スカパー漂流記

CS放送「スカパー」で放送されている番組について語れればいいなぁと思う次第でございまして・・・

File-054 天と地と (for 日本映画専門チャンネル)

2005年06月26日 | Weblog
 セクハラ騒動や麻薬所持などをしまくって「角川書店」を追われたヤク中の御曹司が、まだ同社の「将軍様」としてブイブイいわせていた頃に撮った超大作時代劇(たしか制作費50億とか・・・)の本作。
 個人的には元「将軍様」に対してネガティブな感情しか持ち合わせていないプチヲタですが、この作品の「ある部分」の演出に関しては、実は高く評価していていたりします。

 その「ある部分」というのは、本作の「キモ」でもある「川中島の合戦」シーンにおいて、上杉軍と武田軍を「赤」と「黒」の二色に、まさに言葉の通り「色分け」し、彼我の違いがビジュアル的に一目瞭然になるよう工夫したことです(正確には「緑」の軍勢も出てきたりするのですが、今回はあえて無視します)。

 一見すると単純な事のようですが、ことさら「無駄」にリアリティを追求しようとする「悪癖」のある邦画界において、これは画期的な試みだったと言ってよいでしょう(単に「将軍様」がクスリでラリっていただけかもしれませんが・・・。笑)。
 というか、本来「合戦」のような場面を大がかりなモブシーン(群衆シーン)として撮る場合、激突する両者に何らかの差異を付けておかなければ、乱戦になった時に双方の見分けがつきません。
 しかし、これまでの邦画(特に時代劇)では、常に「同じような格好をした」者同士による、視覚的には分かりづらいことこの上ない合戦シーンばかりでした。

 その原因を探っていけば、おそらく「生真面目」(ゆえにリアリティを重んじる)で「均質性を尊ぶ」(ゆえにいつの時代も皆が同じ様な格好をしていた)という日本人の民族的特質に辿り着くのでしょうが、だとしても(実写)邦画界における「病的」なまでの「リアリティ追求癖」は、映画という「娯楽作品」を作る上で大きなマイナス要因になっていると、もういいかげん気付くべきです!

 その点ハリウッドは流石ですよ。
 あのSF超大作「インディペンデンス・デイ」を思い出してみてください。
 月の1/4の大きさという「チョー巨大UFO」が地球のすぐ真横に来るまで発見されないとか、その格段に進んだ文明を持つUFO同士が地球の人工衛星を使って互いに交信するとか、まぁツッコミ始めたらやめられない止まらない(笑)。
 「SF」のクセに一片の「サイエンス」要素も含まれないという、徹底した「娯楽性」の追求ぶりには脱帽しました(ま、劇場で観た時には監督のローランド・エメリッヒに本気で殺意を抱きましたけどネ。笑)。

 でも、そんなクソ映画でも、世界の市場で結構稼いだんですよね、コレが。
 ハリウッドの理屈は単純明快!
 「リアリティ?そんなモノに拘ってたら、世界の誰が観ても即座に内容が理解できる作品なんて撮れねぇよ!」・・・ってコトです。
 全ての映画がハリウッド流になるなんてのいうのはゾッとしませんが、いつまで経ってもハリウッドの「ハ」の字も学ばない邦画界の姿勢は更に俗悪です。

 カンヌで賞を取ったとか、ベルリンで絶賛されたとか、そういうオタメゴカシで自分を偽り、慰めるのはもう終わりにしないと。
 そもそも国内で評価されてない(=客が入らない)作品が評価されて、本気で嬉しいの?
 「世界のキタノ」?・・・冗談でしょ?
 あのヒトが正統な評価を受けたのは、ハリウッドで撮った「BROTHER」だけ。映画の聖地に行けば、「世界のキタノ」もゴミ監督の一人でしかない(もちろん、先述のバカ映画を撮ったエメリッヒ監督にすら遠く及ばない)。
 それが事実であり、それが現実。

 さて、物語としての「天と地と」は平凡で、おそらく多くの人はこの作品に何の感慨も持たないはず。
 でもラストの合戦シーンだけは、冒頭に挙げた理由から観てもらいたいような気もしたり・・・。
 特に大画面TVなんかを持ってらっしゃるお大尽サマなどにあらせられましては、その威力を試すには打ってつけですヨ!(笑)

最新の画像もっと見る

コメントを投稿