風の便り

心の赴くままに、人生の営みを綴る。

虚ろいとでも

2016年06月11日 18時27分34秒 | 文芸
久々に俳句です。
訳あって句会を止めています。
マイペースで好きな時に作っています。

冬物をしまった後のリラの冷え
孫は泣き娘は叱る薄暑かな
油照り娘叱責孫は泣き
とめどなき一人という夏時間
夏の夜蠱惑色にて哲学す
眠られず尚豊穣の夏の夜
軽鴨の飛びて水散り光る夏
白日夢腕に一筋玉の汗
息子来て男の会話でビール干す
夏盛り幸福サインのハイタッチ
ビールシュワ去年と同じ音を立て
シャワシュワと注げば溢る夏香り
春灯し孫に呼ばれて行く夕餉
芍薬や事件の如く花弁落つ
夏兆し酒量も嵩む夕餉時
転んでも泣かぬ我が孫武者人形
芍薬の白さに迷い蟻ひとつ
春眠や儚き夢をも意味深く
目が覚めて蚊仕留めたる寂夜かな
目が覚めて蚊と攻防の夕べなり
芍薬の白を映して鉄兜
孫四人女ばかりの花菖蒲
ゴールデンウイーク息子の作る好み焼き
春愁や認知の海に魯を漕いで
美しく尚悲しけれ花想い
寂しさがいつも尾をひく春篝
青嵐地煙上げてオートバイ
脳みそは酒に漬りてうららかな
嘆息も愛しく巡る如月や
孫たちの来てさよならの春嵐
花疲れ酔いて悲しい千鳥足
一声を上げて老団春を呼ぶ
寄り道は尚人生の花飾り
春学期三日坊主がまた増える
よちよちの孫の向こうに夏が見え
新緑や木漏れ日泳ぐ歩の軽し
春灯しアデール溢れる喫茶店
花水木等間隔に影落とし
影優し等間隔の花水木
春愁や食後の薬また増えて
春胎動目覚めて朝の風を受く
ジャスミンの香りにむせる宵の部屋
じじばばや孫鞦韆の風に乗せ
葉桜となりてまたぞろ旅心
少しだけいただきますと芹那摘む
雨上がり身一杯の春の息
青春の一枝を手に春の海
天仰ぎここよここよと花水木