首脳会談先送り 国益を損なう異常事態だ
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産経記事
日米首脳会談の見送りは、昨年12月の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)に続くものだ。日本にとって最も重要な同盟国首脳との会談が、2度までも断られるという異常な事態に陥っている。このままでは同盟関係が空洞化し、日本の平和と繁栄が損なわれかねない。
鳩山政権下で迷走を続ける普天間飛行場移設問題が背景にあることは明らかだ。首相は直ちに日米合意に基づく現行計画履行を決断し、危機的な行き詰まりを打開する指導力を発揮すべきである。
首相は首脳会談の場で普天間問題を協議する希望を示したが、米側は「日程調整が難しい」との理由で断ってきたという。
だが、大統領は2日間のサミット中に中国、インド、ドイツ、パキスタン、マレーシアなど9カ国首脳と親しく2国間会談を行う予定だ。オバマ氏が「アジアで最重要の同盟国」と位置づける日本と日程調整ができないのは、外交上も不自然といわざるを得ない。
しかも核安全サミットのテーマは、日米両国が重視する核不拡散や核テロ防止にある。首相や岡田克也外相らも、日本の軍縮・不拡散外交と重ね合わせて従前からサミット開催に協力してきた。
唯一の被爆国として不拡散を訴えるべき大舞台に参加しながら、首脳会談を断られる事態は、こうした事情を考えても問題だ。
こうなった伏線には、鳩山首相に対するオバマ氏側の強い不信感があるといえる。首相は昨年11月の日米首脳会談で、「私を信頼してほしい」と大統領に約束しながら、決定を先送りした。そればかりか、3月には米側が求める現行計画と大きくかけ離れた2段階移設案などの「腹案」を示し、米側の失望と不信を募らせた。
また、小沢氏の訪米構想は、2月初めのキャンベル国務次官補の要請が発端だ。米側には鳩山政権の迷走をみかねて、小沢氏の仲介や決断力への期待があった。
訪米中止の理由は必ずしも明らかではないが、普天間をめぐる日米関係の“変調”が深まる中で与党最高実力者として何もしようとしないのでは、無責任といわれてもやむを得まい。