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猿山政治論

巷に溢れる情報から妖しく光る原石をピックアップ!ステロタイプ的政治論に囚われぬ独自の世界観で「きれいごと」抜きに鋭く分析

米国が捨てた台湾に明日の日本を想う~日本は核武装すべきか(3)~

2009-08-17 23:32:40 | 日本核武装
 今回は、1971年の中共の国連加盟(=台湾の国連脱退)以降、米中国交正常化(=米華相互防衛条約は無効化)を経て、次第に米国から切り捨てられていく台湾が、その後どのような苦労をしてきたかにつきましてご紹介します。

(2)米台間

①武器購入に係る障害

 これまで台湾が直面した主力兵器購入に伴い発生した障害を挙げてみますと次のようになります。日本も今回F22の購入を拒否されており、同じような情勢に陥る可能性は十分あると思います。

 ・1970年代からのF16の売却拒否→オリジナル戦闘機「経国」開発、ミラージュ2000導入

 ・1996年に至りやっと旧式のF16A及びBの売却に応じる。→同世代機のSU27を中共はライセンス生産しており制空力でも劣勢に立たされつつあります。

 ・1996年にパトリオットPAC2を導入→弾道ミサイルの撃墜が果たして可能かどうか疑問で、むしろ台湾の独自核開発を阻止する目的であったと考えるのが妥当(「撃墜できるんだから核兵器はいりませんよね」という詭弁)です。日本のパトリオットPAC3導入にも同様の意図が隠されていると思われます。

 ・イージス艦導入は、納期を理由に拒否される。

 ・潜水艦はオランダ製で、追加購入は中共に邪魔され未達。

 ・フランスから購入したステルスフリゲート艦は中共に邪魔されフェイズドアレイレーダーが設置できず、大幅にステルス性低下。

 ・F15やF35の導入の見通しは立っていません(多分無理でしょう)。

②中共による国交断絶工作の放置

 台湾は、現在、バチカン市国等23カ国しか国交を結んでおりません。

 1971年の中共の国連加盟以降、大国は悉く中共に遠慮して台湾との国交を断絶し、他の中小国も中共との経済協力関係を深める度に国交を断絶しつつあるからです。こうした中共による台湾孤立化施策に対し、米国は何の支援も行うことはありませんでした(自国が国交断絶していることと裏で支えることとは別なのですが・・・)。

 将来の併合を視野に動いているのでしょう。

③陳水扁氏つぶし

 国民党の李登輝氏が台湾独立のために敢えて後押し、政権の座に着いた陳水扁氏ですが、その台湾自主独立路線は次のように足を引っ張られ、潰されつつあります。これらは単に国民党の策謀だけに留まらないと考えるべきだと思います。

・娘婿の土地不正取引疑惑

・夫人の総統府機密費私的流用疑惑

・暗殺未遂(中共などから自作自演であるとの批判を浴びる)

・総統府機密費私的流用疑惑で逮捕・拘留中

④経済協力枠組み協定(ECFA)

 今年5月、現総統の馬英九氏(ハーバード大で学び米国で弁護士をなさっていたそうですが、どこぞの国の留学歴のある売国指導者と同じような胡散臭さを感じます)は昨年に続き2回目の国共トップ会談を行い、経済協力枠組み協議(ECFA)締結に向けて大きく舵をとりました。これにより中台間で「関税」という概念が消滅し、併合に向けての障壁がひとつ消えることになります。

 最近の台湾は、尖閣諸島問題では対日姿勢を先鋭化して併合後の中共の主張に厚みを与える役割を果たしていますし、国内的には、馬英九氏が台湾総統と国民党主席を兼任することで、平和的統一が具体化した際の強権発動・強行突破に備えはじめています。

 どうも台湾の指導層は、30年以上にわたる外交的閉塞感を脱するには、中国との平和的統一しかないと現実的な決断を下したように思えます。

 確かに李登輝氏が総統を務めていた頃の中国と、現在の中国とでは全く様相を異にしますし、香港返還が成功裡に推移していることからも、中共の軍事的侵攻を武力で抑止することが不可能な以上、合理的かつ賢明な選択かもしれません(国民を死に追いやり国土を焦土化されるよりは、相応の発言力を保持したまま併合された方がましでしょう)。
 
 このまま中国の経済成長と軍備拡張が推移すれば、いずれ日本も、同様の決断に迫られることになるに違いありません。

続きは次回で

筆:猿山太郎

日本はもう米国「核の傘」の下にない~日本は核武装すべきか(2)~

2009-08-16 00:46:50 | 日本核武装
2.日本はもう米国「核の傘」の下にない

 米国は、旧ソ連との冷戦が1989年のマルタ島会談で終結した後、1997年の江沢民訪米と1998年のクリントン訪中により、中国の経済大国志向が本物であることを見極め、米中間に思想的・原理的な対立軸は事実上存在しないことを確認しました。

 これを契機に、米国は日・韓・台を「核の傘」の下に囲っておく軍事的なモチベーションをほとんど失い、逆に、これまで肥え太らせた植民地(日・韓・台)からの収穫にとりかかった訳です。

 このことを裏付ける事象には事欠きませんが、日本の売国洗脳マスコミ群は、こうした事象を断片的(おおよそ扱いも小さく)に伝えるのみで、国民が知恵をつけることのないように、横串を通した体系的な情報整理と客観的な分析を国民に広く提供することを故意に怠って参りました。

 以下、米国の日・韓・台離れと国際金融資本による収奪準備を示す事象について列挙してみますと・・・。

(1)米韓間の事象

①韓国の軍事的放棄

 米韓間の軍事協力は、米韓相互防衛条約を軸に朝鮮戦争以来約60年にわたり維持されてきましたが、米国は、人質代わりにソウルと38度線の間に展開してきた主力の第8軍(内実は第二師団のうち1個旅団戦闘団のみ)を、まずソウル以南に移転した上で、順次戦力を韓国国内から撤収して2012年までには完全撤収を予定しています。

これで極東の米陸軍戦力はきれいさっぱりなくなります。

 そのため、もし韓国・北朝鮮間で戦闘が始まっても、同一民族間で殺し合うだけで、米国が血を流すことはなくなりました。さらにここで中国軍が北朝鮮軍を支援したとしても、通常戦力にとどまる限り、米軍が直接戦力を投入するとは考えにくく、武器供与と軍事偵察情報提供程度にとどまるでしょう。

そうなった場合、中国の属国としての統一朝鮮が成立する可能性は非常に高いと思います。

②アジア通貨危機(1997年)に乗じたIMF支配とその失敗

 アジア新興国の金融支配を目論んだ国際金融資本は、ジョージ・ソロスらヘッジファンドを遣ってアジア新興国通貨に空売りを仕掛け、固定相場制を維持できなくなったアジア各国の通貨は急激に下落しました。

韓国も大きな影響を受け、現代財閥をはじめとする民族資本は解体され、悪名高いIMFの管理下に置かれることとなりましたが、その罠にいち早く気づいた韓国は、IMFの管理を実質的に排除しながら、2001年までに対IMFの借入金を完済することで、国際金融資本の攻撃を辛うじてしのぐことが出来ました。

 ただ今回の世界金融危機により、通貨オプション取引で中小企業は数十億ドル単位の損害(≒国際金融資本の利益)を受けたのをはじめ、ご存知のとおり韓国経済は深刻なデフォルト危機に陥っています。

③米韓FTA

 2006年盧武鉉政権下で合意したものの未だ批准されていない米韓FTAは、米韓関係冷却の象徴とも言えます。

農産物の多くは関税撤廃し、投資家が投資誘致国政府を相手に訴訟を起こせる「投資家-国家間訴訟制(ISD)」を盛り込むなど米国に有利な条項が数多く含まれているにもかかわらず、オバマ大統領はほとんど興味を示していません。

最近、EU韓国間でFTAが成立しましたが、これで米国が動くかどうか・・・。

続きは次回で

筆:猿山太郎

現実的な核武装議論が必要~日本は核武装すべきか(1)~

2009-08-15 15:47:55 | 日本核武装
1.現実的な核武装議論が必要

 日本が核武装すべきか否かを論じるにあたっては、宗主国、中共、北鮮及び国連(≒国際金融資本の走狗)と、各々が日本国内で飼っているエージェント(自分がエージェントの役割を果たしていることに気づいていない方々を含みます)によって、長年にわたり、日本国民による日本国民のための現実的・建設的な国防論議が歪められ、混乱を強いられてきたという事実をしっかりと認識する必要があります。

 また核武装論議は、高度に政治性を帯び、かつ機密性・専門性を要する問題ですので、国政の基本方針について国民に広く意見を求めることはあっても、個々のアイテムについてまで事細かに国民が多数決で決する類の論議ではないことも忘れてはなりません。

 ただ、近時の議論が混乱を極めておりますので、私なりに、その流れを整理できないものかと思い筆をとってみました。

 予め宣言しておきますが、私は、日本の核武装を論じる際に「世界平和」などという「きれいごと」を論じる必要はまったく無いと考えております。少なくとも自分の尻拭いすらままならない日本という国家の地政学上のポジションから言えば、極めておこがましい、分不相応な思い上がりでしかないと思うからです。

 この未曾有の世界的混乱の中で、平和ボケした我々日本人が生き残っていくためには、迂遠な神学論争に耽溺する余裕はありません。

 抽象論として平和を論じることはむしろ望ましいところですが、厳として存在する殺すか殺されるかの血なまぐさい世界で日本国民が生き残るための具体的議論においてはじゃまにしかならないのです(プロ野球の監督が、敬遠四球の倫理性を一々思い悩んでいたのでは勝てません。その局面で得と思えば敬遠しますし、損と思えば勝負します。)。

 もし為政者が、国民レベルの議論を喚起し、国民に一定の審判を仰ぐのであれば「日本国民として損か得か」だけに焦点を絞ってできるだけ論議を単純化し、一般国民にもわかりやすい典型的政策に集約した上で、判断可能な対立軸を提示する必要があると思います。

 また、私は、結論として核武装化には極めて慎重な立場をとっています。

 安保理事会常任理事国5カ国を除く核武装国家は、インド・パキスタン・イスラエル(核武装してます)・北朝鮮ですが、何れもその仮想敵国は安保理事会常任理事国5カ国以外の国となっています。

 ところが、日本が核武装した場合に、その仮想敵国には、否応無く中国が入らざるを得ません(少なくとも中国を含む世界各国はそう見ます)が、未だなお「益荒男振り」を色濃く残す次期覇権国家中国に「メンチを切る」のは、極めて危険な選択であると思うからです(詳細は後ほど)。

続きは次回で

筆:猿山太郎