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ちょっと

2009-07-31 | サテライト
 いい光景。

 きょう、帰りのバスでのこと。
JRからバスへ乗り継ぐ際、私の前に足の弱った母親とその手を引く息子がいました。そのバスは乗客も多く、何人かは座れずつり革に摑まっていましたが、運良く優先席がひとつ空いていてその母親は無事に座ることが出来ました。息子は座れず母親の横に立っています。

 バスが出発すると、母親は身体をいっぱいに窓際に寄せ、一人用のシートに1/3程の隙間をつくり、息子の顔を見ながらそこをポンポンと二つ叩いて「ここへかけなさい」と声をかけました。

 物理的にそこへ座るのは無理です。息子はちらっと母親を見ましたが、テレからか知らん顔。すると今度はシートの肘掛を叩いてその母親はまた「ここへかけなさい」と。 息子はそれも無視しました。 これもまた物理的に無理なんです。

 自分だけ座って申し訳ないと思う母親。その母親の気持ちは分かるが物理的にそこへは座れないことが分かっていて、なおかつ照れくさい息子。お互いの気持ちが手に取るように分かります。

 バスは進み、いくつかのバス停を過ぎて、乗客もひとり二人と降りて、幾つかのシートが空きました。母親はまた「かけなさい」と声をかけました。息子は辺りを見渡して、母親より後ろのシートに腰掛ました。

 私はその母親のすぐ後ろに立っていましたが、母親のすぐ後ろのシートが空き、そこへ掛ける事ができたので、ふたりの様子を微笑ましく観察していました。

 母親は不安そうに時折後ろに居る息子を見ています。また乗客が降りて、母親のすぐ前のシートが空きました。母親は再度息子を見ます。息子も不安そうな母親に気づいていたのか、すぐにシートを換わり母親の前に座り直しました。

 ここまで見届けたところで、私が降りるバス停へ到着してしまいました。

 このお二人、お母さんは90歳前後、息子さんは60歳前後でした。
年老いてなお、歳いった子を想い、子はまた母親をいたわるとても微笑ましい光景でした。

 親から見れば、子は幾つになっても子供なんでしょうね。

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