仙台POSSE(NPO法人POSSE仙台支部)活動報告

仙台POSSEは、労働相談・生活相談をお受けしています。ボランティアも募集中です。お気軽にお問い合わせください。

就学支援に参加してみて

2012-04-18 23:58:27 | 活動報告(就学支援)
 私は、POSSEの就学支援ボランティアに参加していて、被災者の子どもさんに勉強を教えています。就学支援では、実際に子どもさんの仮設住宅にお邪魔して、勉強を教えるのですが、そこで目につくのは仮設住宅の居住環境の悪さです。
たとえば、窓。大きな掃き出し窓がなく、小さな腰高窓が唯一の窓という仮設住宅もあります。窓は、単純に光や空気を取り込む装置でもあるし、外の空間を家の中に取り入れる装置でもあります。ただでさえ広くはない仮設住宅で、小さく取ってつけたような窓しかないため、より狭く、閉塞感を感じてしまう空間になってしまっています。

 また、仮設住宅棟の配置の仕方。全ての棟が南向きをとれるよう、ただ機械的に整然と並べられています。確かに南向きの窓を確保する配置というのは大切ですが、それがコミュニティーの生まれにくい構造を引き起こしています。隣接する棟同士で、玄関と居室の窓という公と私の空間が向き合っているため、住民はその間に無意識ながら壁を作ろうとしてしまいます。通路となる玄関側と向かい合う居室の窓は、プライバシーを確保するためにカーテンを閉め切ったままとなりがちです。

 また、居住空間として適さない敷地。トラックが周辺を行きかう工業地域のなかにあったり、スーパー、ドラッグストアが周囲になかったり、幹線道路に面して玄関が設置されていたりと、安全、利便性、プライバシーなどさまざまな観点からみても、住宅として適さない場所に仮設住宅が作られています。

 これらのほかにも、断熱、結露の問題など、仮設住宅には実際の生活に影響する問題はきりがありません。このような問題をみていくと、仮設住宅が「家」としてではなく、被災者をとりあえず住まわせるための「ハコ」としてとらえられて建設されているように感じます。震災により家を失った人々にこそ、落ち着いて生活できる、良い住居が必要なのではないでしょうか。

 実際に震災が起こってしまえば、その対応にはスピードが求められるため、そこから考え直していくことは難しいものです。平時にどれだけこういった非常時のことを想定しているかが重要になるのだと思います。

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仙台POSSEでは、この度の東日本大震災における被災者支援・復興支援ボランティアを募集しています。ボランティアに参加したいという方は、下記までお問い合わせください。

NPO法人POSSE仙台支部
法人代表:今野晴貴
所在地:宮城県仙台市青葉区一番町4-1-3 仙台市市民活動サポートセンター気付
TEL:022-266-7630
Email:sendai@npoposse.jp
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BLOG:http://blog.goo.ne.jp/sendai-posse
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学習のための施設の少なさ~就学支援を通じて~

2012-03-03 17:41:17 | 活動報告(就学支援)
 現在仙台POSSEでは、被災地仙台において被災者を対象に就学支援を行なっています。就学支援では子供たちが安心して勉強できる空間や環境をつくることを目標として活動しています。この学習するための施設が少ない、という問題はそんな支援活動を通して見えてきたものです。ちなみにここでいう学習するために利用できる施設とは、公民館や図書館などを指します。
 就学支援の対象としている生徒は主に仮設住宅に入居されている被災者です。狭い仮設住宅では集中して勉強できる空間・時間がないことは、今までのPOSSEの活動報告からも明らかなことだと思います。そんな理由から私たちは仮設住宅の近くに設置された集会所や、近隣の公共施設を利用して就学支援を行なってきました。
 しかし、支援世帯が増えるに従って、学習するために利用できる施設が少ない、ということが浮き彫りになってきました。この原因の1つに今回設置された大半の仮設住宅が郊外にあるという点が挙げられます。ところが、学習するために利用できる施設の多くは人口や交通の集中する市街地にある場合がほとんどです。これでは本当に集中して勉強できる場所や空間が必要な被災者にとって利用しにくいのは火を見るよりも明らかです。
 このままでは学校の成績に格差が生じたり、思春期である子供たちにとってはストレスを感じてしまう恐れがあります。そのような状況に陥る前に学習の場の確保が必要です。そのためには使用されていない仮設住宅の部屋を貸し出したり、学習目的外の公共施設の一部を勉強できるスペースとして利用可能にする、などの動きが求められるのではないでしょうか。

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就学支援を行っています!

2011-08-10 22:44:01 | 活動報告(就学支援)

 仙台POSSEでは、被災したご家庭に対して、就学支援を行っています。今現在では、仮設住宅へ入居しているご家庭のお子さん(中学2年生、小学5、4年生)の勉強を見ています。
 就学支援において私たちが目標としているのは、勉強の内容そのものを教えるというよりも、勉強する環境・空間をつくることです。被災し、生活環境が大きく変わったことによって、勉強に意識を集中させること自体が困難になりがちです。そこで、学生が中心になって各家庭を訪問し、「勉強をする時間」「場所」を設け、勉強に取り組める環境を提供する。そして、子どもが「見守られている」という安心感を抱きながら勉強に取り組める状態を維持していく。このようにして長期的に子どもを支援していこうというのが、就学支援のコンセプトです。
 具体的な事業内容を説明します。家庭教師のようにして個々の子どもに寄り添い、勉強を見ていくというと分かりやすいでしょうか。学期中は授業の内容を予習・復習したり宿題を手伝ったりして学校の勉強を手伝います。長期休暇に入れば、基本的には夏休みの宿題をお手伝いし、中学3年生の子どもには集中的に受験対策を行おうと考えています。
 実際に事業を開始してみて感じるのは、個別対応という形で学習支援を行っていくことで、子どもに対して細かなサポートが可能だということです。個々人が置かれている状況を考慮することなしには、本当の「支援」は出来ないと感じます。子どもそれぞれの性格や、大きなレベルでは被災して仮設住宅での生活を余儀なくされていることなどの社会的立場を考慮せず、ただ形式的に勉強を教えるだけでは「就学支援」としては不十分であると思いました。一人一人に向き合って、少しでも自分で勉強に励んでいけるようなきっかけをつくっていくことが大切なのだろうと思います。
 仮設住宅やみなし仮設の入居期限は2年とされ、これから先の生活の見通しがなかなかつかないことへの不安は、ご両親だけでなく、子どもたちも抱いていることと思います。生活再建が長期的な課題になっていくのと同時に、子どもたちの将来に寄り添おうとする私たちの取り組みも必然的に長期的なものとなっていきます。子どもたちの可能性が奪われ、進もうとする道が限られたものにならないよう、少しでも多くのご家庭を支援したいと考えています。

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仙台POSSEの就学支援事業について

2011-06-29 01:05:26 | 活動報告(就学支援)
 現在仙台POSSEでは、東日本大震災を受けて、引っ越しサポート事業、就学支援事業、生活支援事業という3つの事業を検討・展開しています。
 このうち、就学支援事業についてご説明したいと思います。

 就学支援でいま私たちが検討しているのは、被災した、高校受験を控える中学生への勉強のサポートです。2~3人で一つのチームを編成し、チームごとに1人(あるいは一世帯)の子どもの学習支援を行う予定です。
例えば仮設住宅というのは部屋が狭く、家族とともに数人で住むとなると、なかなか勉学に集中しにくい環境になっています。また親の失業や、家屋の倒壊などによって金銭的なダメージを受け、塾だけでなく、学校にすら子どもを通わせることが困難になった家庭は少なくないでしょう。それでなくとも震災で受けたショックはとても大きく、引っ越しを依頼してきた被災者の方のお子さんの中には、避難所での過酷な生活を過ごすうちに過呼吸を起こすようになってしまった中学生の女の子もいました。 
 そのような子どもに対して、精神面でも、勉強面でも、長期的な支援をしていくことが重要です。教育を受ける権利が、彼らから剥奪されることはあってはなりません。また、就職のことを考えても、学歴が重視される日本の労働市場においては、できるだけ高校を卒業することが望ましいことは言うまでもありません。
今回の震災を受けて、もともと薄弱である日本の公的教育制度下で、多くの子どもたちから教育の機会が失われようとしています。日本では教育費の私費負担が33.3%と、OECD平均(17.4%)を大きく上回っており、教育における出費の多さが各家庭に重く圧し掛かっています。加えて日本学生支援機構(JASSO)の奨学金は給付ではなく貸付であり、学校を卒業すればその返済に数十年を費やさなければならないのです(震災を受け、奨学金の緊急採用・応急採用が実施されましたが、それでも貸付であることに変わりはありません)。
震災孤児は200人を超え(阪神・淡路大震災の約3倍)、両親のどちらかをなくした子どもも含めると1300人以上とも言われます。また親を亡くしていない場合でも、教育にお金をかけられる余裕がなくなり、子どもに進学を断念させせざるを得なくなる家庭も出てくることは必至と考えられます。現時点では、震災遺児、孤児以外の被災した各世帯の子どもへの、教育における特別な公的支援は行われていないからです。
教育の機会を奪われた子どもたちが、一生涯、派遣労働、アルバイト、日雇いなど、不安定雇用かつ醜悪な労働条件のもとでの就労を余儀なくされることを防ぐためにも、就学支援は不可欠となります。
就学支援では、1人の子どもに長期的に付き添い、サポートすることの出来るボランティアが必要になります。少しでも多くの子どもたちを支援していけるように、より多くの学生の協力をお待ちしています。興味、関心のある方は、ぜひ仙台POSSEまでご連絡ください。よろしくお願いいたします。


■NPO法人POSSE 被災地支援の取り組み
 POSSEでは、仙台に拠点を置き、現地のNPOと連携しながら、仮設住宅( みなし仮設を含む)への移転支援や、仮設住宅住民への生活支援などに取り組んでいます。また、今後、被災学生への進学支援や就労支援、被災地の実態調査などに着手する予定です。被災地支援にご興味のある方は、お気軽にスタッフにお声をおかけください。
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