講師をお願いした南山大学・安田文吉教授のスケジュールの都合で開催を1年先延ばしにしようか?と考えていましたが、11月末にスケジュール調整が出来たので、急遽視察会の開催を決定しました。開催まで約2週間しかありませんでしたが、年末の忙しい時季に大勢の会員の方々にお集まり頂き盛大に視察会を開催することができました。
今年の東濃歌舞伎大会の出演は、「串原歌舞伎保存会」、「蛭川歌舞伎保存会」、「東座芸能保存会」、「東濃歌舞伎中津川保存会」の四ヶ所の保存会。テーマは「伝えよう子どもたちへ」と言うことで、子ども歌舞伎中心の構成です。
会場は毎年恒例の中津川の東美濃ふれあいセンター歌舞伎ホールです。この歌舞伎ホールは収容人数では名古屋の御園座におよびませんが、最新の回り舞台や本花道、それに吊大臣囲い、文楽廻し、能舞台、コンサートピアノ、音響反射板などを備えた最新鋭のスーパー歌舞伎ホールです。また客席の前方部分は椅子席から枡席に短時間で変更出来る電動システムも取り入れられています。そんな歌舞伎ホール内の研修室の一室お借りして、南山大学教授・安田文吉先生に「美濃の地芝居の魅力」について講演して頂きました。
安田先生は、我々素人にも地歌舞伎に興味が持てる様に、わかりやすく丁寧にしかも熱く説明されました。聴く方がぐっとのめり込んでしまう安田先生の講演が終わって、すっかり洗脳された我々は、いっぱしの歌舞伎通気取り?で、歌舞伎ホールに移動します。この時点で演じられていたのは、白川町の東座芸能保存会(大人)による「増補忠臣蔵 本蔵下屋敷の場」。せっかく二階席に上ったのに、 残念ながら回り舞台はすでに回ってしまった後で、あの大舞台がダイナミックに回る様子を見ることは出来ませんでしたが、ちょうど二階席では「大向う教室」が開かれており、講師の先生のキュー出しに合わせて生徒の皆さんが緊張して声を掛けていらっしゃいました。
四幕目は中津川保存会の子どもによる「壽曽我対面 工藤館の場」ですが、登場する役者の数が本日の演目の中で一番多いので、顔師さんの顔作りが間に合わなく、開幕が30分延期されることになりました。こうなると飲食が禁止されている当ホールでは幕間が持たず、急遽我らが安田先生が舞台の上に引っ張り出され、先ほどの講演の続きが始まります。(一部オーバーラップしている部分もありますが)
誰でもが知っている美濃地歌舞伎研究の第一人者の飛び入り無料講演なので、観客のみなさんも熱心に聴いていらっしゃいますが、我々にしてもさきほどの講演の続きを聴くことが出来る訳で何か得した気分です。「ツケ」の動画を撮影しようとして、二階席から下手の枡席に移動していた小生はかぶりつきから先生のお話を聞けてもっとラッキーでした。「明治座」と「小浪」が先生の口から出て来なかったら、助け船を出そうと黒子の気分で待機してましたが、今回の講演ではすんなりと出て来て安心しました。やはり安田先生は大舞台に強いんですね!
結局、芝居がはねるのも約30分遅れて、交流会会場の「長多喜」さんに移動を開始したのは4時30分過ぎ。「長多喜」さんでは美味しいお酒と料理の数々に満足しながら、安田先生の本日三回目の歌舞伎講義を聴かさせて頂きました。お酒も入った三回目となると、地歌舞伎のジャンルにとどまらず大歌舞伎の話題も豊富で、とっても盛り沢山の内容に大満足でした。
次回はやはり昔ながらの芝居小屋の風情を残すところで桟敷に座って、お酒や料理と一緒に芝居を楽しみたいですね。ポケットにおひねりを一杯用意して。