今回は、1971年の中共の国連加盟(=台湾の国連脱退)以降、米中国交正常化(=米華相互防衛条約は無効化)を経て、次第に米国から切り捨てられていく台湾が、その後どのような苦労をしてきたかにつきましてご紹介します。
(2)米台間
①武器購入に係る障害
これまで台湾が直面した主力兵器購入に伴い発生した障害を挙げてみますと次のようになります。日本も今回F22の購入を拒否されており、同じような情勢に陥る可能性は十分あると思います。
・1970年代からのF16の売却拒否→オリジナル戦闘機「経国」開発、ミラージュ2000導入
・1996年に至りやっと旧式のF16A及びBの売却に応じる。→同世代機のSU27を中共はライセンス生産しており制空力でも劣勢に立たされつつあります。
・1996年にパトリオットPAC2を導入→弾道ミサイルの撃墜が果たして可能かどうか疑問で、むしろ台湾の独自核開発を阻止する目的であったと考えるのが妥当(「撃墜できるんだから核兵器はいりませんよね」という詭弁)です。日本のパトリオットPAC3導入にも同様の意図が隠されていると思われます。
・イージス艦導入は、納期を理由に拒否される。
・潜水艦はオランダ製で、追加購入は中共に邪魔され未達。
・フランスから購入したステルスフリゲート艦は中共に邪魔されフェイズドアレイレーダーが設置できず、大幅にステルス性低下。
・F15やF35の導入の見通しは立っていません(多分無理でしょう)。
②中共による国交断絶工作の放置
台湾は、現在、バチカン市国等23カ国しか国交を結んでおりません。
1971年の中共の国連加盟以降、大国は悉く中共に遠慮して台湾との国交を断絶し、他の中小国も中共との経済協力関係を深める度に国交を断絶しつつあるからです。こうした中共による台湾孤立化施策に対し、米国は何の支援も行うことはありませんでした(自国が国交断絶していることと裏で支えることとは別なのですが・・・)。
将来の併合を視野に動いているのでしょう。
③陳水扁氏つぶし
国民党の李登輝氏が台湾独立のために敢えて後押し、政権の座に着いた陳水扁氏ですが、その台湾自主独立路線は次のように足を引っ張られ、潰されつつあります。これらは単に国民党の策謀だけに留まらないと考えるべきだと思います。
・娘婿の土地不正取引疑惑
・夫人の総統府機密費私的流用疑惑
・暗殺未遂(中共などから自作自演であるとの批判を浴びる)
・総統府機密費私的流用疑惑で逮捕・拘留中
④経済協力枠組み協定(ECFA)
今年5月、現総統の馬英九氏(ハーバード大で学び米国で弁護士をなさっていたそうですが、どこぞの国の留学歴のある売国指導者と同じような胡散臭さを感じます)は昨年に続き2回目の国共トップ会談を行い、経済協力枠組み協議(ECFA)締結に向けて大きく舵をとりました。これにより中台間で「関税」という概念が消滅し、併合に向けての障壁がひとつ消えることになります。
最近の台湾は、尖閣諸島問題では対日姿勢を先鋭化して併合後の中共の主張に厚みを与える役割を果たしていますし、国内的には、馬英九氏が台湾総統と国民党主席を兼任することで、平和的統一が具体化した際の強権発動・強行突破に備えはじめています。
どうも台湾の指導層は、30年以上にわたる外交的閉塞感を脱するには、中国との平和的統一しかないと現実的な決断を下したように思えます。
確かに李登輝氏が総統を務めていた頃の中国と、現在の中国とでは全く様相を異にしますし、香港返還が成功裡に推移していることからも、中共の軍事的侵攻を武力で抑止することが不可能な以上、合理的かつ賢明な選択かもしれません(国民を死に追いやり国土を焦土化されるよりは、相応の発言力を保持したまま併合された方がましでしょう)。
このまま中国の経済成長と軍備拡張が推移すれば、いずれ日本も、同様の決断に迫られることになるに違いありません。
続きは次回で
筆:猿山太郎
(2)米台間
①武器購入に係る障害
これまで台湾が直面した主力兵器購入に伴い発生した障害を挙げてみますと次のようになります。日本も今回F22の購入を拒否されており、同じような情勢に陥る可能性は十分あると思います。
・1970年代からのF16の売却拒否→オリジナル戦闘機「経国」開発、ミラージュ2000導入
・1996年に至りやっと旧式のF16A及びBの売却に応じる。→同世代機のSU27を中共はライセンス生産しており制空力でも劣勢に立たされつつあります。
・1996年にパトリオットPAC2を導入→弾道ミサイルの撃墜が果たして可能かどうか疑問で、むしろ台湾の独自核開発を阻止する目的であったと考えるのが妥当(「撃墜できるんだから核兵器はいりませんよね」という詭弁)です。日本のパトリオットPAC3導入にも同様の意図が隠されていると思われます。
・イージス艦導入は、納期を理由に拒否される。
・潜水艦はオランダ製で、追加購入は中共に邪魔され未達。
・フランスから購入したステルスフリゲート艦は中共に邪魔されフェイズドアレイレーダーが設置できず、大幅にステルス性低下。
・F15やF35の導入の見通しは立っていません(多分無理でしょう)。
②中共による国交断絶工作の放置
台湾は、現在、バチカン市国等23カ国しか国交を結んでおりません。
1971年の中共の国連加盟以降、大国は悉く中共に遠慮して台湾との国交を断絶し、他の中小国も中共との経済協力関係を深める度に国交を断絶しつつあるからです。こうした中共による台湾孤立化施策に対し、米国は何の支援も行うことはありませんでした(自国が国交断絶していることと裏で支えることとは別なのですが・・・)。
将来の併合を視野に動いているのでしょう。
③陳水扁氏つぶし
国民党の李登輝氏が台湾独立のために敢えて後押し、政権の座に着いた陳水扁氏ですが、その台湾自主独立路線は次のように足を引っ張られ、潰されつつあります。これらは単に国民党の策謀だけに留まらないと考えるべきだと思います。
・娘婿の土地不正取引疑惑
・夫人の総統府機密費私的流用疑惑
・暗殺未遂(中共などから自作自演であるとの批判を浴びる)
・総統府機密費私的流用疑惑で逮捕・拘留中
④経済協力枠組み協定(ECFA)
今年5月、現総統の馬英九氏(ハーバード大で学び米国で弁護士をなさっていたそうですが、どこぞの国の留学歴のある売国指導者と同じような胡散臭さを感じます)は昨年に続き2回目の国共トップ会談を行い、経済協力枠組み協議(ECFA)締結に向けて大きく舵をとりました。これにより中台間で「関税」という概念が消滅し、併合に向けての障壁がひとつ消えることになります。
最近の台湾は、尖閣諸島問題では対日姿勢を先鋭化して併合後の中共の主張に厚みを与える役割を果たしていますし、国内的には、馬英九氏が台湾総統と国民党主席を兼任することで、平和的統一が具体化した際の強権発動・強行突破に備えはじめています。
どうも台湾の指導層は、30年以上にわたる外交的閉塞感を脱するには、中国との平和的統一しかないと現実的な決断を下したように思えます。
確かに李登輝氏が総統を務めていた頃の中国と、現在の中国とでは全く様相を異にしますし、香港返還が成功裡に推移していることからも、中共の軍事的侵攻を武力で抑止することが不可能な以上、合理的かつ賢明な選択かもしれません(国民を死に追いやり国土を焦土化されるよりは、相応の発言力を保持したまま併合された方がましでしょう)。
このまま中国の経済成長と軍備拡張が推移すれば、いずれ日本も、同様の決断に迫られることになるに違いありません。
続きは次回で
筆:猿山太郎