私の以前の記事でも、金型の排気がいかに重要かということを書いたのですが、全く理解してくれない企業がまだ存在しました。
以前、金型設計の依頼が(間接的に)あったときにチルベントを付けて金型の排気を確保するように提案して金型図に纏めたのですが、今回金型更新にあたりチルベントを廃止する指示が出てきました。
金型はHVSC350の肉厚物なのですが、エアベントを凹0.2させて排気を目論んでいるようです。しかしハーゲンポアズイユの法則に従がえば、0.7mmの隙間が確保できるチルベントから0.2mmの隙間に変更しようということは、(ハーゲンポアズイユの法則については自習してください)幅が同じだとすると、0.2/0.7xx3=0.0233 2.3%の排気能力しかないことになります。距離がチルベントが倍あるとしても、今までの約5%(2.3%x2≒5%)しか排気能力が確保できていません。
断熱形離型剤を使うため、その成分がチルベントに堆積して排気通路を塞いでしまうことが理由らしいが、それは点検整備をすることが正道で、排気能力を1/20にすることが正しい判断とは思えません。離型剤をチルベントに当てないとかやることは(考えれば)あると思う。
この企業、この品物の巣の解消がいまだにできていないんです。
30年前の記憶ですが、HVSC鋳造に関わり始めた頃チルベントを設置することにより離れた部分の彫刻文字がきれいに充填されるようになって驚いたことがある。この件は既報。
Hagen-Poiseuille's Law
ヘイシン(兵神装備株式会社)という企業がハーゲンポアズイユの法則についての計算サイトを提供してくれている。参照ください。
http://ebw.eng-book.com/heishin/HagenPoiseuilleLaw_poiseuille_calculation.do?category=poiseuille
同じくミスミさんが同様の情報提供してくれているが、金型に応用するには流量として把握できるほうが望ましいと考えます。
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