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無明長夜もかくばかり…

食のこと、家族のこと、ペットのことや日々の雑感… 
手探りをしながら、書き綴っていきたいと思います。

つけ麺の宿命

2006-01-07 | 


土曜日。
考えてみると、今年初のラーメンだ。
こう寒いとバイクでの遠出は厳しい。
情けない話しだが、最近はズボン下必須である。
とくにバイクの場合、これがないとかなりツライ思いをする。
今日は比較的近場の「一秀」で、冬季限定の「土鍋ラーメン」を頂くことに決めた。
食券機で味噌ラーメンを選び「土鍋で」と頼む。



まずネギ、メンマ、刻みニンニクの乗った前菜用の仕切の着いた小皿が出される。
間もなく木台に乗せられグツグツと煮立った土鍋ラーメンが運ばれてきた。
よくかき混ぜて、別皿の具を載せる。



最後まで冷めずに喰えるのは、寒いこの時期には有り難いが
さすがに早喰いのオレでも、こう熱いと喰うスピードはガクンと落ちる。
固めでお願いした麺も、当然伸びるのが早い。
途中、水で口中を冷やしながら喰ったが
猫舌のオレには向いてないラーメンであった。
「一秀」関連の掲示板を見ると、つけ麺でも土鍋が出来るそうだ。
次回からラーメンなら通常のどんぶり、つけ麺なら「土鍋」にしてみよう。


オレが初めてつけ麺を喰ったのは、18~19歳くらいの頃であったと記憶している。
当時働いていた仕事場の近くに、安いラーメンのチェーン店があった。
若くて、まだ金の無かった頃、外食は「安い」事が基本だ。
そのチェーン店も、今考えても決して旨い店ではなかったが
そこそこ喰えて、何よりも安いのが魅力で、よく通ったものである。
ある夏の日、メニューに「ざるラーメン」という文字を見つけた。
茹でた麺を水洗いしてざるに盛り、冷たいめんつゆにつけて喰うものであったが
これが妙に旨くて、結構ハマッたものである。
その次が、有名な「つけ麺大王」。
特別に凝るというわけではなかったが、夏の暑い日に喰うにはもってこいであった。
それから暫くして、1年間だけ友人の会社に世話になったときに
その友人に「つけ麺喰いに行こう」と誘われたのが目白の「丸長」だった。



「丸長」のつけそばは、かなり衝撃的なものであった。
オレの中で、夏限定の「冷やし中華」程度の位置づけであった
つけ麺の概念を変えてくれた店であった。
「つけ麺とはこんなに旨いものだったのか」と思い、
その会社にいた1年間は、週に2度くらいの割合で通ったものである。



細いものと決めつけていた麺であったが、「丸長」の麺は太く
うどんのように腰がある。
麺の旨味がストレートに味わえるのがつけ麺のいいところである。
ラーメンが麺とスープとの相性で喰うものなら
つけ麺は麺の旨さを味わうものと言えるかも知れない。
当然麺の旨い店のつけ麺は、最高に旨い。

しかしつけ麺には致命的な欠点があった。
つけダレが冷たくなる事だ。
とくに大盛りなど喰ったとき、それは顕著である。

その宿命とも言える欠点を補うため、「あつもり」というものがある。
通常つけ麺はラーメンより、やや長めに茹で
水洗いして締めた後、どんぶりに盛り
冷たい麺を、あついつけダレで喰うのが普通だ。
「あつもり」は水で締めた後、更にもう一度お湯にくぐらせ麺を熱くする。
それによって、最後までアツアツで喰えるというわけだ。
ところがこの「あつもり」も賛否両論なのである。

「あつもり」賛成派は、冷たい麺を冷めたつけダレで喰うのは耐えられないとし、
「あつもり」反対派は、
●麺が伸びやすく、最後の方になると水気が飛んで麺がくっついてしまう。
●麺の旨さが伝わってこない。
●そんなに熱いのがいいなら最初からラーメンを喰え。

という意見だ。
ちなみに言うと、オレは「反対派」とまではいかないが、
「あつもり」を頼むことはない。
最大の理由はオレが「猫舌」であることと言っていいだろう。
猫舌で喰うのが遅くなるからこそ麺は伸びるし、つけダレが冷めるのである。
「それはラーメンだって同じだろ?」と思われるであろうが
説明が難しいが、それは微妙に違うのである。
申し上げたように、ラーメンは麺とスープの相性で喰うもので
つけ麺は「麺を喰うもの」なのである。

え?わからない?
でしょうねぇ…書いてるオレでもよくわからない。

何年か前、よく行くラーメン屋がつけ麺を始めたので
早速注文してみると、馴染みであったこともあって
そこの大将が、ちょっとした実験をしてみてくれた。
まず、普通に麺を茹でたあと、水で締めた冷たい麺を皿に盛り
そのうちの一掴みを、茹で湯にくぐらせて
「さ、食べ比べてみてよ」と言う。
喰ってみると、ラーメンの時は全然気にならなかったのだが
お湯で温めた麺から上がる、モアッとした湯気が鼻について
麺の旨さがまるで感じられないものであった。

「それがうちで『あつもり』を出さない理由」

といって大将が笑った。

「熱いものは熱く、冷たいものは冷たく」
これが一番のご馳走だと言われている。
冷めた味噌汁も、ぬるいビールも不味い。

しかしつけ麺はどうか。
この定義は難しい。ある人は「つけ麺の魅力は麺とタレの温度差」という。
しかし結局、身も蓋もない言い方をすれば
それは単なる「好き嫌い」なのではないだろうか。
あつもり反対派が、いくら否定したところで
それを好む人がいて、それを出す店がある以上否定など出来るわけがない。
「あつもりは出さない」と言っていた、上記の店も
現在では客の要望で「あつもり」の注文に応えるようになった。

つけ麺の宿命

もしかしたら「一秀」の土鍋つけ麺が、その答えをくれるかも知れない。
次回は是非「土鍋つけ麺」を試してみたいと思う。


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