無明長夜もかくばかり…

食のこと、家族のこと、ペットのことや日々の雑感… 
手探りをしながら、書き綴っていきたいと思います。

読んでから観るか 観てから読むか

2006-07-17 | 映画


遅ればせながら、ようやく「ダ・ヴィンチ・コード」を観てきた。
ニョウボは映画化の決まる以前に原作を読んでおり、
オレは映画化が決まってから、公開前に合わせて読んだ。
なにしろ全世界で6000万部という大ベストセラーである。
映画化に際しては、アカデミー賞俳優のトム・ハンクス、ジャン・レノといった
人気俳優が主演するというので、弥が上にも前評判は高まり
テレビでも特番を組むという、まさに大騒ぎである。
キリスト教というものに無知なオレなど、
正直言って「だからなんなの?」という結末なのだが、謎解きという要素も面白く
ミステリー作品として楽しめたから、この映画は楽しみにしていた。
しかし、なんだかんだと延ばし延ばしにしているうちに、
あまりよくない評判を耳にするようになった。

曰く「分かり難い」「詰め込みすぎ」

つまり原作を読んでいない人には解りづらく、原作を読んでいる人には物足りない。
ましてキリスト教というものが根付いていない日本では、尚更のこと。
以降、ややネタバレもあるので、まだ観て(読んで)なくて
これから観よう(読もう)という方は、ちょっとご注意を。

ダ・ヴィンチの残した暗号は、極簡単に言ってしまうと
「キリストには妻があり、子供がいた」ということ。
これは、敬虔なクリスチャンにとっては「あり得ない」ことらしいのだが
オレをはじめとして、大抵の日本人にとっては
「へぇ~、で、それの何がおかしいの?」くらいにしか感じない。
この秘密が明るみに出ると、キリスト教の根本が崩れると言われても
イマイチところか、まるでピンとこないのである。
その「重大な秘密」のために殺人事件が起こるわけだが
殺されたジャック・ソニエールが、その秘密を暗号にして
孫娘のソフィー・ヌブーに託すわけである。

小説にして上・下巻に別れた長編を、2時間30分の映画に詰め込むわけだから
正直、ストーリーの説明をするのに精一杯という感じは否めなかった。
ちょうどこの日は、家族4人で観に行ったのだが
オレとニョウボが「ダ・ヴィンチ・コード」を観て、
子供らは、人気漫画の「デス・ノート」という二手に分かれての鑑賞。
同じくベストセラーで、長編の「デス・ノート」でさえ
前・後編という二部に分けての映画化なのだから、
「ダヴィンチコード」も二部作にしてはどうだったかという感じがした。
映画を観終わったときに、ニョウボと話したことが
「この映画、原作読んでない人は解るのか?」という事だった。
二部作とまでいかないまでも、せめてあと30分の上映時間があれば
少なくとも、もうすこし解りやすかったのではないだろうか。

原作を読んだ側からの意見で言うと、まず本作のキモでもある「暗号」。
トム・ハンクス演ずるラングドンが、あっけなくスラスラと解いてしまうので、
ソニエールが命と引換えにしてまで隠した「秘密」にやや重みが欠けてしまった。
また、オプスデイの司教・アリンガローサと
その弟子であり、殺人事件の実行犯であるシラスの師弟関係を
もう少し濃密に描いて欲しかったと思う。
映画だけ観ると、アリンガローサは自己中心的な小悪党で
シラスに至っては、ただの殺人鬼のように描かれてしまっているのが残念だ。
信仰深き故のアリンガローサの苦悩も、シラスの哀しみも
やや薄っぺらに感じてしまった。
特にシラスを演じたポール・ベタニーが好演だったので、
もう少し掘り下げてくれれば、映画もグッと深みが増したのではないだろうか。
その他にも「マグダラのマリア」「フィボナッチの数列」等々…
説明不足で、ある程度の予備知識がないと解らない事も多い。
ある映画のレビューで見たが、この映画をして「小説の挿し絵」という評は、
手厳しいが的を射ているかも知れない。
やっぱりルーブル美術館は美しい。

もちろん贅沢を言えばキリがない。
この長編小説を、原作のイメージを崩さずに2時間半の映画の枠に収めた
ロン・ハワード監督の手腕は「こう撮るしかなかった」のかも知れないが
なかなかのものであったと思う。
同監督の「ビューティフル・マインド」「シンデレラマン」ともに名作である。

映画は観る人によって、それぞれの感じ方があるはずだから
その人それぞれの「名作」「駄作」があっていいと思う。
今回の「ダ・ヴィンチ・コード」に関して言うと
オレとしては、原作を知らずに観て、それから原作を読んで、
更にDVDでじっくり観直すという方法がベストであったかと思う。
あと半年もすれば、DVDが出るであろうから
もう一度じっくりと観直したいと思っている。

子供らが観た「デスノート」は漫画の映画化である。
漫画は絵であるから、映像化されたときにイメージがしやすい。
小説は具体的なイメージがない分、読む人それぞれの頭の中に描いている。

「読んでから観るか 観てから読むか」

角川映画が「人間の証明」の映画化で作ったコピーだが
これは大きなモンダイである。
オレは海外の小説は滅多に読まないのだが
今までの経験から言うと、原作を読んでから映画を観ると
大抵ガッカリすることが多い。
オレの場合、「観てから読む」ほうが合ってるのかも知れない。



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
これから見ます (ユキティ)
2006-07-19 12:39:29
こんばんは。この週末にTokyo Driftでしたっけ?日本でもこの秋公開の、東京が舞台でカーレース映画。ご近所に公開からちょっとずれて(遅れて)やってる映画館があって、2ドルなので時々行くのですが、夫と一緒に観に行きました。その時に発見したのですが、今度の週末からダ・ヴィンチ・コードを上映するんです。私達もずっと延び延びになってたので週末に観に行こうと思ってるんですが、日本語でも読解力に欠ける私ですから、きっとこちらで英語版を見てもサッパリ分からないんでしょうね。笑 でも、2ドルなので分からなかったら5回くらい通ったっていいかな?って気持ちで行って来ます。笑 楽しみ♪
ダ・ヴィンチ・コード (さとし)
2006-07-19 21:10:44
ユキティさん



2ドルというのは安いですねぇ~。羨ましい。

レンタルDVDより安いですよ(笑)。

昔、「名画座」と言われる映画館が、やはり300円くらいでした。

1800円というのは高すぎますよね。

せめて1000円くらいなら、もっと映画人口も増えると思います。

こんな書き方をしたけど「ダ・ヴィンチ・コード」は決して悪い映画ではなかったです。

DVDが出たら、じっくりと見たいと思ってます。

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