶滅危惧種のようになることを、心から祈ります。
日本人の労働時間が(無駄に)長すぎること、それはまさに時間の無駄であることを、最近は多くの記事で目にするようになりました。
昔から長時間労働はあったのですが、それが当然、あるいは美徳とすらされて、仕事の成果よりも、手間や時間をかけることのほうが、価値を持っているように思われて、短時間で仕事を済ませることは、なにかズルイように言われました。
間延びした時間で、だらだら雑談をしたり、居眠りをしたりしている人をみると、「人といっしょにいるのが、居心地がいいのだろうな、一人になると不安なのだろうな」と、私などは思います。
他方で、無駄に長いというより、時間いっぱい働かないといけない職場もあります。バスやトラックの長距離ドライバーはその典型です。
今日のヤフーニュースに、そのような過酷な労働環境を、ドライバーの方のインタビューでまとめた記事がありました。細かくは、元記事をお読みください(幻覚で急ブレーキ、眠らずハンドル握る。トラック運転手が過酷労働の実態を吐露産経新聞 4月30日(土)11時30分配信)。
ドライバーの意見は、個人の意見ではなく、運送会社に雇用された長距離ドライバー全体の意見に違いありません。
「人間を絞りすぎだと思う。現場の過酷さは皆分かっているが、どうしようもない」
「長時間労働の改善は会社レベルでは無理。国民生活を陰で支えているのが運送業界だということを広く理解してもらうことで機運が盛り上がってほしい」
「長時間労働の改善は会社レベルでは無理。国民生活を陰で支えているのが運送業界だということを広く理解してもらうことで機運が盛り上がってほしい」
この方が言われるように、個々の会社や業界では、この長時間労働(業種によっては+低賃金+非正規雇用)を是正することはできません。
政府の考え自体が、「厚生労働相告示では、始業からの拘束時間は16時間を限度とし、次の始業まで連続8時間の休息が必要」とあるように、過酷な人使いを許容しています。「2日分を1日にまとめることもあるだろう、」という考えかと思いますが、そのような企業や業界は、つぎの日をまるまる休めるような「人にやさしい」心は持てません。
背後には、勤労を美徳する日本思想があります。
私は二宮尊徳の大ファンですが、尊徳思想のなかに、長時間労働を是認し、ブラック経営者、ブラック指導者に悪用される要素があるのは、否定できません。この点にかぎっていえは、知恵のない経営者、指導者(これが多い)が、頭の悪い読み方をすると(これも多い)、尊徳思想はきわめて有害になります。宮沢賢治の美しい詩も、「雨が降っても風が吹いても」人のために働け、というスローガンに利用されることがあります。美徳は悪徳と背中合わせで、知恵を使わないと、オセロゲームのように、かんたんに反転します。
理想はどうあれ、労働(強いられた仕事)は、1日8時間までというのが、「合意できる」レベルというのが、オーウェンのシンプルな提案です。8時間は睡眠とその前後に必要です。あとの8時間で、食事や家事をし、自由になる時間がいくらか残りますね。
拘束時間が8時間でも、その前後に準備が要りますから、10~12時間は労働に使われます。政府の告示自体が、「16時間」と数字を出しているのは、その前後をいれれば、すぐ20時間になります。過酷さを助長する数字と言わざるを得ません。
100年以上前の、すでに骨董品となっていてもよい、ロバート・オーウェンの「労働は1日8時間まで」という思想が、まったく実現されていません。古い思想と軽蔑する前に、労働のあり方に関わっている責任者たちは、この簡単な理想を実現したらどうでしょうか。
政府や官庁、企業や業界のそれぞれのトップに、人道的な人が少しづつ増えてゆき、それが平均となり、逆に非人道的な人が少しづつ減ってゆき、それがやがては絶滅危惧種のようになることを、心から祈ります。