
この気持ちは何
どこから湧いてくるの
どこから生まれるの
あたたかい
そして苦しい
「想い」を「言葉」にして
私は少し
楽になった
少し・・・・・
楽に・・・・・・
なった・・・・・・・
この気持ちは何
どこから湧いてくるの
どこから生まれるの
あたたかい
そして苦しい
「想い」を「言葉」にして
私は少し
楽になった
少し・・・・・
楽に・・・・・・
なった・・・・・・・
あれは、わたしがまだ二十歳(はた
ち)の女の子だった頃。
初めてのキス、初めてのデート、
シャボン玉のようにふわふわ
飛んで、空中でぱちんと弾ける、
そんな片思いの恋をいくつか経
たあと、わたしはまるで巻き込
まれるように、苦しい恋に落ちた。
これは、手探りで進むしかない
真っ暗な闇の谷底に真っ逆さま
?に落ちてゆくような恋だった。
どしようもなかった。
好きで好きでたまらなくて、
四六時中会いたくて、いつも一緒
にいたいと追い求めた。
彼のそばにいない時の自分は、
まるで不完全な人間のような気
がしていた。息もできないくら
いに、身動きもできないくらい
に、焦がれていた。
こんなに好きなのに、こんなに
愛しているのに、こんなにも
不安なのは、なぜ
「すれ違った瞬間、好きになった」
思い出すたびに、胸の奥から湧
き出してくる情熱の息吹。
わたしの唇に、あのひとの温かな
唇が触れた、その刹那。
それは、わたしの中でもうひとり
のわたしが生まれ、わたしのもう
ひとつの人生が始まった瞬間だった。
ぱさぱさに乾いていてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
気難しくなってきたのを
友人のせいにするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか
苛立つのを
近親のせいにするな
なにもかも下手だったのはわたくし
初心消えかかるのを
暮らしのせいにするな
そもそもが ひよわな志にすぎな
かった
ダメなことの一切を
時代のせいにするな
わずかに光る尊厳の放棄
自分の感受性くらい
自分で守れよ
ばかものよ
きょうこそ生まれかわれ
幸せなことよりも、不幸
なことを見つけやすいの
はどうしてなのでしょう。
幸せの色はひと色でも、
不幸の色はたくさんある。
淋しさ、悲しさ、悔しさ、
弱さ・・・・
涙でさっぱり洗い流され
た心には、
ふたたび歩いていくため
のエネルギーが満ちあ
ふれているはずです」
根こそぎ自分をどこかに持って
いかれるような、心許ない感覚。
心許ないのに、
それは限りなく純粋で、石のように
確かだった。
樹里ちゃん、教えて。
これって、恋なの?
わたしはこれから、どこへ
向かって、走っていけばいい?
次の瞬間、天井からまっすぐに、
答えが降ってきた。
「ナナちゃん、思ってるだけじゃ
だめだよ。想いは行為に変えて、
示さなければ、相手に伝わらない。
伝わらない想いは、生きてる
想いじゃない。そんな想いを後生
大事に抱えていたって、結局
ミイラになってしまうだけだよ」