晴嵐改の生存確認ブログ

ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず

「関係の空気」「場の空気」

2007年11月10日 | 読書
「関係の空気」 「場の空気」 (講談社現代新書) 「関係の空気」 「場の空気」 (講談社現代新書)
冷泉 彰彦

講談社 2006-06-21
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タイトルを一瞥しただけでは何を書いた本なのかピンと来ないかもしれませんが、「空気」というのは、もちろん地球大気のことではありません。よく「空気読めよな」とか言ったりする、あの「空気」のことです。
私たちの振る舞いに影響を与える「空気」について、現代日本語の特性や有り様から分析し、現代日本語の問題点の指摘から、どのように日本語を使っていくべきかという提言までを含んだ、とても中身が濃い本です。
しかも、濃いだけでなく、とても明快で、わかりやすい。本来は目に見えない「空気」を見事に可視化したという点で、凄い本だと思います。

人と人とが出会って、何事かを成そうとするとき、言葉によるコミュニケーションが不可欠です。ですが、一口にコミュニケーションといっても、簡単なことではありません。コミュニケーション不全に悩んでいる人や組織は少なくないと思います。
では、なぜコミュニケーションがうまくいかないのか。改善のためには、どうすればいいのか。それらの問いに答えるために、私たちがコミュニケーションを成立させるための道具として使っている「日本語」に着目するというのは、正直に言って虚を突かれる思いでした。灯台もと暗しというのは、こういうことなのかもしれません。

本書を読んでいて、特に興味深いなと思ったのは「会社や官庁の組織内でも『上から下』への『です、ます』を普及させるべき」というアイデアです。
組織において、上司と部下のコミュニケーションをどう進めるのか。端的に言えば、部下が思っていることを口に出しやすくするためには、上司が…というか、組織としてどのような手だてを講じることが出来るのか。そのヒントになると感じたからです。もちろん、上司が部下に対して何か指示を出したり、アドバイスするという場合にも言えることでしょうけれども。
なぜ、そのようなアイデアが提案されるに至ったのかは、是非とも本書を一読していただきたいと思います。

コミュニケーションの在り方を考え直すきっかけとして、多くの人に読んでもらいたい一冊です。



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