道はだれのもの?札幌21

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(自転車レーン=その5)完全にダメな例/東京・亀戸

2010年12月31日 | 切抜き・転載
疋田 智氏「ヒキタメルマガ(409号)」より=抜粋



車道を鉄さくで仕切り自転車専用道を確保した国道14号=東京都江東区亀戸6丁目

■年末の自転車記事

「朝日新聞」なんだけど、昨日(11/22付東京版)の朝刊社会面トップにヘンな記事が載ったなぁ。

 例の亀戸の最悪自転車道が大写し。

 せまーい自転車道の中に押し込められた自転車が、相互通行で正面衝突の危険にさらされながら走ってる。掲載写真はまさにその図柄だ。クルマと逆行する自転車が6台で、順行は3台。そのすぐ横には違法駐車のダンプが2台停まってる。しかも車道は広く、歩道も広いのに、自転車道だけがだんぜん狭い。さらには逆行してきた自転車は自転車道が終わると同時に行き場がなくなるという構図。
 どこからどう見ても、完全ダメ例の典型であろう。
 私も最初、見たときは「ダメな例」として掲載したのかな? と思った。

 ところが驚いたことに、この亀戸の例が「良い例」の代表として紹介されているわけだ。「専用道路整備遅々」などと書かれ、「亀戸の例もまだ400メートルしかできていないことが残念」なんてことになっている。

 よくよく読めば、話の内容だって少しずつヘンだ。
「車道左端一車線を削って自転車道にした」だと。ふむ? 車道一車線を削った結果が、なぜ「幅2メートルの自転車道」にしかならんの? ……よくよくみると、路肩を大きくとって違法駐車用のスペースが、わざわざ用意してあるわけだ。こういうのを何とも思わない不可解。
 ホントに不思議に思えるが、実を言うと、そう不思議でもない。
 記者クラブにこもって、鉛筆を舐めているだけだと、こうした噴飯モノの記事ができあがる、という、ただそれだけだ。

■現場に行って、実際に走ってみなさい

 こんな「自転車道」走ってみれば一発で分かる。
 実に危なく、実に走りにくく、何か起きたときのリカバリーがしにくく(何しろ両側がガードレールでガッチリ囲われている)、交差点では左折巻き込みの危険に放り出され、なにより車道との連携がまったくとれていない。
 交差点の動線を普通にシミュレーションしてみるだけで、この自転車道が、どれほど危険なものか、すぐに分かろうというものだが、それ以上に、自分自身がここを走ってみるがいい。
 どんな自転車素人だって必ずこう思うはずだ。

「何だこれ? 不思議だな、自転車を分離してみたのに、こんなに危なっかしく感じるのはなぜだ? こんなに走りにくいのはどうして? 正面からの圧迫感、いや、恐怖感がこんなに強いのはなんで?」

 本来、こうした記事は、そのあたりの疑問から始めるべきではないか。それをしないから、こうした残念な記事が堂々と載ってしまう。
 今回に限らず、いったいに朝日新聞の自転車記事は、このあたりが常にダメだ。記事のトーンが、どこか“机上の空論”。
 その逆に、毎日、産経、中日の自転車記事は“よく分かってる記事”が多いぞ。ダメな記事もなくはないとはいうものの、少なくとも「記者が日常的に自転車に乗ってる」というのが、読んでるだけで伝わってくる。


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※亀戸最悪自転車道について、疋田レポートは下記のURLをどうぞ。
http://www.goocycle.jp/column_hikita/vol26/index.html
 国道14号線。実際に行ってみると分かります。最低のさらに下、ここまでひどいモノをよくつくったなと思います。

※あと、新聞は社会面の3分の2以上を使った大記事でしたが、その一部ダイジェストと写真がネットにも掲載されてます。こちらもあわせてご覧あれ。
http://www.asahi.com/national/update/1121/TKY201011210418.html

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(引用責任K.F)


※疋田氏撮影の写真を追加(引用責任K.F)